梅雨明けて、御嶽渓谷の花々に満足し、東馬場家のおもてなし、

      山香荘の風呂とそばにも満足した一日だった(2020年8月6日実施)

 昨日、西東京バス氷川営業所に連絡を入れて、9時15分発のケーブル下行きバスに22人乗りますと伝えると、「コロナの関係で臨時便は出せません」といわれた。これまではすぐに臨時便を出してくれたのだ。それで、1台では確実に乗れないと判断したので前日、参加者にメールで可能な方は8時20分のバスで来て下さいと連絡した。半数の10名程度は早いバスで来て下さるかと思っていたが、20名の参加者中18名の方が早く来て下さったのには驚いた。それで御嶽駅前8時30分のバスに乗っていただいた。ここで幹事か久保班長がバスに乗れば良かったのだが、ウッカリ2人で次の電車を待ってしまった。滝本でスタッフ不在で長い時間お待ちいただき申し訳なかった。9時2分に全員集合して、9時15分のバスでケーブル下に向かった。一台では乗り切れなかったことを確認した。

 

 滝本駅では、今度はコロナのために乗客の制限をしているという。50人だという。もっとも厳密なものではないし、すぐに臨時便を出すというのでそう問題はない。約50名の客で山頂駅へ向かう。山笑(やまにこ)会で御岳山に来たのは昨年の1月以来のことだ。あのときは御嶽駅から歩いたのだ。山頂駅で降りて御岳平で開校式。今回はハイキング後に希望者で「東馬場家」か「山香(さんこう)荘」に寄る企画なので、幹事が班長の班は山香荘に寄る方でほぼ固め、久保班長の班は東馬場家に寄る方々とした。不思議なことにほぼ半数になったのだ。久保班長が体操をして出発した。予定よりやや早かった。

 

 

 


      天狗の腰掛スギで休憩(久保班)               石段で最初の邪気を踏む(久保班)

 下見では出発してから約50分で長尾平分岐に着いたので、今回は山野草の観察にも時間をかけようと50分の時間を見ておいた。早速、ヤマハギ(花序が長い?)、ヤマユリ(鱗茎がどうの)、オオバジャノヒゲ(花が上下)、ミヤマタニワタシ(谷を渡る?)、ダイコンソウ(キツネとどこが違う)、ハエドクソウ(ハエとは)、キツネノボタン、ヒメフウロ(ゲンノショウコの親戚?)、アカネ(何を染めた)、ミツバ、ウマノミツバ(ミツバとどこが違う)、ユキノシタ(天ぷら?)、オオバギボウシ、八重のドクダミ、ソバナ、イワタバコ、ヘビイチゴ等々を説明していると、幹事の班は40分で通過の予定だったが、しっかり50分ほどかかってしまった。ミヤマタニソバを説明した際に、「帰りには土方歳三とミゾソバの話をします」といっていたのだが、忘れてしまった。さて、これをお読みの皆さんはいくつご記憶だろうか。

 

 長尾平分岐で休憩した。後ろに久保班が見えてきた。こちらは出発する。急な下りが続くので足をひっかけて転ばないように注意する。今回のメンバーは列が伸びない。幹事が少し進んでは後方を確認するがちゃんと全員見渡せる。ときどきタニタデらしき花が姿を見せる。しばらく下ると沢の音が聞こえてきた。段々音が大きくなると下の方に木橋が見えてくる。沢の音はそこから聞こえてくる。左から上養沢から上がってくる山道が合流する。今回のコースは事情で何度か変更したが、最後に残った候補の一つが上養沢から七代の滝に登るコースだった。しかし、幹事が行った下々見のときには合流点のわずか下部で山道が崩壊していたのだ。幹事はそのとき通行して七代の滝まで来たが、団体で「東京都レンジャー」の「通行禁止」を無視するわけには行かず断念したのだ。そんな事情を説明しながら七代の滝に到着した。

 

 


  もうすぐ鳥居、滑りやすい木橋を注意して歩く(稲葉班)          お浜の桂に感心する(稲葉班)

 天狗岩から七代の滝には行きにくい。あの鉄ばしごを下るのがきつい、そして登り返すのもきつい。まだ長雨の影響で水量は多い。タマガワホトトギスも咲き始め、イワタバコはまだ魅せてくれる。タマガワホトトギスはこれからが本番で長くつながる葉の上に、それぞれに花が咲くのが一番きれいだ。その頃にはイワタバコは終わっている。そしてレンゲショウマがその頃から見どころを迎える。花を見ていると久保班が追いついて来た。場所も狭いので譲って天狗岩まで頑張ることとした。鉄ばしごにしっかりつかまってバランスを崩さないようにと注意する。

 

 狭い鉄ばしごをあえぎながら天狗岩に着く。企画したときは、「希望者は天狗岩に登ろう」と誘うつもりだった。しかし、幹事の気持ちにもコロナが影響したか慎重になり、天狗岩に登るのを勧めるのは止めておこうと考えていた。しかし、どたかな登りますか、というとスルスルと女性が4人ばかり取り付き始めたのには少し驚いた。少々バランスが悪いように見える方もいて少し心配したが無事に全員下って来た。みなさんが下ってきた頃に久保班も到着、やはり女性2人、男性2人トライしたようだ。天狗岩の久保班を見上げながら休憩所に向かう。毎年見えるフシグロセンノウはもちろんまだだ。これは何ですかと聞かれて見たら、ギンバイソウだった。不思議な花、ギンバイソウはほぼ終わっていた。御岳山ではどうしてもこの花の最盛期に巡り会えない。過去に一度だけ見事に咲いていて、ヨツスジハナカミキリがたくさん群がっているのを見たことがある。おまけに不思議なことにほとんどのカミキリが交尾していたのだ。

 

 


長尾平分岐からの急な下り(稲葉班)      七代の滝直前の木橋(稲葉班)       七代の滝で休憩(稲葉班)

 休憩所に着くと先客が5~6人おられた。梅雨が明けて御岳山は急に客が増えたようだ。シーズン中の土日はここの休憩所のベンチは半分以上埋まっていることを思うとやはりコロナの影響が続いているようだ。20分のランチ休憩とした。東馬場家で軽食を食べる方、山香荘に行かれる方は軽食としていただく。幹事と同世代のYさんと山の話をした。他の山が中止になったので、金峰山に参加したいといわれるので、どうぞどうぞと。100名山もかなり登られているようだ。帰りの電車の中でも山の話をしていたら、横にいたおばさまに「もう少し小さな声で話をして下さい」と注意をされた。久保班が無事に天狗岩を下ったか気になっていたので、後方を見ていると全員の姿が見えて安心した。ここも場所は狭いので、みなさんに出発しましょうといわれた。

 

 ここから綾広の滝までもタマガワホトトギスとイワタバコがたくさん見られる場所だ。といっても残念ながらタマガワホトトギスは七代の滝が一番見事だったようだ。クサアジサイも終わっていた。この時期、大きな一眼レフを抱えたアマチュアカメラマンが御岳渓谷をたむろする。綾広の滝まで行き、「お浜の桂」を見る。普段は遠目に見てすぐに通過するのだが、何せ今回は「観察ハイキング」なのだ。それから滝を見る。滝のそばにテバコモミジガサが群生しており目を楽しませてくれる。岩の上を見上げるとイワタバコが見事だが、望遠レンズの世界だ。イワタバコは不思議と人が手に触れることができない場所に咲く。もちろん、高尾山の蛇滝ならば目と鼻の先だが。そして、小さめのイワタバコの花が花ごとポトリを地面に落ちているのを発見した。花ごと落ちるようだ。綾広の滝から登る箇所はクサアジサイが見られるのだが、本番では駄目だった。

 

 


                      天狗岩の岩登り3景(稲葉班)

 上の休憩所を過ぎて、大岳山から来る山道に合流する。次は奥ノ院口トイレだ。東馬場家に行く方はここでトイレを済ませることにした。歩いていると小さな黄色い花が見える。花がまばらだがキンミズヒキのようだ。他の山野草は少ない。今度は最年長の方と話をしながら歩いた。実は、ご友人の元多摩美術大学の教授が、幹事が作成しているカボチャアートを見てみたいといわれるので、今朝3個差し上げたのだが、プロのような方が興味を持って下さるとは望外のよろこびだ。先に進むと山道の工事をしていた。われわれからすると感謝感謝の工事でみなさんで挨拶をした。すぐ先に天狗の腰掛けスギが見えた。

 

 休憩してすぐ脇の東京都の貯水タンクの話題になった。男性お二人が東京都の水道局が「東京都の水源を訪ねるツアー」をやっているのだという。柳沢峠方面のツアーもあるらしい。幹事は神奈川県民で知らなかった。なんて話をしていると出発の時間になった。今度は別の方が、神苑の森コースは初めてです、いい所ですね。といって下さった。このコースも今はミヤマシキミの青い実程度しか見るものがない。以前、ツクバネソウを花を見つけたことがあって、以降、度々歩いている。途中、丸太橋が2カ所あって大変滑りやすい。魔の時間帯に近いので注意を促した。

 

 


     風呂セットのソバ膳              山香荘に入る          東馬場家の神棚

 さて、神社入り口のトイレを過ぎて、鳥居に着いた。長尾平分岐に行く前に最初の「邪鬼」は踏んでおいた。残り2個を踏んでこよう、出発した。「邪鬼」とは鬼のことで、仏法を守る人々の敵のことだ。鬼を踏んでいるのは四天王なのだが、自分たちで踏むと邪鬼を払うことができるそうだ。9人で、初めての方は探しながら踏んで、3番目の邪鬼を踏んだら、みなさん、さらなるご利益を求めて本社まで行ってしまった。そのご利益はあって、レンゲショウマがきれいに咲いていたそうだ。久保班長も見事な写真を撮っていた。鳥居まで下ると、ちょうど久保班が姿を現した。バトンタッチでわれわれは山香荘の近道から向かった。いよいよ風呂に入り汗を流して生ビールだ。

 

 先に久保班の報告を書こう。班長をのぞいて9名の参加だった。ご当主は4つの大きな和机を用意して下さった、もちろん3密を避けるためで、3人、3人、2人、2人に分かれた。当方も参加者には、飲食時以外はマスクの着用をお願いした。対応して下さったのは、女将さん、若女将、第14代当主でした。はじめの頃、ご当主はお孫さん(第16代ですな)を抱かれていました。注文した飲物が出てくるまで、ご当主の許可を得て、久保班長が江戸時代に作られたであろう小便器・大便器を代理で案内させていただいた。間違っても実際に使う気にはなれない素晴らしい焼きものなのだ。注文したものはコーヒーセット(ホットコーヒーとバームクーヘン【花豆のせ】、アイスコーヒーとバームクーヘン)、しるこ、青梅ジュース。一番人気はアイスコーヒーセット。班長はお土産に女将さん手作りのジンジャー糖を買って帰ったそうだが、大変美味しかったそうだ。

 

 コーヒーの後、ご当主(馬場克己さん)が笛を吹いて下さった。2種類の笛(神楽笛と篠笛)で、一つは下見のときに吹いて下さった笛で、儀式のときに使用するものだという。神楽笛というのだろうか。もう一つは篠笛といい、神楽笛より細く軽量なものだ。正月に神社で吹かれている笛だそうだ。篠笛に合わせて、おかめとひょっとこが踊るわけだ。それから、ご当主が面白い話を語って下さった。東馬場家の神棚には石で作られた小さな狛犬が左右一対置かれている。かなり以前に、この狛犬を井戸のそばに移動させてところ、ご当主が躁鬱病をわずらったそうだ。大変困って、回復を念じていると、夢で狛犬を元の神棚へ戻すようにとの、お告げがあり、戻したところ躁鬱病が治ったそうだ。何ごとも、念ずることが大事とのことで御師らしいしめくくりがあった。東馬場家を出るとき、第15代の息子さんがバイクに乗って、緊急出動していかれた。ビジターセンターの緊急出動なのだろう。幹事が目撃した赤バイ一行の関係なのだろうか。

 

 さて、話を山香荘グループに戻そう。近道を山香荘に向かう。御嶽神社で邪鬼を踏んでいる間に、邪鬼踏みに参加せずに、先に山香荘の玄関まで行き偵察をしてきた方がいた。先導されて歴史を感じさせる玄関を入った。誰も出てこないのでロビーに入りくつろいでいると年若いご主人が出てきた。一人だけ別メニューで残りの8人は「お風呂+ソバ+生ビール」セット。男性陣は檜風呂に向かった。広間をのぞくと先客が4人いて、確か二人は渓谷で会ったような気がした。檜風呂に入ると、誰ともなく、「いいねえ、最高だねえ」という。窓の外は、緑が濃く、冬と違って下界が見えないことを知った。2階の部屋ならば夏でも展望できるだろう。生ビールが飲みたくて、すぐに出た。ロビーに戻り、風呂から順番に上がるのを待った。生ビールが出されるのを待って乾杯しようとすると、ある方の誕生日だった。さん、また一年元気でハイキングに行こうね!誕生日を祝って乾杯!場所を広間に移し、感染対策を考えた遠い距離を美味い生ビールとソバで埋めたのだった。

 

参加者:20名(東馬場家寄り道10名、山香荘寄り道8名、その他2名、キャンセル3名)

幹事:稲葉 力(報告、写真は稲葉と久保)、スタッフ:久保雅春、下見スタッフ:小野梨香


                  タマガワホトトギス、イワタバコ、レンゲショウマ(撮影:久保)