2月12日(土)、まだ誰も歩いていない新雪の斜面にトレースをつけて、

    存分に雪歩きを楽しみ、絶景露天風呂に浸った。

 

 棚山冬山入門企画は2月10日(木)に予定していたが、その日の関東甲信越は大雪の天気予報となり、まず2月10日(木)は中止にし、天気予報を見て、2月12日(土)に延期して実施とした。2月8日の朝に決断し、参加予定者に連絡し、2月9日に延期日の参加者が固まった。もともとの申し込みは20名で、10日に参加予定だった方は18名、これが大雪の天気予報で16名になり、さらに中止&延期実施で13名となった。スタッフも下見は3名で行ったが、本番は2名とした。


    ほったらかし温泉に到着       車のわだちを歩く(歩き始め)     場所によってはこんなに雪が深い

 山梨市駅に着くと駅舎の外にはほとんど積雪がない。タクシーに分乗してほったらかし温泉に向かうと、積雪が少し増えてくるのだが、ひょっとして10cmもないのではないかと少々落胆した。幹事としては昨夜まで、さんざん積雪量に頭を悩ませていた。雪が少ないと楽だが面白くない、かといって膝上になると山笑(やまにこ)会の実力では無理だ。平地で20cm程度の積雪でも斜面では30cm以上になる。トレースがないとするとラッセルの負担が重くなる。贅沢な悩みで、「どうか無難な積雪量であってくれ」と祈っていた。

 

 ほったらかし温泉では平地では積雪量は10cm程度で安心した。トイレに行っていただき身支度を整えていただいた。トイレに行った女性に「展望トイレ」の感想を聞いた。ここで全員スパッツを装着した。幹事もスパッツをつけるのは久しぶりだった。予定より少し早く出発した。拡張し続けるキャンプ場を左手に見ながら歩くが、林道に雪はない。先にある製材所まで除雪車が入ったようだ。キャンプ場は一昨年のコロナ禍以降、人気が出て拡充を続けているようだ。


  スタッフ班の集合写真(重ね石)      幹事班の集合写真(重ね石)      奇妙な形の樹木(重ね石手前)

 その先は10cm程度の積雪があり、車のトレースが2本ついていた、そのせいで少々歩きにくかった。人のトレースは全くなかった。これで今回は自力でトレースをつけることが決まった。車のわだちを歩いたので、列が長くなった。途中、一か所だけ雪が消えている場所があり、そこできれいな富士山を眺める。ここからは車のわだちも消えて、全くトレースのない山道となった。

 

 少し前に進むと林道の雪が少し深くなり少し下って沢を渡る。そこからさらに雪が深くなる。前方にかずかに道標が見えるのでそこまで進むと、吹き溜まりのようで雪が深かった。山の神コースと重ね石コースの分岐だった。そこで軽アイゼンを装着した。事前に自宅で装着の練習をお願いしておいたので装着はスムーズだった。スマホの地形図に下見時のコースをインプットしてあるので、それを見ながらコースを確認して歩いた。


    登りの雪はこんな状態          自由に下っていただいた        登りでSルートを切り開く

 分岐点からしばらくはなだらかな斜面を歩き、さらに進むとやや急な斜面になった。やや急な斜面は、ときとしてひざ下の雪になり、軽アイゼンを装着していても滑るときがあり、後続が付いて来れるか後ろを見ながら歩いた。スマホのコースを見ると北東に急斜面を上がるポイントなのだが、赤テープも見つけられず、前方は緩やかな斜面が続くので、北東にしばらく歩き、緩い稜線に出て重ね石に向かうことにした。

 

 先頭を歩いていると、後続の方が自分でラッセルして別コースを歩いていたのでお任せした。それも楽しいだろう。天気よく、全くの無風状態で、気温も低くはなく、われわれが下山するまでは状態は持続すると判断した。そのまま緩やかな斜面を進み、重ね石に向かう稜線に出た。驚いたことに、そこに2人分のトレースが見つかった。われわれと全く別のコースを歩いたことになる。しかも、前日、11日のトレースではないだろうか。そこからは先客のトレースを半ば追いながら歩いた。


    重ね石手前の雪面         重ね石手前で幹事が最後尾に付いた   下って富士山の展望場所でアイゼンを

                                                外した

 時刻は11時20分頃だった。ここで、本日の、冬山入門は「重ね石」まで行き、引き返すことに決めた。雪山に不慣れな方が多いので、余力があるうちに下ることにした。しかも、先頭のラッセル車も疲れてきた。後続を待って、急な斜面を登った。薄いトレースがあったので、この急斜面は楽だった。そこを越えると、妙な形の樹木が登場し、みなさん写真を撮っておられた。前方に見覚えのある重なった岩が見えてきて、重ね石だと判断した。近づいて道標を確認した。重ね石の右前方にある、夏山の正規ルートには全くトレースがなかった。

 

 後続を待って、「重ね石」で昼食休憩後、来た道を戻ることを伝えた。幹事はザックを置いて、スタッフ班を迎えに行った。結構、距離が開いていたが、スタッフによると軽アイゼンが外れた方がいて、再装着に時間がかかったとのことだった。スタッフと合流し、幹事は最後尾に回った。みなさん、足取りはしっかりしていた。重ね石で全員が合流したのは11時40分、記念写真を撮り、昼食を済ませ、12時に出発と決めた。


   小楢山、黒鉄山、乾徳山      「あっちの湯」横の富士山展望ベンチ      かぶと山(左)と棚山(右)

 12時に重ね石を出発した。靴底に雪が付着して丸くなり、転びやすくなるので、ストックでときどき靴底を叩くようにお願いして下り始めた。雪山の下りは、滑るように(グリセードのように)下ると楽しく楽なのだが、なかなかそうは行かない。幹事は雪山になれない方と一緒に下った。天気も良く斜面の状態もいいので、他の方には、自分のトレースをつけて自由に楽しんでいただいた。登りも下りも誰にも会わなかった。

 

 下りは全くスムーズに下った。雪のない道路で軽アイゼンを外し、富士山を眺めて写真を撮った。行く手には大菩薩嶺と大菩薩山系が大きく見えている。もう少し進むと昨年9月に臨時企画で行った、小楢山が望める。予定より1時間早く下山したので、直帰組、温泉組とも帰りのタクシーのお迎えを早くした。大雪情報で中止かと思った棚山企画だったが、延期して無事に実施でき本当にうれしかった。参加して下さったみなさん、ありがとう。

 

(付記)2年ぶりに食べた展望食堂の「うどん」は旨かった。温泉入口の売店は、実にいろいろのものが(酒を含め)置いてあっ  

    て重宝する。山梨市駅~ほったらたかし温泉のタクシー料金は、約2,200円。

・参加者:13名(当初申し込み20名、キャンセル2名、大雪情報でキャンセル2名、延期日希望13名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(スタッフ)、久保(下見参加)

・報告:稲葉(25年)

以下、川原さん提供の写真です。


   赤テープを探す小野班長    先頭で道探しとラッセルに苦労する稲葉幹事   桜井ルートに苦労した桜井さん


   重ね石で幹事がコースの説明        下りで後続を確認する