武田勝頼の墓所、景徳院から尾根を辿り曲り沢峠へ、滝子山山頂からは藤沢を

     目指して下る。富士山の絶景は下ってのお楽しみ!

 

中央線に乗って大月駅を過ぎると北側にひときわ目立つ山がある、それが滝子山だ。「たきごやま」という。藤沢集落からのコース、有名であり経験者向きとされる岩場のコース「寂ショウ尾根」とも呼ぶ、そしてスミ沢沿いに道証(みちあかし)地蔵から沢に入るコースがある。今回、計画ではスミ沢から登る予定だった。919日(木)に同じコースで下々見も済ませている。すると1012日に台風19号が襲来して、山道はどこも大きな被害を受けた。山笑(やまにこ)会の企画も影響を受けて次々と中止、コースの変更に追われた。1210日実施予定の滝子山も例外ではなく、コースの再下見を考えたが、被害が大きく、コース変更をすると再々度の下見が必要になり時間的に対応できない状況だった。そこで、20132月に歩いたことのある景徳院からの尾根コースを考えた。実はほとんどのガイドブックにも軽く紹介されているだけのマイナーコースなのだ。穴場といえる。121日(日)にスタッフで下見を行った。また、ネットで情報を収集し、コースの安全性はほぼ確認できていた。

 

 

 本番の日は幹事は7:36に甲斐大和駅に着いた。数名の方が一緒に到着した。間もなくジャンボタクシー2台、セダン1台が到着。朝、電車に乗っていると「家族の事情でキャンセル」のメール。しばらくして「電車に乗り遅れた」とショートメールが来たが、やりとりで参加を断念していただいた。この日はもう一人乗り遅れが出て、都合3名のキャンセル、結局参加者16名となった。3台に分乗して景徳院へ。ものの10分で到着。トイレを済ませていただき、開校式。天気が思った以上に良くみなさん登る前から感激されていた。本日の班編制は、50音順にした。しかし、50音順だと説明したのに、幹事の班は足の速い方の班だと思い込む参加者がいる。こうなると摺りこみだ。景徳院を通過するまで自由に歩いていただく。82歳の方と世間話をしながら歩く。この方は幹事がハイキングの企画を始めた頃からの参加者だ。


            最後の渡渉                        スタッフ班

 立派な造りの景徳院を通過し、手を合わせ「曲り沢峠登山口」へ。ここで班ごとに歩くことにする。天気良く、気温高く、果たして雪があるかどうか期待半分、心配半分で歩くが足下の地面を見る限り茶色の落ち葉は湿っており、まず積雪、凍結の心配はないと判断した。曲り沢峠に向かう尾根コースは紅葉こそ盛りを過ぎたものの、少しずつ標高を上げ、展望も少しずつ良くなってくる。前方からも後方からもこの日は誰も来なかった。天気が良く気温も高いのだが、日陰に入ると気温が下がるので体温調整に気を使いながら登った。

 

 

 やがて、登山道は少し急になった。下見で積雪が残っていた地点で、寒ければ軽アイゼンが欲しい地点だが、この日はみなさん何とかクリアしたが、列はばらけて長くなった。実力の出る地点なのだ。ここを登り切ると左に大きく曲がり山腹をトラバースする。ここも下見で積雪があれば軽アイゼンを装着しようかと考えた場所だ。気持ちよく通過して曲り沢峠に着いた。ここで幹事班にいた女性が、後ろの班に移りたいという。それで、急きょ、スタッフの班を「ゆっくり歩き隊」に編成して希望者4名を編入し、残りは幹事班とした。山笑(やまにこ)プラスでは「ゆっくり歩き隊」の編成は考えていないので、これは幹事のメンバー構成のミスだろう。臨機応変の班編制は必要だが、その前に編成のミスがあったということだ。


    スミ沢からの合流点手前で後続を待つ幹事班              本日一番の急登だった

 曲り沢峠からしばらく歩くと右から登山道が合流する。道証(みちあかし)地蔵からスミ沢を登って来る沢沿いの道だ。121日(日)に下見をしたときは、ここで2名の方と出会って話を聞いた。後で書くが山頂にも大勢の方がいた。この日はこの合流点でも誰とも会わなかった。ここからほぼ水平の登山道を歩くと、沢の音が聞こえてくる。スミ沢の水音なのだ、この音は段々強くなってくる。スミ沢は水量が豊富なのだ。やがて登山道はもっと下に下りてスミ沢の沢添いを歩くようになる。渡渉が2カ所あって、靴を脱ぐ必要はないが、渡渉地点を選ばなければ渡れない。ここを過ぎると沢から離れる。ここまで30分歩いて5分休憩のペースで歩いてきたが、ここから山頂までは20分歩いて5分休憩すると伝えた。

 

 

 沢から離れて歩くと、まず大谷ケ丸(おおやがまる)分岐を過ぎる。あまり人の歩いていない山道だ。われわれはまっすぐ登る。ここから道はシモバシラができていてザクザクだった。一歩進むと少し沈む、疲れの出てきた足にとってさらに疲れる山道だ。頑張って登ると、大谷ケ丸から続く稜線と合流し、ここで休憩して後続を待った。幹事班もさすがにばらけた。後ろからスタッフ班が来るが、こちらはもう少しばらけていたがバテている方はいなく、どうやら山頂まで5分程度の差で登れるとみた。みなさん、山頂まで残り20分と思うと頑張れる。休憩後にまた登り始める。それから左に方向を変えて、白縫神社の可愛らしい祠が出てくる。もうすぐ先で山頂に続く稜線が出てくる合図だ。

                      滝子山山頂での集合写真

 稜線に出て、「稜線だよ」と伝言ゲームで後ろに伝えると小さな歓声が上がった。そして1140分にほぼ予定時間に山頂到着。「おお、なんと予定時間通りだ」と感激の声が出た。山頂に着くと誰もいない。幹事は滝子山の山頂は4回目なのだが、誰もいなかったのは初めてのことだった。思ったより温かく誰もいないので山頂で予定通り30分休憩とした。めいめい座る場所を確保して昼食を食べた。ところが山頂では折からガスが出てきて眺めが悪かった。富士山は見えず、雁ヶ腹摺山も見えなかった。しかし、文句は言うまい。おおむねOKの天気だった。山頂で全員集合の写真を撮って下山開始。下りは全員一班とした。幹事が先頭、スタッフは最後尾とした。全員の力量から大きく列がばらけないと判断した。

 

 

 滝子山の山頂から藤沢に下る尾根は陽当たりがいいの、で12月前半の少々の雪は消える。しかし、岩の多い道で、下って女坂に入ると少し滑りやすい道になり、山道にはロープが張られている。疲れの出る時間帯なので転ばないように注意する。順調に下り、檜平に着いた。ここで男坂と合流する。幹事は自発的に手伝って下さる参加者と仮設トイレ用にシートを設置した。100円ショップで買った1.8m四方のシートを4枚、貼り合わせたものだ。これで3方向か4方向を囲み仮設トイレにしている。女性が順番に用を済ますと予定より長く20分程度かかった。終わり次第、幹事がシートを撤収、スタッフが全員を率いて次のポイントに向かった。このシートの撤収には5分もかからない。15分後には追いついたが、この日は水場手前の分岐点までスタッフに先頭を任せた。


          檜平(トイレ設置点)                    下りは全員一緒の班とした

 以降は大変順調で、予定より早く林道終点に出た。水場から林道終点までの道は実は荒れていてわかりにくい。幹事の後ろを歩いていた方に、下見で初めて歩いても迷いませんと質問された。先を見て一瞬考えることはあるが迷わない、が答えだ。以前、FITの山のベテランとルートファインディングの話をしたことがある。迷う迷わないは、一人で登った経験によるのではないか。かくいう幹事も、鷹ノ巣山で迷いかけてたまたま一緒に歩いた方の後ろに着いたら、やはり道がわからなかった。だから、いつも2番手を歩く方はルートファインディングの技術が身につかないのではないかと思う。と言う内に民家のある車道に出た。

 

ここから初狩駅に向かって歩くと、正面右に大きな富士山が見えてくる。集落の近くで中央高速の下をくぐってまっすぐ行くと、「藤沢入口」という信号に出る。信号を左に曲がって次の信号にコンビニがある。コンビニで買い物をしてから初狩駅に向かうのだ。幹事はコンビニで缶ビールを買って初狩駅に向かい、駅舎内で閉校式・振り返りを行った。ホームに出て電車を待つ間、待合室でミニ宴会が始まり、来年の企画について質問が飛んできた。今回も山笑(やまにこ)会らしい終わり方となったのだ。山笑(やまにこ)会の今年の「掉尾は九鬼山」で「みっちゃんうどん」でうどんを食べて忘年会なのだ。

 

 さて、ここからは付録だ。初狩駅で閉校式・解散後、電車に乗り、直帰組はそのまま高尾へ向かう。有志は大月で下車して濱野屋に入る予定だった。しかし、高尾駅に直通の電車を途中下車するのももったいないので、そのまま高尾駅まで行き、幹事が良く行く「たまの里」に入ることにした。電車に乗ろうとすると「高尾まで行くならわたしも行きます」とうれしい追加参加者が出て参加メンバー9名になった。16時半に店に入り楽しく今年を振り返ったのだが、ここを解散後、もっと飲もうという猛者がいて、5名残ってまたまた続きとなってしまった。この週はさすがの幹事も飲み疲れであった。山も酒も強い山笑(やまにこ)メンバーであった。(報告:稲葉 力)