去りゆく秋を惜しみ、黄葉を楽しみ、ツルリンドウの赤い実、小さなキッコウハグマに感動して「かどや食堂」で賑やかに談笑した矢ノ音・小孫山ノ頭ハイキング

 

 元々1127日(水)に大多摩ウォーキングトレールのハイキングを企画していた。ところがご存じ1012日の台風19号によって数馬渓谷、鳩ノ巣渓谷が甚大な被害を受けて、しばらく復旧できないことがわかり、この企画自体は中止と決めた。しかし、折角39名も申し込みがあったのでもったいないと、別の秋をご提案、楽しんでいただくことにした。その結果、増減があったが結局35名が申し込んで下さった。

 

 

 今年の2月に相模湖近くの千木良(ちきら)バス停から城山に登ったのだが、相模湖駅からバスに乗って千木良バス停で降りると、目の前にそば屋があった。「そば処 休屋(やすみや)」という。アレっと思い、帰宅して検索するとなかなか良さそうなのだ。それでひねり出したハイキングが、藤野駅から吉野バス停まで歩き、奈良本林道を歩き、矢ノ音に登り、急坂を下って大平へ、そして孫山から大久保林道を下るコースだった。この大久保林道は山笑(やまにこ)会で3年前に歩いたことがあるが、危険なにおいがプンプンするコースだ。そしてわざわざ「休屋」のそばを食べ酒を飲みに行ったのである。味はご自分で確認されるといいだろう、それが楽しいのだ。


       小孫山ノ頭で集合写真(稲葉班)               矢ノ音山頂で集合写真(槙田班)

 さらに今年の107日とその下見で、同じコースを歩き、小原バス停からバスに乗り終点相模湖で降りて、今度は「かどや食堂」に入ったのだ。この店で「30年床のぬかづけの刻み」を食べてビールを飲んで、とたんにこの店が気に入り、ハイキングコースと〆の組み合わせはできあがっていたのだ。元幹事から相談を受けて、(代行)幹事は即座に決断したまではいいが、実は台風19号の影響は調べてなかったのだ。後日、別の企画で藤野駅にいたとき「陣馬山トレールラン レース」なるポスターを見かけた。それに「奈良本林道が崩壊してコースを変更します」とあって驚いた。これを見てすぐに下見に行くことにして、別の登り道を確認しやっと正式にコースが決定したのだった。台風19号の影響はこれほど大きかったのだ。

 

 

 前振りが長くなったが本題に入ろう。本番前日の1126日、ほとんどの天気予報が14時、15時頃から雨量ゼロの雨の予報だったが、NHKだけ12時から雨と報じていた。すると必ずキャンセルが出る。27日の朝まで合計4名のキャンセルがでて、都合5名のキャンセルとなった。身構えてスマホを見ていたが、以降のキャンセルは入らず30名での実施となった。今回は4班編成とした。最後尾を歩く班は、幹事が判断したゆっくり歩きた方が中心。先頭を歩く幹事の班は、初参加あるいは歩行力の良くわからない方を中心とした。2班と3班は山笑(やまにこ)会の常連さんばかりで脚力がわかっている方ばかりだ。奈良本右尾根を登り平らな場所で休憩する際に、体調不良者の確認をすることにしていた。


       矢ノ音山頂で集合写真(久保班)                矢ノ音で集合写真(小野班)

 藤野駅9:36発のバスはわれわれ34人でほぼ満員、たったの3駅で全員下車する。吉野郵便局前で班ごとにミーティングをして歩き始める。このコースは中央自動車道の上を越えてマレットゴルフ場に向かうのだが、暑い時期には坂が結構きつくて汗をかく。いいウォーミングアップになるのだ。マレットゴルフ場の前で一息入れる。陣馬山トレールランレースの出発&ゴール地点だ。空には何と青空がわずかにのぞいていた。正面には奈良本林道にかかる大きな「火の用心」の4文字看板が見える。周囲の木々の黄葉を見ながら木々を同定して歩く。奈良本林道入口で崩壊箇所の説明をする。登山口に着く。「子の入り」と書いた標識がある。地図では「やのおと」なのだが、地元の方が書く標識類は「やのね」となっている。

 

 

 ここからの40分がこの日の最初にして最後の登りらしい登りだ。登り口こそ台風の爪跡が残っているが、登ると何ら影響はない。途中で伐採作業している方がいて挨拶した。地面に落ちている落ち葉のきれいなものを選んで木の種類を説明する。山笑(やまにこ)会で最もゆるいハイキングなので、わたしの班の初参加の者から「きつい」といわれるのを覚悟していたが、とても楽しい山道だといわれ安心した。少し遅れる初参加の方がいて、休憩地点で聞くと、いつもはもっとゆっくりで、今回はペースが早くて驚いたそうだが、何とかついて来られた。尾根上に平らな箇所があってそこで全部の班が集合し休憩した。各班長に参加者の体調を聞くと全班、問題なし。次は大平で全員集合し確認する。


      ダンコウバイの黄葉がきれいだった                 旧小原本陣を見学

 林道目指して登る。段々ダンコウバイの黄葉がきれいになる。それを過ぎると林道に着いた。ここで奈良本林道と合流する。ここで休憩する。もう少し行くと矢ノ音山縦走コースにぶつかり、左に行くと奈良本峠経由で栃谷温泉に行くことができる。30分弱歩けば矢ノ音で、そこまでの山道は緩やかで黄葉もきれいだ。シモバシラも見られたので高尾山と同じ程度の標高だから12月下旬にはシモバシラが見られるだろうか。先週の下見の時の方が黄葉はきれいだったが、本番ではまさに去り行く秋の風情だった。山の上では少しガスが出てきた。左に明王峠に行く巻き道を見送る。この巻き道も先日まで台風の影響で通行禁止だったのだ。この日は山頂には誰もいなかった。大抵、山頂で弁当を食べている方がいる。ここから南尾根ではなく、大平小屋に向かう急坂があって、いつもそこを歩いていたのだが、下々見のときに北に向かい、さきほどの巻き道と分岐する地点まで歩いた。そうすると黄葉がきれいだったのだ。本番でも北に向かった。今回は勉強熱心な初参加の方がいて説明のしがいがあった。

 

 矢ノ音分岐(yanoneと書いてある)から戻るように大平に向かう山道を歩く。このコースで反対側から来る人と会うのは山頂から孫山の間に限られる。多分、与瀬神社から登って来るのだと思う。矢ノ音から下る急坂の手前に崩壊箇所がある。通行はできるのだが、大きく崩壊しており要注意箇所だ。次の大雨でさらに崩れそうな感じだ。幹事の班は大平(おおひら)には11:55に着いた。ここで後続班との時間差を確認し、小原からちゃんとバスに乗れるか確認しなければいけない。寒かったので一枚余分に着ていただいた。2班、3班は問題なく、4班は15分遅れだった。30分休憩すればバスには遅れる、早く出ればギリギリ間に合うと班長に伝えた。30分休憩のつもりだったが、寒いというので幹事班は2班と一緒に早く出た。


          大平での昼食風景                     大平での昼食風景

 大平から孫山まではこの季節でも見るものがあるのだが10月初旬に来た時はすごかった。参加者が孫山まで歓声をあげっぱなしだったほどだ。この日はまず、ツルリンドウ、マルバノホロシ、ハダカホオズキ、そしてキッコウハグマは一株だけ、ヤクシソウ、シロヨメナ。ツルリンドウの赤い実が次々と出てきて、まるでクリスマスツリーのようなものがあった。ヒノキの面白い自然のオブジェがあった。これを過ぎると、また崩壊箇所。そして大久保林道コースの入口だ。最近、団体が歩いた形跡があった。そして最後のピークは小孫山ノ頭だ。ここで忘れていたお約束の集合写真を撮った。ここから相模湖の展望台を通って車道まで約35分、トイレもある。幹事班は、歩く順番を入れ替えた。遅れがちな方をわたしの後に入れて、列が長くなるのを防いだ。

 

 しっかりした山道だが階段が多くなるので、最後の最後で転ばないように注意した。歩き始めて5分もするとリンドウが出て来るのだが、みなさんツルリンドウで歓声を上げ過ぎたのかあまり歓声が上がらない。階段はあるものの歩きやすい道で順調に標高を下げた。その内、右方向から中央自動車道の車の騒音が聞こえてくる。さらに進むと音が大きくなり、正面からも聞こえて来ると相模湖の展望台に出る。相模湖と黄葉が非常にきれいなポイントだ。ここから10分弱で車道に出て、少し歩くと小原宿だ。ここでトイレを済ませていただき、旧小原本陣に向かった。15分程余裕があったので、外から旧本陣を見学していただきバス停に向かった。心配していた最後尾の班はギリギリでバスに間に合った。バスに乗っていた3人は突然大勢のハイカーが乱入して驚いたのではないだろうか。バスはわずか4分で相模湖駅に到着、解散し、有志29名で「かどや食堂」に入り、賑やかに来年の山笑(やまにこ)会の企画案を肴にして飲んだのである。早く来い来い2020年であった。

 

                                                (報告:稲葉 力)


        キッコウハグマ(11月18日)                  ツルリンドウの赤い実(11月18日)