8日はかろうじて降られず縞枯山では晴れ、9日は朝から晴れで、

 ニュウの山頂では360度の大展望、おまけに稲子湯では温泉代も割引サービス!

 

 先週の下見の時には中央線の事故であずさ一号が遅れた。そのせいで、この日は、八王子駅に早めに行ったのだが、もちろん無駄な時間だ。天気予報では北八ヶ岳方面は「曇り一時雨」で、雨量は1mm/h程度なのだが、山の中なのでそれはどうかわからない。電車に乗ると、空は曇っている。小仏トンネルを過ぎると暗くなった。笹子トンネルを抜けても暗く、にわかに不安がこみ上げてきた。韮崎駅に行くまで天気は3回変化する。そう思って、空を見上げていると、韮崎駅を過ぎて、茅野駅に近づくと前方の空が明るく青空が見えてきた。

 

 茅野駅に着いた。改札を出るとアルピコタクシーの乗務員が看板を掲げて待っていた。参加者を全員確認してジャンボタクシー2台に分乗した。しかし、北八ヶ岳ロープウェー駅に近づくと再び、曇りになってきた。ロープウェー駅の広場脇で開会式を行った。タクシー利用なので予定より20分早く着いたので、9時20分のロープウェーに乗ることにした。乗る前に係員が山頂駅はガスで風が強いです、という。またまた緊張が走るが、ここまで来たら行動するしかない。この日は100人乗りに30人ほどの乗客だったろうか。下の駅でトイレは済ませたもらったので、降りたらすぐに出発する予定だったが、風が強く少し寒かったので、人によっては雨具の上を着用してザックカバーをした。 

 



   縞枯山展望台で集合写真           山頂のヒトコマ              岩場を下る

坪庭を巡って縞枯山荘方面に向かう。坪庭を歩くと、下界の方は確かに晴れているようだった。シラタマノキがあった。ところによってはゴゼンタチバナが実をつけていた。分岐に出て、縞枯山荘にそのまま向かった。縞枯山荘はこの日は休業だった。客の少ない日は休業にするのだろう。木道を八丁平まで行き、休憩した。どうも天気が良くないな、という気持ちが誰の顔にも出ていた。さて、縞枯山に向かって登る。北八ヶ岳に特徴的な岩の多い、ぬかるみの多い道だ。本日最初のアルバイトをする。30分弱歩くと前方が明るく見えてきた。そして、縞枯山だ。予定通りの20分の昼食タイムにしたが、風が強く体が冷えるので、短めに切り上げ歩くことにした。

 

 茶臼山と展望台の分岐に着き、安全のために全員ザックを置いて手ぶらで行くことにした。そうして、岩をよじ登ると、何ということか晴れたではないか。はるか下に麦草ヒュッテの赤い屋根が見えた。南アルプスも見えた。みなさん、喜んで集合写真を撮り、分岐まで下った。本日の登りは残るは茶臼山の登りだけとなった。今度は、岩の間、上を歩きながらぬかるみの多い道を下る。12名の参加者は大きくばらけることはなかった。茶臼山の直下に着き、小休憩して茶臼山に登った。ここにも足を伸ばせば展望台があるのだが、そこには行かない。ここからの下りも大石峠まで岩の道なのだが、これまでとは違い、それほどぬかるんではいない。大石峠に着き、給水する。そして先に進むと左に雨池に向かう分岐が出てきて、いよいよ麦草峠に着いた。 


      麦草峠のカイフウロ          麦草峠のトリカブト           白駒池のコケの森

 15分休憩にして、ある人は植物園で山野草を観察、ある方々はトイレを済ませた。どうやら、白駒池までは雨には降られずに済みそうだった。麦草峠から白駒池まで行くには最初に緩い登りがあって、そこが山野草のきれいな場所だ。今ならカイフウロなどが見られる。「また、登るんですか」という声が聞こえた。雨が続けばここもいつもぬかるむ道なのだが、それほど降ってないのか、山道はほぼ乾いていた。森の中に入ると暗かった。まるで夜のようで今にも降ってくるのではないかと感じさせられた。コケの説明板が出てきて、前方からポツポツとハイカーが下ってきた。国道への分岐を過ぎて、白駒荘への道を歩く。すると昨年も通った、明瞭に記憶に残っている木道に出た。昨年もここで降られたし、この日もポツポツと降ってきた。その次は木道になり、左に駐車場の道を見送る。もう少しコケを見ながら歩き少し下って前方に湖が見えてきて白駒池だった。そして、本日のゴール、白駒荘に到着した。

 

 予定より早く15時前に着いたが、雨が少し降っている。白駒池を全員で一周し、駐車場で日帰り組を見送り白駒荘に戻る予定だったが、みなさんに聞くと、雨が降っているので湖一周は止めるという。それで日帰り組と幹事で一周することにした。白駒荘のスタッフが迎えてくれたので、差配はスタッフに任せて出発した。白駒荘は湖の眺めは出発してからの前半がいい。しかし、後半のコケの森も美しいのだ。そうみなさんに説明しながら歩いて行くと、確かに、全員が「コケの森がきれい!」と感動したのだ。これだけで白駒池を一周する価値があるのだ。途中、青苔荘がある。テントを張る方はこちらで泊まることになる。感じのいい小屋だと思う。駐車場の分岐で日帰り組のみなさんを見送り白駒荘に戻った。15時15分だった。 

 


     9日早朝の白駒池            早朝の白駒荘新館          ニュウへの道を登る

  玄関を入ると、手を消毒し、体温を測られる。そして全員、住所データを書かされる。中に入るとみなさん順番に風呂に入っているところだった。荷物を片付けて、缶ビールを買って来て、早速飲み始めた。そのまま、女性陣も加わって夕食前の宴会になってしまった。結局、予定を変更して女性陣は全員(6名)が大広間に、男性陣は2名ずつ個室となった。白駒荘は、幹事は若い頃、正月に何度か泊まったことがある。その頃は今は古い本館だけだった。そのときは3代目のご主人なのだろうか。今は4代目だそうで、一族で運営しているようだ。夕食は決まって牛肉のシャブシャブで地元の牛肉だそうだ。野菜、米が自作だそうだ。宿に聞くと、9月から朝食の時間が30分遅くなって6時半だという。これには困ったが仕方がないので、せわしないが、7時出発とした。勘定は今夜中に済ませ、明日の朝は早めに起きて、出発の準備を済ませてから朝食を食べるようにお願いしておいた。消灯の20時まで食堂で懇談されている方もいた。幹事はできあがり、19時半に寝てしまった。

 

 8日は、精算を済ませてから、食堂でOさんなどと少し話をしてから、19時半頃に寝た。精算は、結局、男部屋は僕が神奈川在住でGOTO適用、それを4人で分割、女性部屋はNさんのGOTO適用でそれを6人で分割したようだ。夜中に確か2回は起きてトイレに行き、その都度、Sさんに廊下の明かりが当たったと思う。結局5時に起きたらSさんも起きた。外を見ると天気はいいようだった。ザックの準備をしてから外に出て写真を撮った。中に戻ってトイレに行き、出発の用意。6時を回った頃に、20分以上早く「食事ができました」と連絡。全員で朝食。ご主人の娘さんらしき若い女性がご主人の不在をわびて、今回の来訪に謝意を述べてくれた。ご主人の弟らしき方が、天気予報を説明してくれた。みなさんにできれば6:45に出ますと伝えた。

 

 5時半にはすでにほとんどのザックが外に準備されていた。6:45に余裕を持って出発した。今回のみなさんの準備はスムーズだった。白駒池を左回りに歩く。混雑時はいつも左回りのルールだそうだ。少し歩くと高見石へ行く分岐に出る。「ここは昨年歩きましたね」と説明した。こうやって毎年シリーズで歩くのも楽しい。木橋が続く、傾斜があって桟が打ち付けてあるのだが、滑りそうで慎重に歩こうと思っていたら後ろで一人転んだ。滑るところではないのだが、腰が引けているのだろう。すぐに「ニュウ」への分岐に着く。左の白駒池に別れを告げる。「ボートが見えない方がいいわよね」なんて声が聞こえる。「ニュウって、乳と書くのね」というのも聞こえた。


ニュウ分岐からの天狗岳(左が東天狗)       ニュウに向かって登る        ニュウの山頂で(やったぞ!)

30分近く、足下の悪いぬかるんだ道を、足下のいい所を選びながら歩く。やがて、やや登りになり、ぬかるみがなくなる。すると右手にニュウへの道、左に稲子湯への道となる。われわれはニュウへ向かう。ここからが本日の核心部だ。みなさん、朝はきついわね、といわれるが、年を取ると一泊しての2日目は体にきつい。後ろを見ながら、間隔が広がらないように歩く。登っていると左手に巻くように登っているような気がするが、配布したコース図によると南にまっすぐ登っている。岩の上、岩の間を道は縫うように進む。目印の赤テープがなければルートファインディングが必要な道だろう。段々、疲れが見えてきた頃に、少し上の前方が明るく青空が見えてきた。「みなさん、もうすぐニュウの分岐ですよ」と励ます。少し元気を出していただき、分岐に到着。

 

 給水してザックを置き、岩だらけのニュウ山頂に向かった。風が強めだが問題ない。登っているのはわれわれだけど。というより、この日、しらびそ小屋まで登山者に会ったのは3人だけだった。左の岩だらけの道を登り始める。前方の山頂らしき所に穴のあいた大きな岩がある。そこを目指す。その前に右手側に昨年登った東天狗岳と西天狗岳がくっきり見えるではないか。何という天気の良さか。意外に登り易く、矢印に従って歩くとものの5分で山頂に着いた。360度の展望だった。ほとんど雲もない。昨日、こういう天気は想像できなかった。富士山も見えている。ニュウの山頂でお決まりの集合写真を撮った。そして下って分岐に向かった。分岐について給水して出発する。今回も30分歩いて5分の休憩を取り給水した。元気なときはみなさん3分も休めばスタンバイなのだが、徐々に5分でも短くなってくる。さて、もう少し登りがある。相変わらず岩の間をすり抜けたり岩の上に上がったりして先に進む。そしてときどき、左手側に天狗岳の展望が目に入る。天狗岳を見るとまた少し元気をもらうことができる。そうこうする内に、中山からの合流点に出た。

 

 

 昨年の初日、白駒池から高見石に上がり、中山を経由して黒百合ヒュッテに向かったのだ。それを思い出しながら歩く。今度は左側に稲子岳の岩場が見えてくる。稲子岳も天狗岳も両方がくっきり見える機会は少ないのではないか。稲子岳の岩場、左に切れ落ちる険峻を見ながら中山峠に着いた。ここから東天狗を見上げると、一番上に鋭いピークがあって、誰からともなく、「去年、あそこに登ったなんて信じられないね」という声が出た。天狗岳から3人ばかり下ってきた。いよいよ、今朝注意した鎖場だ。危険ではないが、鎖がありがたい下りがある。ここだけは要注意だ。幹事が先に下って、かなり前方で下る方々を見守る。何もいわないが、声をかけたい方もいる、実は。それでも任せる。しばらく急な下りが続くので足下注意だけはいっておく。幹事は急な下りでは半分は時間待ちをしているので、みなさんの写真を撮っていた。急な下りの後は、ダラダラと山道を下っていく。


  ニュウから中山峠に向かって歩く       樹林から東天狗のピーク          稲子岳(岩壁がある)

しばらく歩くと、右手から本沢鉱泉からの道が合流する。幹事としては昔、何度も通った道だ。その先に行くと、道の両側にレールが見える。そうなのだ、森林鉄道があったのだ。だから傾斜も緩いのだが、山道はそうは行かない。半分以上、鉄道路線を外れている。したがって、大半は山道を下った。先に明るい場所が見えてきた。みどり池だろう。そしてしらびそ小屋が見えてきた。みどり池としらびそ小屋も幹事がみなさんに紹介したかった場所だ。ここで15分休憩することにした。下見のときは休業だったが、この日はやっていた。みどり池の後ろにそびえる東天狗岳の眺めが素晴らしい。野営しているらしい女性が二人食料を持ってベンチにやってきた。昼食の準備なのだろう。若さがうらやましい。時間になったので、最後の休憩を終えて稲子湯に向かった。

 

 林道を山道が横切る。その回数3回。最後の1回は、山野草が素晴らしい場所だ。稲子湯まであと5分のところで、サワギキョウ、アケボノソウ、アキノウナギツカミ等の花を観賞した。みなさん、感激されていた。そしてやっと稲子湯だ。時間は1210分、バスの時間は1356分。温泉にゆっくり入って、ゆっくりビールを飲む時間がある。窓口に行くと、先週伝えておいたので、後でまとめて払ってくれという。それで、温泉に直行した。先週と違って風呂は熱かった。バルブを操作して温めた。先週の経験からお湯の出が悪いことがわかっていたので、湯船のお湯を頂戴して体を洗った。早めに出ると、何とTさんが出ていた。全員の温泉代を払おうと窓口に行くと、5,500円(10人)でいいという。一人100円割引だという。缶ビールを2本買うのに1,100円出したら、600円でいいといわれた。白駒荘の癖が身についた(缶ビール550円)。それから、みなさんとビールを飲みながら1時間ほど歓談した。

 

 

 モーさんは昨夜の懇談会に続き強烈な個性を発揮していた。13:50頃に着いたバスは人数を伝えておいたせいか大型だった。近いのは松原湖駅だが時間待ちが長いので小海駅まで行った。ここでモーさんとお別れ、長野新幹線で帰るそうだ。小海駅から小淵沢駅へ、小淵沢駅で全員が幹事推薦の駅そばを食べたが、茅野駅と小淵沢駅のそば屋はいつも大繁盛だ。そして、解散して、あずさに乗ったのだった。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

 

・参加者:12名(キャンセル4名、日帰り4名、一泊組8名)

・幹 事:稲葉 力(報告)、スタッフ:小野梨香


   中山峠からの急な道を下る         ミドリ池のしらびそ小屋        稲子湯すぐそばのアケボノソウ