岩場あり、雪道あり、武甲山の威容あり、ロープ付きの急斜面では

   悪戦苦闘した山だったが、変化が楽しかった。

     ~3月24日(木)、武川岳・二子山

 


     登山口付近のミツマタ        天狗岩のかなり手前の登り          天狗岩男坂

 3月17日にスタッフ2名で武川岳~二子山の下見を実施した。本番の24日の天気予報は「晴一時曇」だった。「緊急事態宣言解除」後の山笑(やまにこ)会15回目の企画は無事に実施できそうだった。天狗岩の男坂も楽しみながら通過、前武川岳には少々息切れしたが順調に通過し、武川岳に到着。予定通りに焼山のロープ付きの急斜面を下った。ここは地面が湿ってなければ、ロープを頼らなくても問題なく通過できる。雄岳の登りは疲れが出てくるのだろう、ペースを落として登る。すると武甲山の無残な姿が大きく眼前に登場するのだ。雌岳では展望はない。すぐにロープ付きの急坂を下ったが、ここも地面が湿ってなければ、ロープを使わなくても何とか下れる程度で、初めてのときは上から下をのぞくと驚くが慣れると驚くほどではない。下見では8時46分にスタートして、芦ヶ久保には13時58分に着いた。


     天狗岩男坂の登り          天狗岩を通過してくつろぐ        前武川岳の山頂は雪だった

 さて、例によって少し脱線しておこう。一年以上前に「富士山の前にいつも見える大室山に登る」企画を考えた。個人的には道志側から登ったことがあるのだが、こちらは交通の便が悪い。それで西丹沢側から3月初旬に登る企画を考えた。ヒルを避け、厳冬期を避けた日程とした。2021年10月30日に下見を行ったら、2019年の台風で大室山の西丹沢側の登山道はすべて通行禁止だった。それで考えた結果、武甲山の一の鳥居から橋立鍾乳洞に抜ける企画を考えて、12月20日に一の鳥居まで行ったら、その場で、橋立に向かう林道が法面の崩壊で通行禁止であることがわかった。それで一の鳥居から武甲山を往復して帰宅した。帰りの電車の中で、最終的に武川岳に行きつき、12月28日に下見をすることに決めた。しかも雪の影響を減らそうと3月10日の企画と入れ替えた。3度目の正直の企画であり、どうしても実施したいという気持ちになったのだ。


  武川岳で記念写真(スタッフ班)      武川岳で記念写真(幹事班)         山頂でくつろぐ

 3月24日の朝、7時45分飯能発「名郷」行きのバスは、われわれ18名でほぼ埋まった。申し込みが20名あって、2名は3月初旬にキャンセル、1名は22日の積雪で欠席、1名は24日の朝、遅刻で欠席だった。22日に雪が降り、幹事は稜線上と雌岳の急な下りの積雪量が気になり、23日の午前中、芦ヶ久保から雌岳まで直前下見を行ったのだ。終点の名郷で開校式、名郷には2021年の蕨山企画で来たばかりだった。ここのトイレで用をすます。あとは芦ヶ久保までトイレはない。8時55分にスタートした。伊豆ヶ岳が顔を出す方向に進み、「西山荘 笑美亭(わらびてい)」の前で右に曲がり、まずは車道を登る。登山口に至る約20分は、車道が多くいささか退屈だが、ミツマタ、ヒュウガミズキが慰めてくれる。直前下見の結果、天狗岩を通過した地点、つまり標高800mより上部では雪が残っていると踏んでいた。


   雄岳からの武甲山の威容        焼山での記念写真(スタッフ班)         武川岳の下り

 天狗岩の前衛といえる石灰岩の岩塊が目に入ると雪がちらほら出てきた。やがて男坂と女坂の分岐に着き、全員、男坂に向かう。危険な個所のない岩場だが全員に「3点確保」を徹底するように注意する。雪もないので快適な岩場を楽しみ、予定通り10分ほどで通過した。休憩しているとスタッフ班も到着したので出発した。ここからときどき雪道となるが23日の夜の雨で積雪量は減っていた。前武川岳の直前には左側の鹿柵に沿った、やや急な登りになり、ここで疲れる。胸突き八丁だ。突き抜けた前武川岳の山頂は真っ白だった。誰かが道標の上に雪だるまを載せた。ここから武川岳まで15分ほどで気も楽だ。武川岳の山頂に人の姿はなく、雪はほぼ消えており、めいめいシートを広げてランチタイムとした。気持ちのいい天気だったので、予定を10分延長して30分休憩とした。休んでいる内、5分遅れでスタッフ班も登場。順調だった。

 

 幹事班は予定より早く11時55分に山頂を出発した。スタッフ班は予定通りの出発だった。ここの山頂から雄岳までは常に武甲山が無残な姿を左側にさらしている。無残と書いたが、威容であると思う。積雪のない場所が多かったので、斜面の上部でみなさんにアイゼン装着について一応希望を聞いてから下った。みなさん、軽アイゼンはなくても下れますという答えだった。最初の下りからところどころ雪が付いており、足を滑らさないように下っていただいた。意外に列が伸びず順調に下っていただいた。下っている内に林道出会いについたので、女性参加者と相談して、適所に仮設トイレをセットした。いつも使用するものより、さらに簡略版である。スタッフ班に回収していただく。10分弱で出発。しばらく林道を歩き、左手に大きな武甲山を拝み、登山道に入った。焼山に着く。今日は誰にも会わない。書き忘れたが、23日に着けたであろう足跡が先行して一人分あった。直前下見では幹事がトップだった。


      雌岳の急な下り         芦ヶ久保直前のハナネコノメ        芦ヶ久保のトサミズキ

 さていよいよ、焼山のロープ付きの下りである。入口まで参加者の一人と一緒に下り状況を確認する。「行けます」というのでアイゼンは止めた。地面が見えている。直前下見の雪が一夜で消えていた。10mほど間隔を開けてロープを頼って下る。中には「見栄を張ってロープを使わない」というつわものもいた。幹事一人だと5分もかからないが、合計9名のパーティだと10分近くかかる。下で全員集合し、雄岳に向かって歩く。大した標高差ではないのだが、昼食後でもあり、雄岳の登りはくたびれた。淡々と登り雄岳の山頂に着くと、やはり武甲山は威容なのだった。ここで見納めである。一旦少し下って少し登るが、上り下りが続いて疲れているのできつい。雌岳の山頂には雪が少し残っていた。風が出てきて少し寒くなった。いよいよこの日のハイライトだ。全員、気合を入れて準備をする。数人で下を覗き状況を確認する。雪はほぼない、真下を見ると落ちていきそうな斜面に見えるのだ。ここでも10m程度の間隔を開けて、転ばないように慎重に下った。先頭を行く幹事も後続の二人しか面倒は見られない。最後尾を確認しながら下ると、なんとトレラン姿の若い男が登場した。しばらく待っていただいた。一番下の方ではロープを離れて下ることができた。幹事は14時19分に下り始めて、14時31分に着いたが、最後の方が着いたのは14時38分だった。幹事一人の5倍かかったことになる。

 

 全員揃ったので先に進んだ。これから先は雪はほぼない。急な下りもない。少し先に進むとトレランの方が抜いていった。彼は足元はドロドロだった。途中で一回休憩し、道の駅に向かった。途中、アブラチャンを見かけた以外、山野草がほとんどないのだが、とても小さなハナネコノメを見かけた。そして道の駅にトサミズキがあった。15時29分に芦ヶ久保駅に到着。山頂の10分延長の休憩時間を考慮すれば、予定時間より5分の遅れだった。解散して、15時39分の西武線に乗っていただいた。幹事と有志3人は後続を待った。幹事は缶ビールを買いに行き、ビールを飲みながら待っていた。20分ほどたってからスタッフに電話をかけると、10分ほどで到着する場所にいることがわかった。到着は16時5分頃だったか。足元を泥で汚している方が多かった。苦闘をねぎらい、そして体調をうかがった。足がつった方が一人いた程度で、みなさんお元気だった。

 

 参加されたみなさん、2021年度最後の企画にご参加いただきありがとうございました。緊急事態宣言解除後、15回すべての企画を実施できたのはみなさんのご参加あってのものだと思います。ありがとうございました。

 

・参加者:16名(申し込み20名、キャンセル4名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(スタッフ)

・報告:稲葉(25年)