高見石からコケの白駒池を展望した。かろうじて黒百合を観賞することができた。東天狗岳はガスの中、由緒ある渋の湯につかって山の疲れを癒した。とてもラッキーな二日間だった。7月17日(水)~7月18日(木)北八ヶ岳。

 

 

 曇っていた空が笹子トンネルを抜けて甲斐大和駅に来ると晴れてくる。しかし、喜びもつかの間ですぐに曇りになる。これが

茅野駅付近に来るとまた晴れてくるのだ。地形のせいらしいが、こちらは心の中でやったと叫んだ。17日~18日の北八ヶ岳ハイ

キングは、山笑(やまにこ)会が企画した、初めての遠出一泊ハイキングなのだ。やはり北八ヶ岳は人気があって、3名ほどお断

りして17名としたのだが、キャンセルが出て予定通り15名での実施となった。

 

 駅舎の反対側のバス停でバスを待つと梅雨明けの陽気となった。混みませんというバス会社の予想に反して、われわれ17名

外に10名ほどの客がいて、うち2人立つことになり運転手は平謝りだった。バス会社のお勧めで団体チケットを購入した。茅野

で標高は1,000m程度あり、この日はバスで標高2,100mまで上がることになる。標高が上がるに連れて植生が変化する。途中、

鹿の親子も登場した。われわれは麦草峠で下車したが、他の客は白駒池駐車場まで行ったようだ。


       白駒池に向かって木道を快調に歩く                ベニバナイチヤクソウ

 トイレを済ませ、体操は各自で重点個所をやっていただき白駒池に向かって出発する。クリンソウ、テガタチドリ、ハクサンフウ

ロ、ハクサンシャクナゲ、ヨツバシオガマ、ベニバナイチヤクソウ、ギンリョウソウ、ミツバオウレン、ゴゼンタチバナ、等が目を楽し

ませてくれる。沢沿いを歩くような感じの道でぬかるんでいるところも多いのだが、下見の時よりはましだった。しばらく歩くと、コ

ケの説明看板が出てくるのだが、何度見ても実はよく判別できない。しかし、あたり一面のコケはやはり壮観で、最近、白駒池の

コケは人気があるようだ。駐車場の付近を過ぎるとコケ目当ての観光客が増えてくる。30分も歩くと、あたりを圧倒するかのよう

な壮大な白駒荘が登場する。

 

 山荘の前にザックを置いて白駒池一周に出かける。35分ほどで一周できる。一周する直前に山小屋らしい青苔荘(せいたい

そう)に着く。青苔荘を過ぎて白駒荘に戻った。30分ランチ休憩とした。ベンチの上の方にはずっとキセキレイが虫をくわえて

まっていた。白駒荘は100円でトイレを貸してくれるので、使ってみた。この日は中学生の団体が入っていて、ランチ等のサー

ビスは受け付けないとのことだった。中に入って驚くなかれ、真新しいウォシュレットのトレイがあり、近くには風呂場まであった。

湖を汚さないためには巨額の投資が必要だっただろう。火災に遭い新築したそうだ。


         岩だらけの高見石に登る            やりました!高見石です。白駒池もバッチリ見えました。

   高見石目指して歩き始める。30分ほどの登りだが、7月は雨の日が多く、足下が悪く、岩がゴロゴロの山道で転倒しないように気を 使う

歩きだった。途中、アメリカンスクールの子供たちなのだろう か、先生と英語を話しながら下ってきた。30分ほどで高見石小屋に 到着。30

代の半ば頃だろうか、正月にここに泊まったことがあっ た。まだ、正月を山の中で過ごした時代を思い出した。ザックを置 いてすぐに高見

石に登る。曇ってきて展望が心配だったが、ちゃん と白駒池が見えて宣伝に偽りなく安心した。この岩場は登りより下 りの方が降りやすい。

戻って小休止して中山に向かって歩く。  中山までコースタイムは1時間半なので、1時間40分見込んで いたが予定より早く中山展望台

に到着した。ここの登りも岩が多く 足場が悪く、足の疲れる山道だったが、コイワカガミ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ等が楽し

めた。中山展望台に着くと 疲れが吹き飛ぶ。後続がなかなか来なくて、少し長めの休憩を取っ た。歩き始めると10分ほどで中山のピーク

に着く。右手側に古び た山頂標識があるのだが、前を向いて歩いていると通常見逃す程度 の標識だ。標識を過ぎると展望の良い位置に

出る。ここから中山峠 まではすぐだ。左にはニュウが見えてくる。明日、登る予定の東天 狗岳も断念した西天狗岳も見えている。中山峠から右に折れると木 道に入る。木道の周囲にはオサバグサ、ミツバオウレンなどがある。


      下見で見かけたウソ(高見石手前)              黒百合ヒュッテに着きました(廣川班)

 木道が終わった地点に黒百合が一株ある。これを皆さんに見ていただく。今週でこの黒百合も終わりだろう。もう一カ所、近くに黒

百合があってそこにもご案内する。ヒュッテと木道の間の右手側はネットで囲まれていて、鹿害の対策を取っていた。中では黒百合が

年々増加しているという。ヒュッテができた60年前は黒百合平は黒百合であふれていたそうだ。ヒュッテには16時頃に到着すると連

絡しておいたが、順調に到着することができてほっとした。女性陣は追加料金1,000円を払って6人部屋に入ったが、男性陣6人は大

部屋に寝ることになった。缶ビールを飲んでいると16時半頃に雨が降り始めた。もっとも1時間後は止んだのだが。

 

 早速、中央のストーブを囲んで缶ビールで乾杯した。山で一泊するといろんな方と話ができて楽しい。意外な一面を見ることもでき

る。17時半から夕食で夕食後も数名で飲み、僕は20時に寝たが、もっと遅く起きていた方もいたようだ。黒百合ヒュッテの電波状況は

不安定でこの日は衛星放送も入らず、天気予報も見ることができなかった。スマホは使えたり使えなかったりだ。参加者にはご自分の

充電器持参を勧めておいた。この日は他の客は10人程度でみなさん大部屋だった。ところで黒百合ヒュッテのトイレも水洗になってい

るが紙は流せない。排泄物は風力発電の電気で分解しているようだ。嵐のときのように風力発電も太陽光発電も使えないとき以外は、

発電機を使わないそうで、「のんびり鳥の声を楽しんで下さい」とのことだ。


            オサバグサ                    東天狗に登ったぞ!with稲葉

 翌朝4時半に起きた。5時半の朝食までに出発の準備をしておくようにお願いしておいたので、みなさん順番に起きてきた。一人の女性

が具合が悪く、東天狗は遠慮した方がいいだろう、といわれた。スタッフが話を聞いて脱水症と判断し、充分に水分補給し、ご本人がお持

ちのビタミン剤を飲んでいただくと嘘のように回復された。朝食を食べて予定どおり6時に出発できたのには幹事としては少々意外で驚いた。空には青空が広がっていた。歩き始めると暑いほどだった。中山峠まで戻り、いよいよ岩だらけの山道を東天狗を目指す。しかし、昨

日の道よりは歩きやすく、疲れも少なかった。左には稲子岳が見えていた。遠くの山並み、下界の町並みも見ることができた。東天狗岳に

順調に山頂に到着した。徐々にガスが広がり、残念ながら遠くの展望はなかった。それでも東天狗岳に登るのが目標だった方もいて満足

していただいた。根石岳方面から登ってくる方々と入れ替わりで下山した。途中振り返ると嘘のようにガスが消えてゆき、天狗岳山頂が姿

を現し見送ってくれた。黒百合ヒュッテで預けておいた荷物を受け取り30分休んで9時に出発とした。黒百合ヒュッテで預けておいた荷物

を受け取り30分休んで9時に出発とした。

 

 下りのコースは唐沢鉱泉分岐~八方台分岐~渋ノ湯とした。下見で東天狗岳~西天狗岳~唐沢鉱泉と~渋ノ湯と歩き、西天狗岳の下

りが少々きつかったので西尾根は断念することにした。しかし、唐沢鉱泉分岐までの下りも沢沿いのなかなかタフな道で、転倒しないよう

みなさん足下に非常に気を使っていたようで、渋ノ湯に着くとみなさんホットしたようだった。特に大きく遅れる方もなく、バテる方もなく、

なさんお元気だった。予定通りに11時過ぎに到着し、休憩付きの温泉入浴をお願いした。一人だけ11:35発のバスで茅野駅に向かわれ

た。12:39茅野駅発の特急あずさにギリギリで間に合ったとのことだった。みなさんの要望でそばも頼み、温泉から出たあとは休憩室で懇

親会となった。11:35発のバスの次は、14:55発(これが最終)なので、タクシーを頼んでおいた。広間で懇談していると雨が降ってきた。昨

日、今日とラッキーなハイキングだとみんなで感激したことだった。(報告:稲葉) 

 

・参加者:15名(2名キャンセル)

・スタッフ:稲葉力(幹事)、廣川妙子

東天狗の山頂だ!with廣川

渋の湯の広間で入浴後に乾杯!