急なサルギ尾根を登ると岩稜帯になる。バテル方もなく上高岩山に至り、

 岩場を通過して大岳山山頂へ。大岳沢を涼しさを感じながら下り、最後

  は鍾乳洞で歓声!何でもありありの企画だった。~7月8日(金)~

 

 昨年、千足バス停から千足沢コースを登り、滝巡りを楽しんでつづら岩に至り、馬頭刈尾根を大岳沢分岐まで歩き、大岳鍾乳洞まで至る企画を実施した。滝巡りは、小天狗滝、天狗滝、綾滝、大滝と4つも楽しめる。沢下りをして最後は大岳鍾乳洞でミニ鍾乳洞体験ができるのだ。大岳鍾乳洞にはきれいなトイレもあり、売店もあるので、下山後ゆっくりくつろぐこともできる。

 

 さて、昨年8月26日(木)に改めて下々見を行って、「大岳鍾乳洞は木曜日が定休」であることを知った。しかし、幹事は何を思ったか、人数が多ければ営業してくれるだろうと高をくくっていたのだ。10月9日(土)にスタッフと下見を行って、管理者に確認したところ「営業できない」ことがわかった。キャンプシーズンならば可能だろうが、シーズン外ならば無理ということだ。仕方がないので参加者にはお詫びをして「大岳鍾乳洞見学はなし」の企画で実施した。その本番、10月14日(木)に参加者の皆さんから「来年は鍾乳洞に行きたい」といわれて今回の企画を立てたのだ。

 

 しかし、2021年の企画をそのままなぞるわけには行かないだろう。天地山ルートから鋸山に至り大岳山経由ではちときついだろう。では、ということでサルギ尾根が浮上した。実はサルギ尾根は山笑(やまにこ)会が3年続けて「シロヤシオ企画」を立てた、因縁の場所であり、今回は、別の因縁を晴らす企画となった。サルギ尾根~上高岩山~芥場峠~大岳山~大岳沢~大岳鍾乳洞コースである。


      高岩山(幹事班)           高岩山(小野班)            高岩山(岸本班)

 今回は申し込みが22名あった。仕事の都合で1名キャンセル、体調不良で1名キャンセル、コロナの接種後の発熱で1名キャンセルで19名となった。7月8日(金)、武蔵五日市駅に7時59分着で集まっていただき、8時27分発のバス乗車となった。臨時バスを出していただいたが、小型バスしか運行できない道路なので半数の方は立つこととなった。その代わり、予定時刻より早めに出していただき時間的に大いに助かった。8日(金)にしたのは、ひとえに大岳鍾乳洞の営業日に合わせたためである。大岳鍾乳洞には、念のために6日(水)に連絡の電話をかけたが、全く連絡がつかず、営業に関して一抹の不安があった。

 

 大岳鍾乳洞BSにある養沢神社の境内で出発の準備をする。昔は大トチノキがあったのだが、枯れて伐倒された。今では高さ5m程度のトチノキがある。入口には巨大な昇竜の石像がある。準備運動をして予定より少し早い時間に出発した。本堂の裏手から登り始める。以前より山道が荒れていて、これが登山道かと思うような荒れた急登が始まる。ものの数分も歩くと手すりが現れて救われる。本日のペースは「ばてない」のが目標なので意識的にゆっくり歩いた。先週、思いもよらぬ早い梅雨明けとなり、みなさん夏バテ気味なので用心することとした。もし、体調不良者が出た場合は、芥場峠(あくばとうげ)からスタッフが同行して、御岳山RWに直行することとしていた。


    上高岩山(幹事班)           上高岩山(小野班)           上高岩山(岸本班)

 名にし負うサルギ尾根だが、きびしい登りは10分程度で終わる。そこで一息入れ、給水してまた歩く。足元にフモトスミレが葉が出てくる。以降、淡々と登る。650m付近まで登ると山道は北西方向から西に向かい、緩やかになる。進行方向左側の下部が大岳鍾乳洞なのだ。そして、炭焼き窯跡に到着。数人で「昔は、コナラなどの山だったんだろうね」と話をする、今はスギ林で炭にする木はないのだ。ここからは、スタッフ班が幹事班を自由に追い越してもいいことにしてあったのだが、どの班も追い越さなかった。ここからのサルギ尾根は今度は本格的な登りで、岩稜帯が始まる。同じ登りでも岩稜帯は体をうまく使えば疲れは少ない。高岩山でここの標高約650mで、これから920mまで登ることになる。

 

 9時55分に炭焼き窯を出て、高岩山には10時37分に到着。一か月早ければ、花があるのだが、この時期は花も見られない。正面に日の出山が見えるだけだ。8時50分に出て1時間半以上歩いたが、この時点で体調不良者はいなかったので芥場峠からのエスケープはなしと判断した。後続2班もぴったりと続いている。高岩山から上高岩山まではコースタイムで30分だが、毎回、最後の稜線が苦しいので今回は稜線に出た地点で一度休憩することにした。山笑(やまにこ)の参加者は、休憩するたびに、班長の後ろを歩く方を自分たちで交代するようで、ここでいつもと違う方が幹事の後ろを歩いた。この方が体力があるので驚いた。いつもと違う会話をしたり、その方の体力もわかり、順番の入れ替えも面白い。


      大岳山山頂               バイカツツジ         マタタビ(まるで絨毯のように)

 途中で目の前に花がポツンとあった。少し先に進むと大きな一株があった。「バイカツツジ」だろうと説明したが、帰宅して確認した。本日の、数少ないきれいな花でうれしい。稜線まで休みなく行くのはきつそうで、少し手前で休んだが、実は休みずらい斜面だ。そして稜線に出て、北に向かって胸突き八丁を登る。少し頑張ると前方に赤い小屋が見えてくる。それが展望台だ。やっと展望台の石垣に着くとその上に、オカトラノオがあった。東屋に着き奥まで入って下を見ると、ノリウツギがあった。ガスがかかっていたが、少しずつ晴れてきて下界の景色も見えてきた。6月21日には満開だったネジキの花はほぼ終わっていた。後続もほぼ時間差なく続々登場。体調不良者は出なかった。到着したみなさんは、どの方も大汗状態だった。予定通り昼食休憩を20分取ることとした。

 

 展望台は好展望だが山頂ではない。展望台を出て130mほど岩っぽい山道を歩くと道標があり、右側に狭い山頂がある。そこで集合写真を撮った。実は、この山頂は素通りしやすいのだ。元の道に戻り、ここから緩やかになるが途中、尾根道と巻き道に分かれており、巻き道を歩いているのに登りの緩い階段があり、疲れが出ているので、これが結構きつい。ここを通過すると芥場峠に着くが、今回は休憩しない。そして、ここから中沢ノ頭までの緩い登りもきつく感じられる。ここの登りは緩いのに不思議といつでもきつい。大岳山から戻って来るハイカーがどっと増える。

 

 緩やかな山道をしばらく進むと、右手に青いブルーシートをかけた小屋が見てくる。昔からある小屋で「ここから岩場ですよ」という目印だ。そこで休憩する。すぐに後続2班が到着。ここからはご存じの方も多いだろうが、岩場の道となる。要所、要所にクサリと手すりがあるので危ない箇所はない。みなさんには安全のためにクサリを使うようお願いした。大岳避難小屋には12時半頃に到着した。ここでトイレに行っていただく。全員に大岳山山頂に行くかどうか聞いたところ、3名が用心して(体調他)パスするというので、これらの方々と幹事が一緒に巻き道を行き、先に大岳鍾乳洞に行くことにした。本体16名とスタッフ2名が大岳山山頂に登り(岩場だ)、山頂から南に下る急降下の道を下って、合流点に出て、白倉分岐を目指すことにした。同時スタートで幹事は3名と一緒に巻き道を歩き始めた。


 急なサルギ尾根を数珠つなぎで登る        大滝手前で眺める         さあ、出発。上高岩山展望台

 巻き道は大変歩きやすい。みなさん、一度は大岳山に登ったことのある方ばかりなので、山頂に未練はないだろうと思った。山頂から下る合流点に出て、もう少し歩くと、タンナサワフタギのある場所に出る。6月21日の下見のときはきれいだった。この日はすっかり終わっていた。白倉バス停に下る(あるいは近くに、そば屋「深山」がある)分岐をさらに進み、大岳沢分岐に着いた。ここから一息に大滝まで行けるので少し休憩した。本隊は、そろそろ山頂を出た頃かなと考えた。ここからしばらく歩きやすい下りが続く。地面は一面にコナラの雄花が散らばっていたが、下見のときには全くなかった。もう少し行き、北に下り始めると降雨後は非常に滑りやすい石の階段道となる。わずか10分ほどだが緊張を強いられる道だ。そして、詳細地図には「サカサシバノ沢」と書いてある沢になる。

 

 ここに来ると、以降は何の問題もない沢下りの道となる。地面には白い花が散らばっており、帰宅後の検討結果、マタタビの雄花だとわかった。雄花の裏に小さな花状のガクがあり、それも一緒に分離して落ちていた。それから、徐々に岩っぽくなり、左の岩をへつるような場所が2か所あるが大増水でもしない限り問題はない。そして、前方に木橋が出てきて、右手に流れが速くなり、大滝に至った。時刻は14時過ぎであり、大滝から駐車場まで(林道)は10分程度だ。3人とも大滝の写真を撮った後、出発していいというので、すぐに駐車場に向かった。駐車場の直前に沢を橋で渡る場所があり、橋自体は増水しても問題ないが、その手前に岩伝いに渡渉する場所がある。そこが大増水すると渡渉するのにためらう場所なのだ。台風通過に伴う、雨の影響を考えたのはひとえのここの渡渉のせいなのだ。 


      ギンバイソウ              大岳沢を下る一行          大岳山の岩場を登る

 駐車場に着き、上を見ると上高岩山で見たノリウツギがあった。歩き始めるとマタタビがあり、虫こぶのようなものが見えた。途中の大岳鍾乳洞が経営するキャンプ場には客がなく、入口にロープがかかっており、一瞬、鍾乳洞も休みかなと心配した幹事であった。鍾乳洞手前のコンクリート製の橋を過ぎると、下見時に「アワブキだろう」と判定した花も終わっていた。そして前方に「営業中」の幟が林立しているのが見え、灯りが見えて、幹事は大変、安心した。受付けに到着し、まず、缶ビールを買い求め、後続のために残りの本数を確認し、安堵の胸をなでおろした幹事であったが、冷蔵庫の中身の分しかないといわれて、一抹の心配も感じたのだった。一瞬、飲む方々の顔が浮かんだ。時刻は14時40分、後続は幹事の読みより遅く15時15分に到着した。タクシー3台が約束通り15時30分に到着し、直帰したい方々と早く着いた方々から乗っていただいた。後続の方々は、鍾乳洞を見学し、缶ビールを飲んでくつろぎ、武蔵五日市駅からピストンで戻ってきたタクシーに乗って、無事に解散となった。

 

 ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。ご協力により予定通りのスケジュールで実施できました。急な梅雨明けによる夏バテ対策、台風接近による渡渉対応、等々気苦労の絶えなかった企画でしたが、「何でもあったね」と喜んでいただき幹事冥利に尽きます。次の企画もよろしくお願いします。

 

・参加者:19名(申し込み22名、キャンセル3名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(班長)、岸本(班長)

 

・報告者:稲葉(25年)


   黙々とサルギ尾根を登る           大岳山頂から下る         迫力の大滝を目の前で見る