幹事の狙い通りに13日、14日とも晴れ、そして計算通りに平標山の高山植物の

  見ごろだった。全員、荷物も多く体が疲れたが、それを補って余りある感動があった。

      ~2024年6月13日(木)~14日(金)、平標山、仙ノ倉山~

 

 平標山(たいらっぴょうやま)は群馬県と新潟県の県境にまたがる谷川連峰の最西端に位置する山だ。東に位置する仙の倉山への稜線に山上の楽園のごとくお花畑が現れる。この山域は毎年6月が一番登山客でにぎわう時期なのだ。このお花畑と展望を参加して下さるみなさんと分かち合いたい一心で企画した。

 

山行とこのお花畑を楽しむために、613日に越後湯沢駅に集合し、バスに乗って登山口駐車場へ到着した。お昼過ぎだった。本日は平標山乃家に宿泊する。人数の関係で、山小屋泊組と避難小屋泊組に分かれた。避難小屋と言えど、ここは小屋のご主人が小屋同様に綺麗に管理され殆ど山小屋と変わらない綺麗さなのだ。違う点は食事の提供と布団があるかないかの違いだ。とはいえ、寝袋も借りることが出来るのだ。 

 

初日は山小屋を目指す。バス停から登山口へ行き準備を済ませて歩き始める。最初は森の中で小さな植物が早速お出迎えだ。クルマバソウやらクルマムグラと似たような小さく可愛らしい白い花、ズダヤクシュ、ヤグルマソウも花を咲かせている。参加者たちは歩き始めから小さな花で盛り上がる。その後林道を歩き、そして本当の登山口に到着する。ここで小休憩し、行動食等口にしてもらい山小屋へ向かって登り始める。

14日の6時、予定より30分早く出た。山乃家前で集合写真。天気よく、気分良し。

平標山の山頂、時間的に一番乗りに近かった。

仙ノ倉山山頂、東に2年前に行った谷川岳。西に、昨年苦労して縦走した苗場山。感動しました。


 登り始めてしばらくするとこちらのルートは下山ルートとしてメインなので下ってくる方とすれ違いになる。何人かの方とすれ違って男性が下って、すぐに女性が下りてきたが男性の連れかと思いきや、山笑(やまにこ)会の常連の女性で、泊りは出来ないとのことでお一人で日帰りで歩いたようだ。多分確信犯だ(笑)。顔見知りの参加者と其々挨拶をして別れた。でもそんな出会いもいと楽しである。

 

一週間前に下見で咲いていたウワミズザクラなど花後の姿に変身しているが、それでも咲いていた形跡を見つけて楽しんだ。幹事が先頭、最後尾にスタッフでゆっくり歩いた。階段を上り続け、標高を上げていくと周りの山の景色の目線が変わっていく。まもなく小屋に到着だ。今回は宿泊を伴うため各々ザックが日帰りハイキングより重くゆっくり目に歩いた。

 

宿泊の手続きを済ませて、避難小屋組は早速お茶タイムだ。幹事とスタッフももちろん避難小屋組で今回はガスや鍋などの道具はこの2名がすべて賄うとして、参加メンバーは其々の食べたいもの(お湯を入れるだけ、お湯で温める等)だけお持ち頂き、お茶類や紙皿、コップはスタッフが用意して小屋と変わらない位の快適さを味わって頂く作戦だ。とはいえ、小屋の美味しい食事には負けるが、避難小屋ならではの楽しみを味わって頂きたい一心で準備した。ゴミもスタッフがすべて最後に背負って下った。

仙ノ倉から平標山と苗場山

松手山(まつでやま)からは平標山が遠い

仙ノ倉からの展望を楽しむ

(桜井さん)


避難小屋の良さはなんと言っても食事時間等を気にすることなくワイワイと過ごせることだ。食事時間が1730ということでそれまで小屋泊メンバーも一緒に避難小屋でお茶タイムとして、総勢13名で話が弾む。もちろんお茶タイムといえど、ビール組も大勢いる。ちょっとしたおつまみとともに楽しいひと時を過ごし、夕食時間となったので分かれて避難小屋組も夕食タイムとした。カップ麺やらフリーズドライのごはんやらでお湯を沸かし、入れては数分の待ち。其々の出来具合で食べ始めた。

 

ささやかではあっても非日常のこの時間は至福のひとときだ。和気藹々と過ごして、日が長く19時をまわってもまだ電気(ヘッドランプ)の世話になる必要もなく過ごした。食事も終わり、本日の疲れもあり、静かな時が流れ、日の入りとともに就寝となった。翌朝は4時頃起きようと予定し各自寝袋に入った。

 

この夜は天気も良く雲もなく幹事が目覚め窓から夜空を見上げれば満点の星ではないか・・・丁度スタッフも起きていたので小屋の外でひとしきり星空を眺めた。幹事は小屋に戻って寝袋に入ったが星空が気になって眠れないでいると、他の方々も降るような星に気付き、外へ出掛けていった。

ゴゼンタチバナ(鈴木さん)

平標山から10分も歩けば、お花畑で、みなさん写真を撮るのに夢中。

花を守って下さい(葛西さん)


夏至前の今頃は日の出も早い。日が出ていなくてももう薄明るく時計を見れば4時だ。何も言わずともみなさん静かに起き出して身支度を整え、整理している。幹事も朝食準備だ。といってもお湯を沸かすだけだが。そうこうして朝食を済ませて身支度も整え集合したのが、6時頃。では、ということで小屋前で全員で記念写真。 

 

予定では6:30に出発なのだが、全員610には準備完了となり、まずは平標山山頂を目指す。ここも階段続きで少々疲れるのだが、気持ちの良い青空と早速現れた高山植物のイワカガミ、イワイチョウ、ゴゼンタチバナなどに元気をもらって歩き進める。ワタスゲが白くふわふわと可愛い。もう終わってしまったかと思ったショウジョウバカマもなんとか咲いていてくれた。アカミノイヌツゲがもう一つ二つ赤い実を付けている。標高が上がると左手に昨年行った苗場山がどーんと見えてきた。右手にはこれから行く仙ノ倉山が徐々に姿を現す。平標山山頂(1984m)到着だ。360度の展望だ。新潟の、群馬の長野、栃木の山々が見える。ここで重いザックを置いて、飲み物や貴重品だけ持って仙ノ倉山を目指す。

 

ここからの稜線に高山植物の群落が現れるのだ。ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ミヤマキンバイ、登山者の人気者のチングルマが咲き乱れているのだ。みなさん写真を撮るのに忙しい。幹事も撮っても撮っても撮ってしまうが、今日は楽しそうな参加メンバーを撮っていた。楽しそうな姿にこちらも笑みになる。青空をバックにみなさんがとても楽しそうで嬉しい限りだ。

マイヅルソウは終盤の雰囲気だったが、ユキザサは最盛期だった。

ハクサンコザクラ(鈴木さん)

平標山直下のベンチで休憩、天気よく、みなさん快調。


そんな花がところどころずっと続くのだが、階段状の登山道を身軽になった我々も歩き進める。こんなところに?!という場所にもミツバオウレン、ハクサンコザクラやハクサンイチゲが健気に咲いている。シャクナゲの花ももう終わったものもあるが綺麗に咲いているものもありまた元気がでる。ハクサンシャクナゲとアズマシャクナゲがこの大きな山域には混在しているようだ。

 

仙ノ倉山山頂(2026m)に到着だ。こちらの方が標高が高い分、平標山より更に大展望だ。先月末に行った群馬長野の県境に位置する荒船山も見えている。もちろん連峰の南の谷川岳も見え、こちらも我々が行った山で感慨深い。ここで、大展望を堪能し、山頂での記念写真を撮った後下山開始となった。まずは平標山を目指し、その後は松手山経由で登山口、バス停へと歩くのだ。松手山コースは急坂が待ち構えている。ここで行動食タイムとして下山に備えて頂く。平標山からは再び重いザックを背負って下山開始となるのだ。

 

こちらのコースは登りのメインルートで最初は登る方々とのすれ違いにタイムロスがかさむが、仕方がない。安全第一で下る。爽やかな風にホッとしながら、こちらのルートで現れたツマトリソウ、オオバキスミレ(ナエバキスミレ?)、ヨツバシオガマ等色とりどりの花も見ることが出来て楽しみながら下山出来る。更に、斜面に少し遠い位置に青紫の綺麗なシラネアオイの花びらが風になびいているのも参加者と一緒に確認でき、これも喜びだった。圧巻はアカモノの大群落だ。これから咲こうとヤマツツジの朱色の花をちらほらとつけて華やかだ。下ってくると日本海側ならではのタニウツギのピンクの花がたくさん咲いている。

 

急坂やちょっとしたハシゴもみなさん難なく慎重に通過して登山口に到着だ。バスの乗車時間まで30分程あり、飲み物を売るキッチンカーも出ていて、そこで買ったり、自販機で買ったりと各々冷たいもので喉を潤し、バス停へ移動した。バスは概ねほぼ定刻に越後湯沢駅に1330分過ぎには到着し、ここでみなさん笑顔での解散となった。疲れた様子の方もいたが無事に新幹線に乗車されたようでホッとする。

今回避難小屋(といっても普通の避難小屋とは少し違う)に初めて泊まったという方も楽しく過ごせたようで経験も豊かになったのではないかと思う。 

これがチングルマ、ハクサンイチゲの大群落に隠れていた(鈴木さん)

一番の収穫はイワカガミかも知れない。どこを見ても総状にたくさんの花をつけていた。

避難小屋には自炊スペースがあり、みなさんで「団欒」を楽しんだ。(桜井さん)


ご参加くださったみなさん、本当にお疲れ様でした。そしてどうもありがとうございました。心より感謝申し上げます。                山笑(やまにこ)会スタッフ一同

 

・参加者:11名(申し込み14名、キャンセル3名)

・スタッフ:小野(幹事)、稲葉(班長)

・報告:小野梨香(30年)、写真(小野、稲葉、葛西さん、桜井さん、鈴木さん)