安達太良山は小雨だったが、雄大な火星のような爆裂火口の眺めが楽しめた。下りのジャングルジムには悪戦苦闘。磐梯山からの下りで、猪苗代湖の展望には大歓声が上がった。

         ~9月8日(木)~9日(金)~

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 幹事は、お天気が最も気になる点ではあったが台風なみの暴風雨でもない限り実施すると決めていた。とはいえ、天気予報によってキャンセルしたいとおっしゃる方が何人いるのか気になったがなんと前日まで誰もそうした内容の連絡は無し。連絡を頂いても「実施する」を前提の内容の質問ではないか!スタッフとびっくりすると同時に心底感心した。山笑(やまにこ)会に参加する方々は只者じゃない!山慣れした方々なのだと改めて認識した次第だ。


左)安達太良山頂直下の幹事班       中)安達太良山山頂のスタッフ班       右)磐梯山山頂の幹事班

 雨が降る東北本線二本松駅、駅前のバス停に前泊組も合流し全員が揃った。我々スタッフも入れて全員で21名、他に山に行く女性一名と男性一名がバスに乗り全員着席出来た。50分の乗車の後、終点の目的地である奥岳に到着。ロープウェイ乗り場へ行き、順番に乗って頂き山頂駅へ。雨対策装備を整えてトイレも済ませて雨の登山道から出発だ。あっという間、15分程で智恵子の言う「ほんとうの空」の碑がある薬師岳の展望台に来たが、展望はない。出発直後の元気な顔の写真を撮ろうと幹事班は写真撮影。

 

 今日の登りは、ここから1時間30分もあれば山頂に到着するのだが、長い長い下りを歩かなければならないのだ。しかも悪路を。そこそこの天気でも泥道なのにこの雨の中だ。シラネニンジンやオヤマリンドウ、サラサドウダンの実が少し気分を盛り上げさせてくれる。整備はされていても雨等で土がえぐられた階段状の登りを進む。仙女平との分岐を見送り山頂へ向かうが、本来ならばここから山頂を見上げることが出来るのだが、真っ白で何も見えない。雨は小雨状態になったり、本降り状態になったりだ。


左)磐梯山山頂のスタッフ班     中)安達太良山の登る途中(スタッフ班)  左)磐梯山から下る途中(スタッフ班)

 山頂直下の広場に荷物を置いて、「乳首」と呼ばれる安達太良山の狭い山頂へ向かう。この狭い山頂へは一方通行なのだが他には誰もいないこともあり梯子が掛かっている方から登り、下りることにした。本来の登りルートは鎖場があったりするのだ。さて、山頂広場で昼食予定だが、この場所は常に風が強く今日は更に雨のため、せめて風が当たらない場所で食事をしたいと思いもう少し先へ進むことにした。牛の背と言われる道を爆裂火口の沼ノ平を見ながら進む気持ちの良いルートを歩くが、ガンコウラン、クロマメノキ、オノエイタドリが心を和ませる。鉄山と船明神山の分岐を船明神の方へ進み暫くすると風の当たらない岩の影へ、そこで昼食として立ったままではあるが、長丁場の下りに備えて少しでも何かお腹に入れてもらう。

 

 無風状態であることだけが救いだ。その先からジャングル(?)のような道へ進む。沼ノ平という安達太良山の爆裂火口を見ながら、または全く景色が見えなくなるような灌木の中を、狭い岩の隙間を下るのだ。藪漕ぎはしないのだが、足元が見えないような細く狭い登山道も歩く。

 

その先は悪路も悪路、ドロドロの泥だらけ、または大きな水たまりでおまけに両側が切れ落ちているのだ。木にまたは笹に捕まりながら大きな水たまりを避けたり、または大きな落差の下りを岩や木の根を掴んでそっと下りる。


左)9月9日、八方台出発前、まだ元気        中)沼ノ平火口         右)沼尻温泉からの磐梯山遠望

 そんな時もオヤマリンドウやヤマハハコ、ミヤマホツツジ、真っ赤で綺麗な実をつけたオオカメノキが静かに見守っているのだ。ゴゼンタチバナ、マイヅルソウも足元にひっそり真っ赤な実をつけている。泥道と格闘すること1時間30分~2時間が経ち、白糸の滝の展望台へ到着だ。雨のせいもあって白糸ではなく立派な大きな滝になっている。展望台は二か所あるのだが、滝は上の展望台の方が迫力がある。逆に下の展望台からは正面に吾妻連峰が見えるはずだが雲が掛かり見えない・・・。そして間もなく沼尻登山口へ到着。山道は終了だが、ここから本日泊まる旅館まで歩かなければならないのだ。

 

 林道をそして舗装路を約1時間半歩かねばならない。舗装路に出ると雨も上がり、翌日登る予定の磐梯山が山頂まできれいな姿を見せている。その絶景に背中を押されてなんとか今夜お世話になる旅館に到着した。旅館の方の配慮で登山靴を洗わせて頂いたり、靴に入れる新聞紙を頂いたり、雨に濡れたものを干すために様々ご配慮頂き感謝だ。 


左)安達太良山から沼尻に下るときのジャングル  中)安達太良山の山頂直下      右)沼尻口登山道の岩場を下る

 中ノ沢温泉は安達太良山の恩恵の硫黄の温泉で強酸性湯だ。酸性の温泉というのは関東から東~北にしかないのだ。

 

 旅館到着後、皆さん温泉でさっぱりしてお待ちかねの夕食だ。お昼もまともに取っていないのでお腹が空いていたことだと思う。夕食後は希望者で山笑(やまにこ)会の来年の企画に入れてほしい山の話をしたり、思い思いに温泉に入って一日目の疲れを癒して頂いた。静かな静かな温泉街の夜を過ごして頂く。

 

 翌日は旅館に無理を言って6:45に朝食、7:30出発とした。タクシーが定刻通りに迎えに来て、分乗し磐梯山の人気の登山口、八方台登山口へ約30分で着いた。広い駐車場にトイレ、休憩所とした屋根付きベンチもある。準備を整えて、各自準備体操もして頂き、8:20に出発だ。

ここは裏磐梯。130年前に水蒸気爆発を起こし山体が崩落した側なのだ。それで、五色沼や檜原湖があるのだ。2日目の磐梯山はお天気はまずまず。登山道も昨日と比べると比べ物にならないくらい良い道だ。ブナ林の明るい森の中を歩いていく。登りの斜度も昨日よりは緩い。そうして歩き進めると「中の湯跡」だ。20年ほど前まで温泉旅館があったようだ。朽ちて崩落し、廃墟となっているが温泉は今も湧き出ているそうだ。確かに硫黄の臭いはぷんぷんした。


左)ムシカリ(オオカメノキ)が多い    中)ゴゼンタチバナ   右)これは珍しいツクバネソウだが、この後が面白い

 そこから1時間30分も経たない間に弘法清水小屋だ。ここには携帯トイレブースがある。店には様々なものがあり食べ物、お土産品もある。ここで、荷物をおいて山頂へ行く。山頂への登山道の隣に湧き水が出ているがとても美味しいのだ。毎年水質検査も行っているそうだ。

 

 そこから、身軽になって山頂を目指す。磐梯山にはウメバチソウがたくさん咲いていて目を楽しませてくれる。山頂への稜線が途中でよく見える場所があるのだが、え?あそこへ行くの?のいう気分とさぁ行こうという気分が入り混じる。そんな中、ミヤマダイモンジソウやウスユキソウが咲いている。そして山頂だ。祠がある岩のゴロゴロしたところへ登り記念写真。少し下の立派な山頂表示の前でも記念写真。そうしているとスタッフ班が到着だ。そしてここを下れば昼食だ。今日はゆっくりお昼を食べてもらえる。弘法清水小屋でなめこ汁や、甘酒を頼む方もいた。またオリジナルのお土産も購入された方もいて賑わった。下見の時に来週は大勢で来るからよろしくとお伝えしていたが、喜んで下さったようで良かった。


左)ミネウスユキソウ 中)ホツツジが多かった、しかも経時変化が面白い  右)ゴールからスキー場上を見る、草原を歩く

 さて、昼食後は表磐梯の猪苗代スキー場へ下るだけだ。磐梯山にはミゾソバ、シラネセンキュウ、エゾシオガマ、実を付けたヒメコマツ、ナツグミが赤い実をつけてなんと色鮮やかなことか。。。と花がたくさんある。シラヤマギクもたくさん咲いていた。コブシの実かと思ったがタムシバのようだ。またサワフタギの青い実もなっていた。ヤマウルシの一部は真っ赤に紅葉していたが、紅葉にはまだ早く、実がたくさん出来ている時期のようだ。特に下りではナンブアザミがたくさんあった。東北地方に多いようだが、変種も多々あるとか。 

 

 赤埴山は当初は登る予定だったが、みなさんパスでいいということで巻き道を下ることにして進み、スキー場へ到着だ。現在ゴンドラを通す工事中のスキー場を下り、スキー場の駐車場へ到着だ。赤埴山を巻いたおかげで予定よりも約40分ほど早く下山できた。スタッフ班も間もなく到着した。


左)沼ノ平火口(高木さん提供)          中)夕食風景その1          右)夕食風景その2

 帰り(電車に乗る)の準備をしているとタクシーが予定よりも早く迎えにきてくれた。10分ほどで猪苗代駅に着くが、電車の時間まで時間がありその間、みなさんトイレで汗を拭いたり着替えをしたりした。その後さっぱりしてビールを飲んだり、炭酸飲料水を飲んだり疲れを癒していた。準備万端で磐越西線乗車。郡山で新幹線に乗り換えだが、ここで解散とした。疲れた中にも笑顔が溢れて辛くも楽し思い出の山旅で予定通り1泊2日で百名山2座踏破となった。怪我も事故もなく全員無事に下山し帰途につくことが出来た。

 

 ご参加くださったみなさまにはスタッフ一同感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。                    写真集に行くのはこちら

 

 

参加者:19名(申し込み21名、キャンセル2名)

スタッフ:小野(幹事)、稲葉(班長)

報告:小野(30年)