梅雨の晴れ間に恵まれ、奇岩、奇岩そして奇岩、山頂の天に突き出した奇岩。途中ではベニバナヒメイワカガミに励まされ、下ってビールで乾杯したみずがき山は無事に終了!


        集合写真(稲葉班)                      集合写真(廣川班)

  山笑(やまにこ)会では昨年から企画ハイキングを、中高年者用の一般的な軽いハイキングと、一般的なハイキングよりやや歩きがいのある、あるいはより趣味的なハイキングに分けて実施している。後者を「山笑(やまにこ)プラス」と称している。昨年秋から「山笑(やまにこ)プラス」の企画として、岩場入門を実施したかった。はじめに候補に挙げたのは乾徳山だったが、この山は入門編とはいえ、岩場の連続であって岩場に慣れていない中高年者と行くにはためらいがあった。それで天下の奇峰、みずがき山に仮決めし、11月に下々見をして決定した。この山は最寄りの駅が中央本線韮崎駅であり、山笑(やまにこ)会としてもっともアプローチの遠い山となった。これまでは甲斐大和駅だったのだ。2つの点で新しい一歩となった。

 

 梅雨のさなか、天気予報に一喜一憂しながら過ごしていると、どうやら間違いなく晴れるとの予報になった。梅雨の晴れ間となった25日の韮崎駅。改札を抜けた参加者を次々にバス停に導く。駅のトイレは後。こうして導いても座れたのは15人だった(スタッフ含めて17人)。まあ、良しとしよう。毎回参加される常連さんがほとんどなので、バスの中でも貸し切りバスのような雰囲気だった。ハイジの村で寄り道をしてバスは進む。すぐに左手に八ヶ岳連峰が見えてくる。間をおかず歓声が上がった。途中で、「増富の湯」に寄る。もともとは増富(ますとみ)ラジウム鉱泉といった。冷たい源泉に入って、ラジウムの効能をいただいてから効能のない温かい湯につかったものだ。みずがき山荘について開校式。「富士見平まではピクニック気分です」と説明したら、途中の林道で早くも「ピクニックなんてとんでもない」といわれて、少々先行きを危ぶまれた参加者もおられた。富士見平小屋には11:04着で、ここまでは設定したコースタイム通りだった。

 


          下りで頑張るみなさん                     花こう岩をよじ登る

富士見小屋は、美味しそうなビールと料理の看板が多く、下ってくると目の毒なのだ。そういいながら桃太郎岩を目指して歩くと、なんと、山笑(やまにこ)会の最初からの客で、仕事の都合でずっと参加できないでいる女性とばったり会った。聞くと、山笑(やまにこ)会HPを見ていて、今日、この辺で会えるはずだと思っていたという。彼女は一人でガイドさんを同行して金峰山を往復したのだという。ハイキングをやっていてうれしいのいはこういう瞬間だ。キバナノコマノツメ、シロバナヘビイチゴを見ながら桃太郎岩に到着した。

 

 桃太郎岩からいよいよ岩場が始まる。みずがき山の岩場はどうってことはないのだが、それはきちんとコース通りに歩いた場合のことで、コースを外して歩くと危ないよ、というコースなのだ。要は無理なステップで歩かない、危険なホールドを取らないということだ。桃太郎が生まれたにしては大きな桃太郎岩の横の階段を登って岩場のスタートだ。ここから山頂まで4カ所ほど鎖をフィックスした岩場があるので、そこはどこを歩かせたらより安全かと考えながら歩く。ふと周りを見るとアズマシャクナゲがたくさん咲いている。給水してからまた歩き、ひょいと左上を見るとベニバナヒメイワカガミがあった。ピンクの色が濃い。上を見上げると山頂から見える奇岩が屹立している。もう山頂は近いという合図だ。上に上がると右に行く。最後の鎖をつかんで右にトラバースして、ロープをつかんで少し上に上がるとそこが山頂だ。まさしく、360度の展望だ。南アルプス、八ヶ岳、金峰山の展望が美しかった。予定より少し遅れて到着した。 

 



             マイヅルソウ                     ベニバナヒメイワカガミ

 天気が絶好なのに、この日の山頂にハイキング客が少ないのは前日が悪天で金峰山に行った方が少ないからなのだろう。ちょうど前日、NHKでみずがき山の特集があったので、山笑(やまにこ)ハイキングに参加された方々はみずがき山の岩峰に大変興味があったとのことだった。お約束の集合写真を撮ったら周囲が絶壁で迫力のある集合写真になった。全員元気で、山頂の大パノラマに満足されて良かった。みなさんへの下見報告には「一度は見ておきたいスリルのある岩場」と案内しておいたので、看板に偽りなし。

 

 

岩場が不得意だという女性には、下りも丁寧にご指導しながら下ったが、意外にもコースがわかれば下りは遅れることはなかった。桃太郎岩には急がせたわけでもないのに、途中の遅れを回復できた。途中、マイヅルソウが見られてみなさん感激していた。ということで、結局、ほとんどの方はみずがき山の岩場も平気だったようだ。富士見平小屋でトイレに入る方もいて、班を編制しなおして、幹事はトイレに行かない方々を率いて下った。みなさんペースは好調そのもので、最後は少し先を行く幹事を追いかけてきた方まで出た。その方に今回の感想を聞きながら一緒に歩いた。みずがき山荘にはほぼ当初の予定通りに着いた。みずがき山荘で缶ビール、ソフトクリームなどを買い求めて疲れをいやした。臨時バスは16時少し前に到着、すぐに出していただき韮崎駅にはきわどく17時過ぎに到着、みなさん駅に駆け込んで17:10発の電車に飛び乗り、甲府で特急「あずさ」に間に合ったそうだ。めでたしめでたしだ。われわれゆっくり帰宅組は駅そばを食べ、かつビールを飲んで17:49の各駅で自宅に向かった。後日、山頂の集合写真を送ると、続々お礼のメールが届いて苦労が報われた。(報告:稲葉 力)