絶好の好天に恵まれた一日だった。登山口のクヌギの雄花に始まり、

  竹寺のクマガイソウで終わった観察だった。竹寺の竹を使った容器の昼食を

    楽しんで、竹寺手配のバスで飯能まで戻った。~2024年4月25日(木)~

 

 

 どこかで竹寺の紹介記事を読み、2019314日に一人で竹寺に行き、精進料理をいただいた。それで気に入って、家人を連れて423日に再度訪れた。4月末に再訪したのは、「タケノコ料理」が目当てだった。実は、このとき幹事は竹寺の竹の容器にはそれほど関心がなく、むしろ料理に添えられる俳句に興味があった。山のメモ帳にはその俳句が記載されている。

 

 今回は家人がどこかで誕生祝い(幹事の74回目の誕生日である)をやろうというので、「竹寺企画」の下々見を兼ねて、310日に家人と竹寺で精進料理を食べた。74回目の誕生日は、竹林に囲まれた竹寺で精進料理を食べながら酒を飲んで祝った。それで、このとき、幹事は各種の竹の容器にいたく感心したのだった。これが5年の時の流れなのだろう。417日には下見を行った。某旅行会社、トレランの一行で大賑わいであった。 

 

 山笑(やまにこ)会では旅行会社のような「お料理ハイキング」などを志向していないが、竹寺を企画に入れたのは、春の花、精進料理以外に「竹寺の雰囲気」と「竹の容器」を味わう目的があったからである。

子の権現の幹事班

子の権現のスタッフ班

牛頭天王のスタッフ班


 さて、15名の参加者だったのだが、実施日の前日に駆け込みの申し込みがあって、急きょ保険の手続きを済ませ、16名で実施となった。16名目の方は初参加ではない。古くから参加されている方だ。

 

 425日(木)は天気予報では晴天で夏日予報だったので、参加された方々には服装に注意して参加していただいた。820分西武線西吾野駅に集合。8名ずつ2班に分かれて出発した。高麗川沿いの車道に出て、小床橋を渡って右手の車道に入る。今回は小床口参道コースを子の権現(ねのごんげん)まで行き、そこから小殿コースに入り、豆口峠経て竹寺に至るのだ。竹寺が文字通り終点であって、竹寺からは竹寺が手配したバスに乗り東飯能あるいは飯能駅に戻る予定だった。 

 

 小床橋を渡ると、巨大なクヌギがあって、雄花が揺れている。下見の17日には緑がかった色だったが、本番では茶色っぽかった。橋を渡ると右手には白い花。ヒメウツギらしい。下見では咲いていなかった。そして下見ではあった、マツバトウダイはどうやら幹事班は見落としたようだった。ところどころの湿った岩壁にはイワタバコの葉が成長していた。

竹寺のスタッフ班

牛頭天王の幹事班

竹寺に向かう幹事班


 少しずつ標高が上がるが周囲には民家があり、山野草が目を楽しませてくれる。藤棚の下で休憩した。左手に、下見ではガマズミかと思っていた花はオオデマリだった。もう少し先に行くと、下見で観察して、結局ズミだろうと判断したあふれんばかりの白い花は、ほぼ咲き終わっていた。春の一週間は足が速いのだ。さらに先に山道が見えてきて、右手には静之神社の赤い鳥居と濃いピンクの花が咲いている樹木が見えた。一人が興味を持って近寄ると、わたしもわたしもと行き、鈴なりになってしまった。「ハナカイドウ」じゃないかという話になった。 

 

 ここから山道だ。左手にはヤマブキが残っていて、岩壁にはやはりイワタバコがあった。ヤマブキは花期が長い。春になるとすぐに咲き、いまだに咲いている場所がある。さて、今回は「小床口参道コース」だが、310日には家人と「伊豆ヶ岳縦走コース」から子の権現に向かった。伊豆ヶ岳縦走コースは、滝不動の近くにある「浅見茶屋」から山道となるのだが、こちらの方が山道が短くやや軽いコースとなる。浅見茶屋は三代続くうどん屋で、幹事は先日初めて入ったのだ。本番の参加者の一人が、「一度だけ入りました」といって「うどん」の感想も述べて下さった。大変腰の強いうどんなのだ。

低い山でも登りはある

竹寺のクマガイソウ

子の権現のチョウジソウ


 山道に入ると、樹高の高いスギ林となるので、幹事はアオキの雄花の解説の続きをやろうと思っていたのだが、結局、以降、アオキは出てこなかった。シロダモばかりであった。峠に着くと石碑があり「天寺十二丁目石」と書いてある。そこからさらに少し登り、伊豆ヶ岳縦走コースと合流して、車道に出て「子の権現」となる。まずトイレと売店がある。売店からまっすぐ先を見ると大鳥居、さらに先に仁王門、その先に仁王が屹立している。実はこの仁王はなかなか写真を撮るのが難しい。先に進むと社務所があって右の坂を上がると本堂だ。大きな金の草鞋と、鉄の下駄が奉納されている。これらの存在は昔から知っているが、本堂の中に巨大な赤いハイヒールがあるのは知らなかった。 

 

 左手に進むとみなさんの足が止まった。何かと思ったら、眼下に印を結ぶ白い巨大な手の造形物があった。これもまた知らなかった。先に行くとフクジュソウの群生地があるが、もう終わっている。その代わり、チョウジソウが咲いていた。その先は、伊豆ヶ岳の展望台だ。武川岳、武甲山、伊豆ヶ岳、二子山が見える。伊豆ヶ岳に向かう山道を右に見送り先に進む。この先は感覚的には緩やかに下るのだが、2カ所ばかり少し登る場所がある。やがて、豆口峠に着き、そこからは30分ばかりで竹寺に到着する。

竹寺前のサンショウ

竹寺前のニワトコ

竹寺前のオオモミジの花


 豆口峠からは緩い下りを淡々と歩く、やがて前方が明るくなって来て、そこが竹寺に下る道だ。牛頭天王(ごずてんのう)のお堂の裏を歩くと、下見では、ニワトコが盛りだったのだが、まずサンショウの黄色い花、そしてニワトコの咲き残り、さらにオオモミジの花が見られ、とりわけオオモミジの花が人気で、みなさんなかなか先に進まない。やっと牛頭天王のお堂の前に集合して写真を撮り、茅の輪を潜って竹寺まで向かった。到着は12時過ぎで予定時間通りだった。着いたら早速「アツモリソウかも?」を観察しに行ったが「クマガイソウ」だった。しかも咲き始めだった。イカリソウもありニセアカシアも満開、別の場所にはエビネが咲いていて、その先にはキンランが見られた。 

 

 竹寺と相談して、精進料理は予定通りに1230分スタート、その他の注文の方々は別の部屋に入ることになった。別の部屋には幹事も同席したのだが、部屋の片隅に地面から巨大な竹が生えており、天井まで突き抜けていた。これまた初めて知ったことだった。1345分にバスで下ることになったので、「竹ざさそばご膳」を食べながら楽しく飲ませていただいた。帰りのバスは、副住職が運転されたのだが、副住職は名調子のガイドで道中楽しませて下さった。

竹寺のニセアカシア

住職の説明を聞きながら精進料理

こちらはそばご膳を食べる


 高尾山にも精進料理を食べるコースがあるし、山笑(やまにこ)会でも同様のコースがあってもいいだろうと、思ったわけではないが、寺の周囲の山野草をことごとく利用して食事に供するというのがいいと思う。そして、それが竹寺の維持にも一役買うのもいいと思う。個人的には特に竹製の食器が気に入っている。山笑(やまにこ)9年の歴史で初めての試みだったし、滅多にできる試みでもない。お付き合い下さったみなさん、ありがとう。また、趣向を凝らした企画を立ててみるつもりです。そのときもお付き合いください。

 

・参加者:16名(申し込み16名、キャンセル0名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(班長)

・報告:稲葉 力(25年)、写真(稲葉、小野)