幹事の熱意が天にも通じたか、大きな天気も崩れもなく、全員でコガネネコノメソウ、イワカガミを観賞して、無事に鋸尾根を縦走できた!(5月14日)
計画時、山笑(やまにこ)会の参加者と「ふれあい・三山踏破」のファンが重なるので、年間予定の出る「ふれあいハイク」の日程を考慮
し、間を空けたのだが、それでも三山踏破の疲れが抜けないので・・・とのキャンセルが舞い込んだ。悩ましい天気予報もキャンセルの一
因だったろうが、ハイシーズンの日程を組むのはなかなか難しいものだ。しかし、平然と両方に参加された勇者もいらしたことに驚く。
そのような体力のある人とゆっくりしか歩けない人との混在は、お互いに満足が得られにくい。普通のレベルで歩けるようなお楽しみ嗜
好と余り人が行かないような山を歩きたい挑戦嗜好に分かれ、其々の人が嗜好に応じて楽しめるのが一番だろう。今後、山笑(やまにこ)
会では、「山笑ハイキング」と「山笑プラス」とを、はっきりとレベルも嗜好も分けていこうと話し合っている。
さて、イワツバメが飛び交う奥多摩湖を渡り、絡んだ木を紫色に染め上げる藤の花の甘い香りの中、サス沢山への急登に取りつく。サルギ尾根とどっちが急かと問い合いながら、徐々に体を温めつつ息は上がらない程度の速度で15分に一度ずつの給水休憩で登り行く。瑞々しい緑の中に咲く橙色のヤマツツジの色が心に沁みる。
安定したペースと短い休憩で体を冷やさずに歩いたので案外と楽にサス沢山到着。水位が下がって白い岸壁が縁取りのように目立つ奥多摩湖が一望だ。
ヒゲネワチガイソウ、ユキザサ、ヤマエンゴサクをみつけた惣岳山の手前で雨雲に追いつかれ、パラパラと来たので早めに雨具の上を着て頂く。御前山山頂でも未だ降っていたが、集合写真を満面の笑顔を納め、雨雲を追い払おうと心の中で誓い念ずる。バイケソウとトリカブトの群れの間に、里とは違う小さく可憐なニリンソウが雨露を帯びて俯いていた。
奥多摩湖からの最初の急登
惣岳山直下の急な登り
落差の大きい段に気を付け、コガネネコノメソウ、ニッコウネコノメの群生が待つ避難小屋へ下る。そこでやれやれと昼食をとっている
内に空が明るくなり始め、馬頭刈尾根の稜線がみるみる白いガスの中からカーテンを開けるが如く姿を現した。念の為、また防寒の為、
雨具の下も履いて頂いたが、その後、雨はピタッと止んでくれ、心地よく風の吹く快適な山歩きとなった。(避難小屋の脇のベンチは、
谷を渡る風が吹き込むので体が冷え易い。靴を脱ぐのが面倒だが、出来れば中に入った方が寒さは凌げる。)雨具をつけたお客様が。
「あったか~い!」と仰ったのは、体が冷えていた証拠で、配慮が足らず申し訳なかった。
鋸尾根では、向かいの山の展望が広がる鎖場分岐の辺りから、やや濃いピンクで先が細かく切れ込んだ刷毛のようなイワカガミの花が険しい岩肌に取りついて群がり咲く様子を楽しんだ。頑張ってここまでやって来た甲斐のある見事さだった。しかし覗き込んで頭から転げ落ちそうな、岩に取りつかねば見られないような場所に咲いていることが多い。探せば安全な場所で見られる株もあるので、無理は禁物だ。
岩稜上の天聖神社で天狗さんと石祠に手を合わせ、安全を祈る。こんな高い場所で天狗さんに出会うと、自分の背にも羽が生えて飛び
立てるような気持ちになってくる。流石に飛べはしなかったが、足取りは若干軽くなったようで、鈴を振るようにそこそこ可愛い花を揺らすチ
ゴユリ達に励まされ、「愛宕神社に登らなければ鋸尾根を踏破したことにはならない!」との言葉を胸に、全員一致でチラシには行かないと
書いた愛宕神社の階段も登って参拝、長い長い急勾配の眩暈がしそうな階段も全員手すりに取りつきながら無事に下りることができ、心か
ら安堵。雨雲を遠ざけ皆の安全を守ってくださった神様仏様にそっと感謝申し上げた。
今回は途中のお店で飲み物とお摘みを等を入手、新装なった奥多摩駅の木の香りが清々しい待合室でふり返りと相成った。今日の一日、一緒に山を歩いた仲間との語らいは何でこんなに楽しいのだろう。それは電車の中でも続き、次第に分かれても帰宅方向が一緒の方とまた続き、提案や励ましも戴き、また企画する元気も湧いてくるというものだ。ありがたや、ありがたや、感謝感謝である。
報告:廣川 妙子(幹事)
鎖場分岐から先の階段
参加者:11名(キャンセル6名)
幹事:廣川 妙子
スタッフ:稲葉 力
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