予想外の好天に恵まれて矢倉岳山頂へ、箱根の山々がきれいだった。

  万葉集の石碑を見ながら足柄峠へ。1,200年前の足柄古道を歩き、地蔵堂へ。

    名物の「万葉うどん」に舌鼓、楽しい秋の一日だった。

              ~2023年10月11日(水)~

 

 山笑(やまにこ)会のスタッフが、2022年の秋に「足柄古道」を提案してくれた。幹事は足を運んだことがなかった。地図を見ると何度も行ったことのある金時山のすぐ近くなのだ。それで、2022年12月29日に家人と一緒に、小田急で新松田、新松田からバスで地蔵堂へ。地蔵堂から足柄古道を歩いて足柄峠へ。足柄峠から再び足柄古道を歩いて足柄駅まで歩いた。足柄駅は採光のいい明るい駅だったが、何もない。近くに「やまざき」があったので、缶ビールを買って駅舎で陽ざしを浴びながら缶ビールを飲んで電車を待った。

 

 年が明けて、どうしても「足柄古道企画」を片付けたくて、1月4日に今度は矢倉沢バス停で下車して矢倉岳に登り、山伏平から万葉公園には向かわずに直行ルートで地蔵堂に直接下った。そう、うどんに目がない幹事は、「万葉うどん」を目指したのだ。店に着いたら、4日だというのに客は7割の入り。混んでいるので、ビールを飲んで名物のカレーうどんを食べて店を出た。しかし、地蔵堂から関本に向かうバスは、12時40分の後は16時40分までない。「まさか」という気もするのだが、「まさか」なのだ。山の客は少ないのだ。飲む人も少ないのだ。歩くことにした。関本まで1時間半歩きながら、企画のコースは決めたのだ。

 

 山笑(やまにこ)会の本番はいつもは木曜なのだが、「万葉うどん」は木曜日が定休なので、下見は10月4日(水)、本番は10月11日(水)とした。ところが本番の実施日も迫って来た頃、「ヒルが出る」という情報が飛んできた。七面山でヒルを経験したばかりだったので、9月27日(水)に「ヒル確認下見」を行った。本番通り、矢倉沢BS~矢倉岳~山伏平~万葉公園~足柄峠~足柄古道~地蔵堂、と歩いたのだ。一人だが、どうせ16時40分までバスがないので、幹事には珍しく、ゆっくりゆっくり下り、「万葉うどん」でもゆっくり過ごし、念願の「おでん」も食べて、さらに1時間もつぶして16時40分のバスに乗ったのだった。幸い、ヒルには全く会わなかった。

 


   矢倉岳山頂で集合写真      矢倉岳で箱根方面の山々を眺める  山伏平に向かう途中のトリカブト

 10月11日(水)、新松田駅発のバス時刻は8時45分だったが、幹事は8時19分着で到着した。ホームに降りると参加者の一人、本日最高齢の女性(77歳)を発見した。改札口までご案内した。この時刻、通学の高校生で大混雑するのだ。改札の前で、さらに参加者2人を見かけた。改札の外、バス停にはベンチがないので、トイレ前のベンチでの休憩を勧めた。幹事はバス停まで行き、自分のザックを並べた。ちなみに今回の男性の最高齢は76歳だった。参加者のお一人からメールをいただき、8時41分着の電車で来られる外は順調に全員集合した。天気は11時頃まで晴れるという予報が多かったのだが、さてどうなるか。参加者10名、スタッフ2名だった。来週、18日~20日に、2泊3日で苗場赤湯~和田小屋縦走企画があるので、みなさん、今回は敬遠されているようで、全くもって幹事の企画ミスだった。幹事は参加者に深く感謝したのだった。

 

 バスは8時45分に出る。9時頃に関本に到着し、9時15分頃に矢倉沢バス停に着く。バスが出ると右手側に富士山が見える。その手前に矢倉岳が見えてくるのだ。金時山はさらに左手側に見えて来る。矢倉沢で下車して道路を渡って、山に向かって進むと左手にトイレと広場がある。そこで開校式を行った。少し前に車で来た男性が先行された。バス停に、実は「ヒルを車内に持ち込まないで下さい」という表示がされているのを下見で初めて発見して驚いた。地蔵堂のバス停には貼られてないので、矢倉沢バス停に下るルートに出るのかも知れない。バス停からの取りつきが少しわかりにくい、大過ないのだが、毎度、地図を見ながら考え込んでいる方がいる。幹事も下見までは考えていたのだ。


  登りもそこそこ急なな箇所がある        山伏平に下る急階段          足柄古道の最後の方

 スタートして30分ばかりは舗装の道で、道の両側には雑草が茂っていて、里山の雰囲気だ。ツリフネソウもまさに爆発するばかりの状態だった。ゲンノショウコもみこし状態になる寸前だった。ママコナが見える場所から山道に入る。ヨウシュヤマゴボウの黒い実で手を汚している方もいた。歩き始めて30分で休憩した。今日の予定は、30分歩き、5分休憩、30分歩いて、5分休憩、20分歩いて、5分休憩、そして20分歩けば山頂に到着のはずだった。先頭を幹事が歩き4人が続いた。後続はスタッフが率いる「ゆっくり歩き隊」だが、ほぼ同じペースで歩いた。30分歩くと完全な山道で山野草もぐんと減る。ややなだらかな道を歩く。そうして1時間経過した。そこから地面を見ると、樹木の実がたくさん散らばっていた。まずグミのような実が散らばっていて、それからカヤの実、そしてアブラチャンの実が絨毯になっていた。

 

 合計1時間歩くと、また少し急になる。そして道はガリー状になり歩きにくくなる。頑張って歩くとこの辺で呼吸がきつくなる。地面に散らばる実を見ながら20分歩き休憩した。歩き始める頃にゆっくり歩き隊が到着する。少しずつ道はなだらかになり、15分ほど歩いて山頂に到着した。なんと!富士山だけ雲がかかっていた。山頂には5人ばかりいてゆっくりされていた。集合写真のシャッターを押していただいた。山頂にはトリカブトだ咲き、ミツマタ、ガマヅミの実が赤く、エゴノキの実が散らばっていた。さて、下見では休憩を含めた歩行時間が1時間31分だった。本番の先頭班は1時間44分かかった。コースタイムは1時間40分だ。実は幹事は、スタッフで歩いたタイム30分に5分を足した時間を本番のコースタイムにしている。だから、15分足すと1時間46分となるのだ。山笑(やまにこ)のみなさんもそこそこ健脚のようだ。10分ほど休憩し、おまけに先に着いていた先客が展望のガイドまでして下さった。


   種が破裂寸前のツリフネソウ       メタセコイヤ(足柄茶屋)           ママコナ

 下る途中での富士山の展望がないのは残念だったが、それでも山伏平に下る途中の富士山方面の展望は素晴らしい。下る途中は階段が多い。下りからは、全体12名が一列縦隊の状態になった。山伏平まで下りに左に行く、そして分岐で右に折れると万葉公園・足柄峠だ。左に行くと地蔵堂直行ルートだ。1月4日にこのルートを歩いた。この先は、ほぼ登りがなく、だらだら下るコースとなる。したがって、足は疲れない。地図に「旧阿弥陀尾峠跡」とある地点まで少し登るのだが、下っている途中の登りは疲れる。しかし、残りは順調に下れる。淡々と下り45分ほどで「万葉公園奥」と道標に書かれた場所に出る。ここから万葉公園のようだ。石碑に万葉集が書かれている。それを順番に追いながら、歩くと5分ほどで東屋に着き、そこで小休止して、後続を待った。

 

 先に進むともう一つ東屋があり、その先はもう舗装道路だ。道路に降りて5分ほど歩くと、左手に足柄古道の入口がある。右手の先にトイレがあり、足柄峠茶屋(閉店しているようだ)があるので、ザックを置き、足柄峠まで向かった。足柄峠でみなさん、足柄城の城跡を見たり、金時山をバックに写真を撮ったりしてから、足柄茶屋に戻った。足柄茶屋の向かいには、スギのようでいて、どうも樹皮がスギには見えない木があって、下見でメタセコイアではないかという結論になった。茶屋のベンチ脇にはキササゲが長い実をたくさんぶら下げていた。軽食を食べてから、先発隊、後発隊と分かれて出発した。ここまで来たら「ゆっくり歩き隊」は消滅したようだった。トイレを済ませて、道路の反対側の足柄古道に飛び込んだ。


山頂からの展望(明神ヶ岳、神山、金時山1/4)  金時山、位牌岳、越前岳(10/5)       富士山(10/5)

 足柄峠から地蔵堂までの足柄古道を歩くのは3回目なのだが、果たして1,200年前の古道とはどうだったのか、実は良くわからない。土の地面もあれば、玉石が敷き詰められている場所もあり、さらにコンクリートが流し込まれている場所もあるのだ。車道と交錯しながら古道を拾って歩く。初めて歩くと、実は不安になる古道なのだ。なぜなら、車道から遠ざかる方向に向かう場所があって、これは多分登山者の本能に反する歩きかただと思うのだ。「やや、大丈夫かな」と思うと、車道に飛び出し、少し車道を歩き、反対側の古道に飛び込むのだ。これを繰り返して足柄古道の入口(地蔵堂側)に到着する。ここから15分ほども歩けば、矢倉岳の大きな姿が目に入り、そして地蔵堂だ。最後に「万葉うどん」について触れて終わりとしよう。知る人ぞ知るなのだろうが、万葉うどんは「カレーうどん」で有名なようだ。ご主人が手打ちをされている。うどんはもちろん旨いし、カレーうどんもうまい。常時、おでんも置いてあって、呑み助には刺激的な店だ。地蔵堂の反対側には、「やすみ処 ふじや」があり、老夫婦で営業されている。万葉うどんに比べて有名度は低いが、値段は安く、キノコうどんもまずまず旨いと思う。個人的な趣味だが、地蔵堂に下るのが楽しいが、実は、大変残念だがバスの便が悪い。タクシーも呼んでも来てくれないことが本番で判明した。地蔵堂16時40分発のバスに間に合わせるべきだろう。そうあってか、万葉うどんは17時まで営業しているようだ。なるほど、なるほどである。

まさかりかついだ金太郎(鈴木さん)

大きな矢倉岳が見えるとゴールは近い

(鈴木さん)

アケビ(鈴木さん)


 

 みなさん、企画のハイキングが続く中、日程を調整し、体力も維持してご参加いただきありがとうございました。幹事としましては、企画ミスを反省しつつも、温めた企画を何とか実施しようと頑張りました。10名もご参加いただきうれしいです。初めて山笑(やまにこ)会の企画に参加して下さった方もおられました。ありがとうございました。

 

・参加者:10名(申し込み11名、キャンセル1名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(班長)

・報告:稲葉 力(25年)、写真(小野、稲葉、鈴木さん)