終わり良ければすべて良しか天城大縦走、

       河津七滝もキンメ号からの伊豆の海もきれいだった。

万三郎岳山頂での集合写真(小野さん、三橋さんゴメン!)

伊東駅に7:59に到着、スタッフも一緒。参加者も4人も同じ電車だった。各駅で来ても間に合うはずだけど、万一遅れてはいけないと新幹線で熱海まで来られた方がいるのには恐縮した。予定の8:19の電車で残りの9名が来られた。今回の天城縦走は申し込みが19人だったが、キャンセル6人で13人となった。コロナ関係でキャンセルされた方はお一人だけだった。われわれスタッフが所属する「森林インストラクター東京会」では、「活動自粛要請」が出しているが、イベントの実施は各グループで判断して良いとされている。山笑(やまにこ)会では、十分な感染防止対策を取ることで実施可能と判断した。

 

 

 天城高原ゴルフ場が営業しておらず、登山口のトイレも使用できないので伊東駅でトイレを済ませていただき、ジャンボタクシー1台、小型2台に分乗して登山口に向かった。7:49着の電車で来れば、7:55発のバスにギリギリ間に合うのだが、これに間に合わない方がおられるので集合を遅らせてタクシーで行くことにした。ちなみに、ジャンボタクシー2台にしたかったのだが、地元のタクシー会社には1台しかなかったのだ。幹事はジャンボタクシーに乗った。この運転手は観光ガイドが巧みで感心した。樹木も詳しく、インストラクターが裸足で逃げ出したくなるほどだった。朝から天気が良くこれからの天城縦走に期待をもたせてくれた。

左:万二郎岳(標高1,380m)山頂

右:岩場を下る一行(青班、黄色班合同)



        JR「キンメ号 展望電車」の中で(撮影は小田さん、クリックで拡大、以下同じ)

 95分頃に登山口に着いて、簡単に開校式を済ませて915分にスタートした。幹事が先頭で後ろに6人(青班)、スタッフが班長で後ろに7人(黄色班)の編成とした。10日に雨が降ったので地面のぬかるみを心配したが問題なかった。四辻(よつじ)を過ぎると、青班の一人が少し遅れて、黄色班の班長の前にいる状態になった。いつも最後尾をマイペースで歩かれる方なのであまり心配していなかったのだが、少々いつもより遅いかなと感じていた。登山口で標高約1,000mであり、万二郎岳(ばんじろう)の山頂は1,380mだから高尾山程度の標高差である。途中、一度休憩して10時半に万二郎岳に到着した。伊豆の海は見えるし万三郎岳(ばんざぶろう)は見えるし気持ちがいい。遅れ気味の方にもう一度体調を確認するが大丈夫だという。黄色班に吸収の予定だったが、万二郎を出ると相変わらず青班の最後尾を歩かれた。

 

 

 しばらく歩くと徐々にアセビが増えてくる。アセビはアセビでも天城のアセビはただものではない。おそらく樹齢100年は越えているのだろう。このアセビが登山道を覆い尽くしトンネル状になっているのが、有名な「アセビのトンネル」だ。このアセビのトンネルまで来て、遅れ気味の方は万三郎岳下分岐点からシャクナゲコースをスタッフと一緒に登山口まで下っていただくことに決めた。天城峠バス停の最終バスは1658分で、登山口をスタート時点では時間的余裕が38分あったのだが、この時点で20分ほどとなっていた。このバスに遅れるわけにはいかなかった。ほどなく到着したスタッフに12名の引率をお願いし、幹事は遅れている方の後ろを歩くことにした。万三郎岳には124分に到着した。予定時より34分遅かった。みなさんにランチタイム短縮のお詫びをして1225分に出ることにした。その前にお決まりの集合写真を撮った。スタッフは少し長めの休憩を取り、下山することにした。そのまま帰宅することになる。万三郎岳には他に2名の方がいた。以降、他のハイカーには会わなかった。


         万三郎岳と雲に霞む小岳                    静かな八丁池


    初景滝で踊り子像を囲んでパチリ(小田さん提供)       万二郎岳山頂で幹事と牛嶋さん(小田さん提供)

 万三郎岳下分岐点で「ここからスタッフは右に行きます」と説明してわれわれは左に折れる。段々、ブナが増えてくる。ブナだってアセビに負けていない。ブナの巨木が多いのだ。地面に落ちている枯れ葉はブナの枯れ葉がほとんどだ。15分ほど歩いて片瀬峠。天城縦走はほぼ30分歩くと次の道標が出てくる。各5分ずつ休憩して進む。ブナと同時に赤い樹肌のヒメシャラが増えてくる。ヒメシャラは関東には少ないので山を赤くするほどの群生にはお目にかかるチャンスがない。さらに10分弱歩いて小岳山頂に着いた。ここで休憩する。次は戸塚峠だ。戸塚峠には1316分に着いた。ここに着くと全コースの半分以上歩いたことになる。やれやれやっと半分かという声が上がった。最終バスまでの余裕時間が計算上は15分程度になっていた。しっかり歩いてくださるようお願いする。戸塚峠はいつも風が弱く休むに良い場所だ。

 

 

 戸塚峠を出て15分ほど歩いたときだった。後ろから呼び止められた。「一人足がつったようです」という。この方は、足をつることが多く、ご自分で対応ができるが、処置に5分かかったので、万一の場合の対応が頭をよぎった。以降、この方も再発することなく歩いて下さった。戸塚峠を出て約30分歩いて白田峠(しらた)に着いた。白田峠まで来れば八丁池は近い。八丁池で最終のバス対応を決めることにした。峠のような場所に出て、そのまま八丁池まで歩いた。八丁池からは向(むこう)峠までコースタイムで1時間15分、向峠から天城峠まで25分、天城峠からバス停まで約20分だ。八丁池で余裕時間は8分程度になっていた。この時点で、みなさん意外と元気なので何とかバスには間に合うと判断していた。


         一番上流の「釜滝」                    一番下の「大滝」と露天風呂

 少し歩いて登るとトイレがあるのだが、鍵がかかっていて使えない。要は12月~3月の間、天城縦走ではトイレは使えないのだ。トイレを通過して右に入る。ヒメシャラを話題にしたりしながら歩く。13人の列が長くなるのでときどき立ち止まって後方を見て、全員が視野に入るのを確認する。ここまで全員が視界に入っていた。下りがほとんどなので楽は楽なのだが、その付近で向峠直前で登山道が崩壊しているようで登る箇所がある。そこを登り下っていると、また後方から呼ばれる。余裕綽々で歩いているようなので、バスに遅れたら大半だよ、と発破をかけた。なかなか向峠に着かず少々焦りを感じた頃に向峠に着いた。167分。コースタイムを加えると16:52分だ、これで大丈夫だろう、1658分には遅れないだろう。

 

 

 向峠から下るならいいのだが、すぐに少しだが登って稜線に出て、そして下った場所が天城峠なのだ。みなさんしっかり歩いて下さって幹事が天城峠に着いて、同行していた8人に順番にバス停に向かって下っていただいた。この8人は間違いなくバスに間に合う。しかし、残り4人が来ない。最後にバス停に向かって下った方が、「一人膝が痛くて歩けない」といっていますという。それで急いで迎えに行くと、前方からその一人を囲んで4人で下ってくる。すぐ本人を除いて、急いでバス停まで下ってくれるようお願いする、まだ間に合うよ、と。そして膝が痛いといっている方を励ましながら一緒に天城峠から下り始めた。ちょうどバス時刻まで20分で通常ならば間に合うタイミングだった。時計を見ながら歩いた。急がせず、余計なことはいわず、歩きに専念して旧天城トンネルの休憩所とトイレが見えたときはバスに間に合うのを確認して、脱力した。結局、天城峠のバス停には1658分に到着した。

左:七滝バス停の売店(泣かせ隊とは、ワサビで泣かせたいなのだが、何となく「中瀬」にちなんでいるような)。

右:「キンメ号」で見た伊豆の海



            民宿「中瀬隠居」での夕食風景(左)と朝食風景(右)、小田さん提供

 幹事としては、登山口をスタートしてからの30分で体調不良の方の確認をすることにしている。この確認・判断が甘かったのが、今回のトラブルの大元だろう。コースにもよるが長いコースでは甘い判断は駄目だと痛感した。

 

 

 付記しておくと、湯ヶ島温泉に天城交通というタクシー会社があり、天城峠のバス停から修善寺に向かうバスに乗り(17時以降に2本ある)湯ヶ島温泉で下りてタクシーに乗り、七滝の民宿に向かうのが最終シナリオだった。天城峠で電話が通じれば電話で呼ぶ予定だった。いずれも必要なくなり安心した。

 

報告:稲葉 力(幹事)

スタッフ:小野 梨香

参加者:13名(申し込み19名)