終日曇りの予報はときどき晴れだったが、もう1時間で小雨。

 富士山は見えなかったが、名残の河津桜と菜の花が楽しませてくれた。

   やや疲れたが、満足した高松山&松田山だった。~2023年3月5日(日)~

 


高松山コース班が「花嫁の鐘」を響かせる  なんと補助ロープの下りがある       高松山の山頂はただただ広い

 

【いつもの前書き】

 2022年度の企画を考えていて、「神奈川県の山」から「高松山・松田山」を選んだ。2022年の1~2月のことだろう。320日(日)に今回と同じ高松山コースを歩いた。しかし、スタートで道は良くわからないし、ヒルのご注意には驚くし、おまけに最明寺から下ってしまった。高松山山頂の巨大な富士山には感動した。それから歩いて西平畑公園まで歩いたのだ。新松田駅に戻る途中で「松田山桜祭り」があることを知り、310日頃に終わったことも知った。それで、1年後の企画を決めたのだ。

 

 20221212日に再度下々見を行って、今度は西平畑公園まできちんと歩いた。しかし、河津桜の咲いていない時期の西平畑公園は正直言って魅力がない。「画竜点睛を欠くが如し」なのだ。それで確実にサクラを見るために実施日は35日(日)に変更した。さらに、山笑(やまにこ)の常連さんが「コース定数を考えてもきつい」といわれるので、高松山ゆっくりコースを作ったのだが、歩行時間が長くなるので、松田山単独のゆっくりコースも作った。しかし、驚いたことに「松田山単独コース」を選択する方が3名しかいなかったのだ。これにはちょっと驚いた。

 

 

 松田山コースを下見しようと思って、調べると、今度は松田町ご推奨の「松田山ハイキングコース」が「2019年の台風で通行禁止」だそうで、う回路を歩くしかない。幹事はめげずに敢然と下見を2回も実施し、コースを決めたのだ。結果を書いておくと、「松田山ゆっくりコース」の狙いのコースはできなかったが、参加者には満足していただけた。2024年の3月には、もう一度歩き、「松田山探検コース」にするつもりだ。


      高松山の小野班           高松山の小野班、岸本班        岸本班、ミツマタを撮る

【高松山コースの報告(小野班)】

 開催式を終え各班に分かれて出発だ。高松山コース班班長は今回幹事が計画したルートと逆方向へ歩いてしまった。こちらへ行っても結局同じルートへ合流するのだが、こちらは初め登り坂を歩くのだ。このまま進んでも良いが戻って当初通りのルートへ戻った。小野班のみなさんには余分に歩かせてしまった。

 

 先を高松山ゆっくり班が歩いていたが徐々に追い抜きそのまま進む。最初は虫沢川沿いに歩く、花じょろ道東コース。舗装路を歩くが途中から登山道へ入る。登山道入口に鐘があった。道標や鐘をゆっくり眺め、班を代表しておひとりの方が鐘を鳴らして歩き出した。この登山道にはヒルの要注意標識がたくさんあり、塩も用意してあるのだが、みなそれに驚きながら歩く。そこへつぼみの状態のミツマタがチラホラ現れた。少し花が開いた黄色の綺麗なものもある。参加者は春を感じながら群生するミツマタを眺めた。更に進むと今度は地味で小さな花を多数付けているオニシバリがそこここにあり写真を撮ったり、眺めたりしながら歩いた。ミツマタはその昔、和紙を作る材料として植栽されたのだろうと思わせ、今度は炭焼窯跡があり里山だとしみじみ感じ、みな感心しながら眺めてそこからしばらく登れば高松山の山頂ももうすぐだ。

 

 高松山コース班は特別速く歩くわけではないのだが、全員調子よく歩き、予定より10分近く早く到着した。広々した山頂で思い思いの場所でランチだ。班の集合写真を撮り休憩時間は20分とし比較的のんびり出来た。そうこうしているとゆっくり班が山頂に到着だ。ゆっくり班の写真を撮ろうと山頂標示のところで集まると、写真を撮ろうかと声をかけてくださる方がいてお言葉に甘えて一緒に撮って頂いた。出発予定時間に、高松山コース班メンバーは特別何も言わなくても予定の時間に全員が揃って出発を待っていた。これから「尺里峠」(ひさりとうげ)を目指して歩く。特別な急坂もなく歩いていると突然岩場の急下りが現れ少し驚かされるが歩けば何てことない岩場なのだ。逆にこんな岩場を参加者のみなさんは楽し気に歩いていた。

 

 一瞬みな驚くがここも順調に通過して最明寺史跡公園だ。ここには河津さくらが満開状態で気分も一気に春めく。ところが、空はどうも雲が覆っていてポツポツとなんとなく雨?という感じだ。そこからが、この班の底力を見た。というのも歩く速度が半端ないのだ。雨に当たる時間を最小限にとどめるというのが主な目的ではあるが、それまでは予定通りの行程で歩いていた。そして最後の目的の西平畑公園まで1時間という予定を45分で歩き切ったのだ。班全員誰も遅れることなくの到着だった。ここから新松田駅までm歩くか、バスに乗るかと班全員で悩んだが、結局バスに乗ることになった。(高松山コースの報告終了)


  松田山ゆっくり班が高松山を見る        雲の上に富士山が        不思議とオニシバリが多かった

 

【高松山ゆっくりコースの報告(岸本班)】

 高松山ゆっくり班を希望される方は、12人にも上った。風も穏やかで、晴れ間ものぞく中、開校式が済むと、自分の班の皆さんの点呼をしてすぐに出発した。前方を見ると先発したはずの小野班が見えない。小野班は、いつも疾風のように速いのだが、役行者よろしくあまりの速さに驚愕していると、別のルートから登りを試みていたようだ。直ぐに後ろにつき一緒のルートで登ることになった。

 小野班が見事なリカバリーで、ゆっくり班を追い抜いていく。ついていきたいという思いを抑えつつ、今日は「ゆっくり班」だ。そのミッションを完遂することを言い聞かせて歩を進めることにした。登山口まで、一時間ほど、虫沢川に沿って林道歩きだ。渓流に沿って歩いていくと、下見でも登場したダイサギが現れた。すらりとした白い首と長い脚が特徴だ。暫くすると飛翔するアオサギも登場した。皆さんは、国内最大のサギ科二羽の出迎えを楽しんだ。

 民家がほぼなくなり、山々の稜線が迫り、杉の人工林が周囲を覆う頃、登山口に着いた。いよいよ、花じょろ道への入り口だ。班長自ら、皆さんの「幸せ」を祈願して鐘を鳴らし入山した。この登山道は、虫沢古道を守る人々の尽力によって、丁寧な手入れが施されている。杉林は、ほどよく間伐と枝打ちがされ、杉の幹の太さは、根元から上部まで一定で鉛筆のようにそびえ立っていた。太陽の光もよく届き林床植生も豊かだ。また、登山者に対しても優しい。登山道に間伐材が安全で歩きやすいように施され、ヒル避けの塩が入ったペットボトルが標識にかけられていた。皆さんは、登山道を守っている人々の心意気に感心したようだ。


 50m
毎に標高が書かれた標識に励まされ、高度を上げていくとミツマタが登場し始めた。約10日前の下見では、淡く白色の蕾だったが、外側の黄色い花弁が開花し、森に鮮やかな彩りを添えていた。左側の谷筋が細くなると落葉広葉樹の森に入った。林床にはオニシバリが現れ、名前の激しさに似つかわしくない可愛らしい淡黄緑の花を披露し皆さんを楽しませていた。

 標高720mのヒネゴ沢乗越の稜線につくと、約30分つづら折りの登り、緩やかな下り、登りと交互に繰り返していくうちに、視界が開けると高松山の山頂に着いた。予定通り、1235分だ。先発していた小野班と合流し一緒に記念撮影をした。残念ながら曇天で富士山は見えず、稲葉幹事の用意した「晴天の富士山」写真を借景した。この演出を楽しんでいただけただろうか。

 約20分休憩してから出発して、なだらかな稜線を降りていくと、ミツマタの大群落地が広がっていた。皆さんは、林床に広がる満天の星空のようなミツマタの花に息を呑み、撮影を楽しんでいた。同じ林地には、レモンエゴマも群生し、枯葉を揉むと漂うレモンの香りも満喫していたようだ。


 高松山から尺里峠(ひさりとうげ)まで一時間ほどかけて下ると、杉の人工林、雑木林、民家がパッチワークのように広がる林道と登山道の交互歩きになった。途中、猪の仕業であろうヌタ場があり、皆さんは、人の暮らしのすぐ隣が野生動物の住処であることを実感されたようだ。

 最明寺史跡公園が近くなると、登山道の分岐が崩落している箇所があり、なだらかな迂回路を見つけてゆっくり下った。後ろを振り返ると、皆さんは隊列よく並び、疲労の具合や体調から交互に順番に入れ替えペースを調整しながら歩いてくれた。温かいチームワークに支えられていることを背中で感じながら先頭を歩いた。

 尺里峠を過ぎる頃からポツリポツリだった雨も、最明寺史跡公園に着く頃には本降りになった。公園のそばにあるベンチで休憩し、一緒に雨天用の装備にした。枝ぶりの立派なアオキが生える林地を横切り、害獣の侵入を防ぐために設置された扉をいくつかくぐりジグザグと森の中の林道を歩いた。長い林道歩きに疲れが溜まってくる頃に、急に視界が明るくなり西平畑公園に辿りついた。河津桜の開花時期は、終焉に近づいていたが、メジロの群れが夢中になって花の蜜を吸っていた。メジロ達の思わぬ登場は、皆さんにとって嬉しいサプライズだったようだ。

 


 雨足も強くなったので、予定通り1545分にシャトルバスの停留所に着きそこで解散した。稲葉幹事にそのことを電話で報告をすると、新松田駅の喫茶「モンタナ」で待っているという。しかし、皆さんが雨に打たれながらの山歩きであったことやぎゅうぎゅう詰めのバスで待たされ、さらなる疲労が溜まっていないかと何となく胸騒ぎがした。松田駅で下車をした後も、新松田駅まで皆さんと歩き、雨の中、12人全員の見送りをした。稲葉幹事、小野班長、有志の皆さんが待つ「モンタナ」へと向かった。皆さんの歓迎を受けると、すべての行程が、ほぼ予定通りに運んだことに胸を撫で下ろした。(高松山ゆっくり班の報告終了)

    松田山で記念写真

       最明寺


     ヒュウガミズキ 

           

【松田山ゆっくりコース(幹事班)】

  要望があって、「松田山ゆっくりコース」を作った。合計で3時間程度しか歩かないが、れっきとしたハイキングある。里山歩きではない。歩きだして、高松山コースとは右と左に分かれる。「ななつぼしドッグラン」を過ぎると山に入るが、入口はいささか不気味だ。少し歩くとオニシバリが登場する。今回のコースはやたらオニシバリが多かった。15分程度歩くと、左が「みどりの風ハイキングコース」で通行禁止、右が迂回路だ。迂回路は緩やかに登っていて大変歩きやすい。今回は、膝を痛めている方が参加されているので、ゆっくり歩くように念を押されていた。また、朝の新松田駅で「松田山ゆっくりコース」に変更された方がいて、なんと下山時刻には雨が降るだろうからその前に下山できる、ゆっくりコースにした。という強者がいた。

 

 それで稜線に到着した。下見で幹事は尺里峠から続く、この稜線を下って見た。下りきったところで「みどりの風ハイキングコース」に合流するのだ。少々警戒しながら下ったのだが、全く問題なく下れる。そして、「松田町ご推薦」のコースは荒れていて、最初がやや急な登りで歩きながら、「こりゃ駄目だ」と採用をあきらめたのだった。松田山の形ばかりの山頂を過ぎると気分の良い、斜面が広がっている。5日の本番では逆コースからここに上がると、続々ハイカーが登って来た。なるほど「みどりの風ハイキングコース」だ。

 

 もちろん、稜線は下らずに予定の林道を下る。高松山から下って来るであろう合流点を過ぎて少し歩くと、富士山の絶景ポイントがある。何もないと思っているところに富士山の絶景を見ると本当に感激する。この日は見えなかった。代わりに高松山の山頂を眺めた。下りきって、少し歩いて陽だまりでランチタイムとした。すると反対方向から続々とハイカーがやってくる。みなさん、きちんとした山姿をしている。今回の「松田山コース」はこれからの緩い登りが唯一のアルバイトをいえる場所だ。疲れてもいないので、みなさん余裕で通過した。

 

 それから、幹事が狙っていた「探検コース」の場所を紹介した。時間に余裕があったので咲き始めた春の花を探しながら歩いた。今年は、このような「ゆっくりコース」に力を入れる予定なのだ。分岐点から松田山に行き、山頂標識の向こうにゴルフ場を見て、全員で感心した。下って最明寺だが、斜面を下るときに崩壊個所があり、そこも迂回するのだ。本日の最大難所だっただろう。最明寺でトイレを借りて、車道を歩き始めた。「自然館」と書いた道標があるのだが、番号が書いてあり、23番から始まり0番で終わる。途中、実に見事なアオキの赤い実がたわわにぶら下がっており、どうして「たくさん成っているのだろうか」などと話しながら歩いた。この林道もハイカーが多かった。西平畑公園には1412分到着、4人で缶ビールを飲みながら後続を待っていると小雨が降って来た。強者の予想は当たっていたのだ。衆議一決、新松田駅前の喫茶モンタナのビールを楽しむことにした。

 今シーズン初めてのスミレだった

 なぜ、こういう実だくさんがあるのか 


                                              メジロが!

 参加して下さったみなさん、ありがとうございました。富士山が見えなかったことが心残りですが、西平畑公園の河津桜と菜の花が見られたので良しとしましょう。松田山は「探検コース」で来年にでも企画します。今年、検討しきれませんでした。また、楽しい山に行きましょう。松田山、もう少し面白くします。

 

・参加者:22名(申し込み23名、キャンセル1名)

・スタッフ:稲葉(幹事、松田山ゆっくり班長)、小野(高松山班長)、岸本(高松山ゆっくり班長)

・報告:稲葉(25年、全体)、小野(30年、一部)、岸本(30年、一部)