秋の気配が忍びよる那須三山の縦走を満喫し、三斗小屋温泉の露天風呂も楽しめた。

        満足、満足な山だった。~2024年9月26日(木)~27日(金)~

 

 那須連山である茶臼岳、朝日岳、三本槍岳の三座を縦走した。好天から白いガスに覆われる中、火山、荒々しい岩場、緑豊かな稜線と変化に富んだ山行を楽しんだ。宿泊組は、煙草屋旅館に立ち寄り心ゆくまで温泉を満喫した!

 

 

 2024926日(木)日帰り班、926日(木)~927日(金)宿泊班(三斗小屋温泉泊)

茶臼岳で全員集合写真(全員元気)

朝日岳で全員集合写真(まだ元気?)

三本槍岳で全員集合(少し疲れたかな)


募集を始める前、那須岳企画は、催行できるか立ち消えになるのか微妙だった。前月に会津駒ヶ岳、来月に甲武信ヶ岳・金峰山の大型企画がありその中間だったからだ。いざ募集を開始してみると、有難いことに11(日帰り6名、宿泊5)の方から参加の表明をいただいた。

 

しかし、一筋縄ではいかないのが山笑会の企画だ。何しろ相手にしているのは、山深い大自然だ。現場で体験しないと見えてこない景色がある。918日(水)から19日(木)に、雨天の中、スタッフで下見を行った。宿泊組で予定していた大峠から三斗小屋温泉のルートにある三本の沢が増水していたため渡渉に難儀した。急遽、安全確保のため、熊見尾根から隠居倉を経て三斗小屋温泉へいくルートに変更した。

 

天気予報も本番の数日前まで雨が降る気配だったが、幸いなことに3日前に那須塩原、会津地方で晴間の予報が出始めた。様々な条件が整いつつあったので催行を決行することにした。

 

本番当日は、那須塩原駅西口のバス停で740分に集合すると受付を済ませ那須ロープウェイ行きのバスに乗り750分に出発した。車窓からは青空が広がり、山々の稜線がくっきりと見えた。かなり期待が持てた。那須連山の山容が迫ってくると9時過ぎに那須ロープウェイの山麓駅に到着した。自動車で来られ現地で待ち合わせをした2名の方と合流し参加者全員11名が揃った。ロープウェイに乗車しわずか4分半で、標高1,690mにある山頂駅まで上昇し、そこで開校式を行った。このコースのスタート地点だ。

 

 

幹事がコースを説明し各自で仕度を済ませ935分に展望台を出発した。最初のピークである茶臼岳を目指した。日帰り班(スタッフ班)が先行し、宿泊班(幹事班)が後に続いた。気温は16.5度、風は穏やかだ。上空は青空が広がり、雲海が彼方に浮かんでいた。視界良好で、南側には南月山への稜線を見ながら、関東平野の彼方には筑波山がポツンと見えた。ザレた登山道が牛ヶ首の分岐を過ぎるあたりから、岩場が多くなっていく。岩の隙間からヤマハハコやオヤマノリンドウの花、シラタマノキやクロマメノキの実がかわいらしく顔を出していた。参加者の一人が青空に浮かぶ下弦の月を発見しテンションが上がった。岩登りが終わり平坦なガレ場を歩くと、やがて鳥居が見えてきて那須温泉神社の奥宮である茶臼岳の山頂に着いた。

三斗小屋温泉煙草屋の入口

三斗小屋温泉に向かう道(鈴木さん)

煙草屋の露天風呂の源泉


最初のピークである茶臼岳を1015分に踏み、記念撮影を行った後、時計周りにお鉢巡りをした。ここで宿泊班が日帰り班の前に出た。これから踏破する朝日岳、その彼方には最後のピークである三本槍岳が見えた。茶臼岳は、その名の通り山容が茶釜のような形をしており、その周囲を巻くようにしてガレた登山道を降りていくと、赤い屋根の峰の茶屋に着いた。風の通り道で、懸念していた風も穏やかで問題なく進めそうだ。剣ケ峰についた草付きのトラバース道を歩いて、朝日岳に登りにとりついた。途中、ホツツジやオヤマノリンドウの花が咲いていた。

 

赤茶けた鋭鋒の朝日岳にとりつくと、傾斜の急な岩場に取りつけられた手すりを頼りに登った。幹事が後ろを振り返ると、参加者の皆さんは隊列よく順番に歩き、落石を起こさないように気をつけ、狭い登山道を下山していく登山者を手際よくすれ違いをした。岩場の急登を登りきり、朝日岳の分岐に着くと、山々は白いガスに覆われ視界が効かなくなり始めた。10分ほど登ると、那須連山の2番目のピークである朝日岳の山頂に辿り着いた。全員で記念撮影をして、昼食をとった。時間は、20分ほど予定の時刻より押していたので、少し早めて1215分に出発をした。

 

再び来た道を降りて朝日岳分岐に出ると、稜線歩きになり熊見曽根東端の分岐、1900mの小ピークを越え、下っていくとハイマツ帯の木道歩きになり広々とした湿原にある清水平に出た。木製のベンチがあり、5分ほど休憩をした。ガスが風によって吹き上げられ、時々、晴間が広がる。三本槍岳のたおやかな頂上がだいぶ近くなってきた。

茶臼岳に向かう(菊地さん)

オヤマリンドウ(菊地さん)

峰の茶屋から朝日岳を見る(鈴木さん)


清水平から笹とハイマツが深くなり、時折、雨でぬかるんだ泥道に足を取られそうになりながら登山道を登った。北温泉へ向かう分岐を過ぎた辺りからナナカマドやシャクナゲも散見されるようになり、平坦な鞍部を過ぎると、三本槍岳の頂上につながる急登になった。近くて遠い頂上に疲労を感じ始めた頃に、道が開け山頂に着いた。続々と参加者の皆さんは、一等三角点のある三本槍岳の山頂を踏んだ。残念ながらガスの中で、展望は臨めなかったが、三座目の踏破を達成できた。しかし、予定の到着時刻より約25分押してしまったので、日帰り班は、1633分ロープウェイ山麓駅発の最終バスに間に合うか微妙になっていた。ここで日帰り班を前に出して、宿泊班が後に続くことにした。素早く記念撮影を終えると1345分に下山を開始した。ここから先は、来た道をそのまま戻るルートだ。

 

先行した日帰り班は、ギアを上げて歩くペースを上げた。宿泊班は最初ついていったが、足がつり気味の方がおり、ガスも濃くなり、幹事が未踏のルートがあることも考慮して全体的にペースを緩めることにした。遠くから清水平方面を見てみると、日帰り班の皆さん5人が隊列よく歩いている姿が見えた。いざというときのために体力は残しておく、日頃から山登りをされている成果だと感心をした。清水平から登り返しになり、1900m峰のピークを抜けると、距離100m程の谷を隔てて先行する熊見曽根東端のピークを登っている日帰り班の参加者の5人の皆さんが見えた。宿泊班の皆さんが「おーい」と叫ぶと日帰り班の皆さんも手を振り「おーい」と返事を返してくれた。意外なかたちで別れと励ましの声のかけ合いができて、エネルギーをいただけたようで嬉しかった。宿泊班は、日帰り班が帰りのバスに間に合うよう祈りつつ熊見曽根の分岐に向かった。

 

後に日帰り班の班長の報告だと、日帰り班は先行する2人と後続の5人に距離ができてしまった。声が届くところで、先行していた班長が後続にいた自動車で来られた方にバスに間に合わなかったら4人を送ってほしいと依頼をした。先行した班長と参加者の1人は、ハイペースで歩いた甲斐あって、バスが出発する約50分前に那須ロープウェイの山麓駅に到着をした。そのままバスに乗車し那須塩原駅に向かった。残りの5人は、バスに乗る時間には間に合ったが、安全確保のためにゆっくり歩き、自動車で来られた方が他の参加者の皆さんを那須塩原駅まで送って下さった。その後、班長と参加者の皆さんの一部は那須塩原駅で合流でき、日帰り班は無事に解散し、帰途についた。山笑会ならではの見事な連携プレーだった。

岩場を通過中(川原さん)

朝日岳の岩場もこうして見るとなかなか

こういった岩場が10分ほど続く


宿泊組は、熊見曽根東端の分岐に15時に到着すると、三斗小屋温泉に向かった。熊見曽根の尾根をガレた道伝いに下り少し登り返すと、途中のピークである標高1819mの隠居倉に着いた。1535分だ。山小屋に到着するのは遅くなりそうだったので、幹事は携帯電話の電波が入ることを確認すると、宿泊する煙草屋旅館のスタッフの方に到着するのは1630分頃になるという連絡を入れた。隠居倉から急な下りが続き、広葉樹の樹林帯に入ると、身の丈を超える笹が茂った登山道をかき分けるようにして下った。やがて硫黄の香りがしてきて噴き出る白い噴煙が見えてくると、視界が開け三斗小屋温泉の源泉についた。さらに整備された階段を降ると温泉神社に出て、鳥居をくぐると、山小屋の屋根が見え1645分頃に煙草屋旅館についた。

 

登山靴の泥を水で落とし、受付を済ませ、部屋にザックを置き、皆さんは温泉に入った。煙草屋旅館の温泉は、野天風呂、共同浴場、あか湯があり、ここまで来た甲斐あって、ハードな山行で疲れた身体を休ませ体力を回復することができたようだ。温泉の後は、郷土料理の夕食も美味しくいただいた。21時前に消灯をした。翌日は、530分に起床し、早朝の野天風呂に入った時に、天気もよく流石山や大倉山の稜線が見えた。朝食を食べると仕度をして745分に煙草屋旅館を出発した。広葉樹の森の中を進み、よく整備された登山道の各所に設けられた案内版に目をとめた。源泉が発見された1142年(康治元年)から続く三斗小屋温泉の歴史に触れ、この辺りが街道の要衝地であり、自然と人との関わりや流れに思いを馳せた。やがて近づいてきた沢にかけられた橋を渡り、登りがきつくなると峰の茶屋避難小屋につき、茶臼岳と朝日岳の稜線が近づいてきた。登り始めしばらくすると、森林限界を超え、赤茶けた大地が広がった。絶景を楽しみながら20分ほどで、稜線に出て峰の茶屋に着いた。ここに戻ってくるまで、多くの距離を歩きいくつかの難所も乗り越えたので、皆さんの表情も晴れ晴れとして充実感に満ちていた。(コース定数30、累計の歩行距離15.4キロ、登り1150m、下り1440m)

 

 

917分に峰の茶屋を出て、茶臼岳の裾をだんだん巻くようにして高度を下げた。太陽に照らされた朝日岳が見える立ち位置によって、アートのように変わっていく様を楽しみながら、ロープウェイ山麓駅を目指した。赤茶けた大地に生えたウラジロタデを見つつ、樹林帯に入ると学校遠足の元気な生徒さんや引率する先生とすれ違った。しばらくすると峠の茶屋の登山口にある山の神に着いた。無事に山行を終えられたことを山の神に感謝の意を伝えた。さらに森の中を10分ほど整えられた石段を降っていくと、やがて駐車場と道路が見え、那須ロープウェイ山麓駅にあるバス停が見えてきた。この山行のゴール地点だ。時刻は105分だった。終盤は、参加者の皆さんを急がせてしまったが、予定をしていた1013分発のバスにどうやら間に合い安堵した。バスが出発をした後、幹事は下山報告をした。那須塩原駅には、1130分頃に到着し、そこで宿泊組も解散して、こうして那須岳企画は無事にその幕を下ろした。

いい眺めねえ(川原さん)

朝日岳山頂で昼食(鈴木さん)

これが絶景、煙草屋の露天風呂


 参加いただいた皆様、ご参加いただき誠に有難うございました。また、道中、タイトなスケジュールの中、ご協力をいただきまして感謝申し上げます。また、皆様と一緒に山行ができる日をスタッフ一同楽しみにしています。

 

参加者: 11 (日帰り班6名+宿泊班5名、申し込み12名、キャンセル1)

スタッフ:岸本(幹事 宿泊班 平成30)、小野(班長 日帰り班 平成30)

     稲葉(下見時特別サポート 平成25)

報告 岸本雷太

写真 岸本、小野、鈴木さん、川原さん、菊地さん

鈴木さん、川原さん、菊地さん、写真の提供ありがとうございました。