雪を期待していたら思わぬ大雪、深い雪道に汗を流して苦労した

     大菩薩企画だった。しかし、頑張って登った丸川荘の

      コーヒーは旨かったし、富士山がきれいだった。

           ~2024年2月10日(土)~

 

 

 「大菩薩嶺と丸川荘」の企画は、「雪とたわむれる」のを目的とした企画だ。一昨年は、山梨市駅から近い棚山(ほったらかし温泉)で行った。「雪があるのを前提」とするので、候補地の選択が難しい。昨年も、考えに考えて、アクセスも考えてやっと「丸川峠の丸川荘付近」を候補地とした。丸川荘のHPに2月の雪景色の写真があったのだ。計画時は結構気楽に、頑張って歩く方は「大菩薩嶺を往復」していただいて、ゆっくり歩きたい方は「丸川峠を往復」と考えていた。

 

 2023年の12月28日に、一人で塩山7時35分発のバスに乗り、大変懐かしい大菩薩登山口に行った。そこから丸川峠に行き、大菩薩嶺を往復して、大菩薩登山口の番屋茶屋まで下り、店に入ろうとしたら、閉まっていた。あきらめて、ガスコンロを出して湯を沸かしラーメンを食べようとしていたら、番屋茶屋のお女将さんと丸川荘のご主人が車で戻って来た。そこで少し大菩薩の山情報をいただいた。

 

 実は山笑(やまにこ)会は2015年にスタートし、その年の10月27日に上日川(かみにっかわ)峠から大菩薩嶺に登り、上日川に戻っている。そして、翌2016年の10月27日には、上日川峠から大菩薩嶺に登り、丸川峠経由で大菩薩登山口に下山しているのだ。昨年12月28日に丸川峠直下の急な山道を下っていると、幹事は「ちょっと急だな」と高度感とともに感じたのだ。危険性はないのだが、高度感を強く感じる山道なのだ。2016年のコース図も確認したが至極適正なコースタイムとなっている。夏道の標準的ともいえるコースタイムとなっていた。幹事の中の何が違うのか考えたら、幹事の年齢と参加者の年齢が上がっているのだった。当時の幹事は65才であり、現在の幹事は73才なのだ。当時の参加者名簿を見ると、確かに当時の方々の方が若いようだ。納得せざるを得ない事実だった。

 下山前に丸川荘前で集合写真

 丸川荘の中に全員入って休憩

    (川原さん)

  尾根に取り付く前に休憩


 そんなことで、12月28日は淡々と予定コースを往復した。そして年末も年が明けてからも雪の気配がなかった。これは雪のない冬山入門でも仕方がないね、と思いながら、2月3日(土)にスタッフ2名で大菩薩嶺往復の下見を行った。登りで丸川荘に顔を出しご主人に挨拶した。そして、大菩薩嶺に向かって歩き始めるとものの10分ほどで山道が凍っていて、あわてて軽アイゼンを装着した。予定通りに山頂に着き、幹事は4本爪のアイゼンをチェーンアイゼンに交換しようと作業を始めたら、若い男性が寄って来て「余分なアイゼンがあったら貸して下さい」という。「登りで死にそうな目にあった」というのだ。それで4本爪を差し上げて大変感謝された。これで「死なずに済みます」と笑っていた。韓国から来られたそうだ。

 

 大菩薩嶺の往復は軽アイゼンがあれば何も問題はない。丸川荘に着き、中に入りご主人が淹れて下さる本格コーヒーを飲みながら、10日の件も相談した。3日現在では、10日の宿泊予約がないので営業するかどうかわからないという。実施日を「土曜日」にしたのは、丸川荘は土休日しか営業しないからなのだ。それは仕方がないので、イチイで彫った木彫りの作品を解説していただいてから下山した。番屋茶屋に入り(14時半頃に下山した)、缶ビールを飲みながらお女将さんと丸川荘に寄った話をした。そのときの番屋茶屋には、家族連れの外人客がいて、ほうとうとそばを食べていた。山頂の件といい、番屋茶屋といい大菩薩も国際化なんだろうね。

下りは全員一緒、われわれは最後尾

 丸川荘に近いところの積雪状況

     (川原さん)

積雪が深く、片側が切れている場所もある


 下見の翌々日に待望の雪が降った。これで「雪のない冬山入門」は避けられたが、今度は積雪量が多すぎる心配をしなければならなくなった。6日の午後、番屋茶屋に電話をかけてお女将さんに現地の積雪状況を聞いたら、麓で30cm程度あるので、丸川峠では50cm程度あるだろうという。そして、長兵衛ロッジに向かった方が途中であきらめて戻ってきた、丸川峠に向かった方がいるかどうかはわからないという。それ以上の情報がわからないので8日に直前下見をすることにした。塩山9時30分発のバスにしたのは、丸川峠までしか行かない(行けない)のと、偵察で先頭でラッセルをするのを避けるためだった。大菩薩登山口バス停に行くと、番屋茶屋のお女将さんいて、丸川荘のご主人が塩山行きのバスに乗るところだった。お女将さんにその日の予定を伝えて、いざ出発した。

 

 登山道に入る駐車場までは除雪されており、10日にタクシーでここまで入るのはOKだった。駐車していた車は8日の朝は1台だけ。一緒にバスに乗っていた方が(1名だけ同じバスにいた)先に踏み出していた。追いかけて行くと、彼が途中から戻って来た。尾根の取りつきまではトレースがあって歩き易い。尾根の取りつきには明瞭なトレースが1人分あった。1人分しかないというべきか。それを確認して、10日は好天のようなので、先発部隊がいるだろうから、丸川峠まで入るのは何とかなるだろうと判断した。大菩薩嶺は様子見で判断。そう判断して、来た道を戻ると途中で丸川荘の若いスタッフと顔を合わせたので、話をしたら、残っているトレースは7日の朝ののものだろうという。元気な方がいるものだ。10日に入ると伝えた。番屋茶屋に戻り、缶ビールを飲み「ほうとう」を食べながらお女将さんと話をしていると、塩山から丸川荘のご主人が戻って来たので、山道の雪と10日の営業の話になった。彼は10日の7時に山に入るという。10日は営業するらしい。そして10日はそこそこ大菩薩嶺に行く人がいるだろうともいう、でなければ営業はしないだろう。これでやっと10日に予定通りに実施する自信ができた。ただし、積雪状況とトレースによっては、途中から下山する条件付きだ。帰宅して、参加者にメールを送った。

丸川峠前の急で息が切れる場所だ

  本日のわれわれの山頂だ!

   (大菩薩嶺班)

  先頭の方からパチリです

    (川原さん)


 さて、長い余談を終えて、2月10日(木)の本番の報告だ。塩山駅7時35分発のバスがあるのだが、これには時間的に厳しい方がいるようなのでタクシーにした。ちなみにバスで入られる方は少数派で、塩山駅からは遠い県からマイカーで来られる方が多いようだ。駐車場に駐車している車の大部分が遠方の県のナンバーだった。タクシーについても書いておくと、甲州タクシーは1日前に電話してあっさり「手配できません」と断られた。それで当初の予定通り栄和交通にジャンボタクシーをお願いした。栄和交通のジャンボタクシーには度々お世話になっていて、運転手も顔なじみだ。8時前に塩山を出て8時15分頃には駐車場に着いた。途中、バスから降りて車道を歩いている登山者を12人ばかり追い越した。12人しかいなかったのには少々ガッカリしたのだが、駐車場を埋める車の台数を見て安心した。「先頭を歩かなくていいじゃないですか!良かったですね。」と言った方もいた。タクシーは4,650円だった。バス代は300円。ここで全員軽アイゼンを装着した。8人中6人がチェーンアイゼンで、2人が6本爪のアイゼンだった。最近は、チェーンアイゼンが主流だ。

 

 ほぼ予定通りに8時30分頃に出発。計画に反してバス組の先に歩く形になったが、後で追いこされたようだ。尾根の取りつきも完全に踏まれていたが、それどころか表面の雪が溶けて地面が見えている場所もあった。大菩薩班の5人が取りつきで休んでいたので、これまた予定を変更してここから待たずに先に行っていただいた。大菩薩班は4人で、班長は小野さん。丸川峠班は2人で班長は幹事だ。丸川峠班はゆっくり歩くことにしていた。計画では、スタートから30分ほどはラッセルの練習をしようと思っていたのだ。ラッセル部隊の先頭は体力的にきついので、先頭を5分毎に交代しながらラッセルする練習をしようと思っていたのだが、踏み跡が明瞭で、ツボ足で潜ることがないので、ラッセルの必要がなかったのだ。あっという間に大菩薩班は見えなくなった。

 

 登りはじめは約1,085mなのだが、丸川峠は約1,675mだ。大した標高差ではないのだが、一本調子で登るのできつい山道となる。特に、丸川峠直前が急だ。積雪は、標高に応じて最初はベチャベチャ、それからザラザラ、最後はサラサラに変化する。歩くと徐々に軽アイゼンに雪がくっつき、底で団子となるのでストックで打ったり、樹木に靴をぶつけたりして、雪の団子を落とす。歩き始めてすぐに丸川荘の若いスタッフの方に追い付き追い越されたので驚いた。「無事に丸川峠まで行き、コーヒーをいただきます」と挨拶しておいた。1時間ほどは後続に追い越されたが以降は後続がなくなった。われわれ丸川峠班は、幹事がメンバー2人のペースを見ながら歩いた。結論からいうと、雪のない時期に、スタッフ2名で1時間25分で歩いた場所を、本番の積雪の状態で大菩薩班は1時間50分、わが丸川峠班は2時間30分だった。ゆっくりではあるが、約2時間のコースを30分余計にかければ、ばてることなく登れるのだ。ゆっくり班を見直すか、と思った。

  富士山、左下に三ツ峠

   (鈴木さん)

荒川岳、赤石岳、聖岳、笊ヶ岳方面

     (鈴木さん)

丸川峠の標識、普段は見えるベンチが雪に埋まっている(鈴木さん)


 後方の樹木の間に南アルプスが見えて来る。疲れがいやされる展望だ。この時点では、右手側に富士山は頭だけが見えている。登るにつれて見える範囲が広がって来る、そして仕上げが丸川荘の展望場所なのだ。丸川峠の手前30分ほどは急登で、辛い場所だが、30分だけなら頑張れる。上から下を見ると転がり落ちそうな斜面に思えるが、ここの斜面は転落、落下の危険性はほぼない。高度感があるのだ。そうして登り続けると、きれいな雪の前がずう~と開けている場所に出る。もうすぐ丸川峠なのだ。そして急に雪が深くなる。歩きにくいがもう気は楽だ。丸川荘の前に着き、写真を撮っていると、若いスタッフが顔を出してくれた。そして軽アイゼンを外して山荘に入る準備をしていると、大菩薩班の一人が下って来た。「あれどうしたの」と聞くと「雪が深くて足が潜り、進むのが大変なので戻ることにしました」という。山荘に入り、コーヒーを飲んで昼食を食べていると、残り4人も戻って来た。

 

 山荘のご主人と話をしてから、15時のバスには乗れるようにと、12時30分に山荘を出た。その前に山荘前で集合写真を撮った。スタートして、わざわざ踏み跡の少ない道を歩いたメンバーがいたが、足がずぼずぼと潜り大変そうだった。少し進むと、われわれより少し若そうな12人の集団が歩いてきた。彼らも多分、丸川峠から戻るのだろうと思う。下りの高度感のある約30分間の下りは最高だった。きれいな新雪の感触を味わいながら、ほとんどラッセルの苦労もなく、すいすい下ることができた。下りもサラサラがザラザラに変わると、右手に沢の音が聞こえてきて、それから砂防ダムが目に入ると、尾根の取りつきだ。取りつきには13時50分頃に到着。そのまま休憩せずに駐車場まで向かった。駐車場で軽アイゼンを外して手に持って車道を番屋茶屋まで向かった。

 

 軽アイゼン、装備を片付けてから皆で番屋茶屋に入った。缶ビールを飲んだり、「よもぎ餅」(番屋茶屋のウリだ)とコーヒーのセットをたのんだりしながら30分ばかり過ごして塩山行きのバスに乗った。このバスは、15時に出て、塩山駅には15時23分着予定だが、25分頃の到着が普通だ。15時29分発の「かいじ」に乗るのは無理なはずだが、10日には一人だけ間に合った方がいた。こうして、1年前からの計画が無事に終了した。

 この積雪の感じいいでしょう、

    (川原さん)

  富士山展望台で大菩薩嶺班

下る途中の休憩、まだ雪がきれいだ


 雪が降らないのを心配したり、降ったら降ったで積雪量を心配したり、そもそも丸川峠からの急な下りにも気を使った「冬山入門」だったが、参加されたみなさんに喜んでいただけて、幹事冥利に尽きます。参加して下さったみなさん、ありがとうございました。来年の「冬山入門」は「しらびそ小屋&本沢温泉」です、今から予定しておいて下さい。

 

・参加者6名(申し込み6名、キャンセルなし)

・スタッフ:稲葉(幹事、丸川峠班班長)、小野(大菩薩嶺班班長)

・報告:稲葉 力(25年)、写真(稲葉、小野、鈴木さん)