天気予報は外れ終日曇りだったが、展望は良く、山頂は雲の上だった。

  予想外のことに全員で「山ノ神コース」を縦走し、藤野の「風里」で初春を

      祝うことができた。  ~2023年1月17日(火)~

 

 生藤山は「しょうとうざん」と読むのだが、まず読み方からして知られていない。高さは1,000mにわずか10m足りない。陣馬山よりずっと知名度が低く、本格的に山登りをされる方には無名の山だろう。幹事も低山歩きを始めるまで知らなかった。多分、初めて登ったのは52歳の時だろう。山岳会の新人歓迎の行事だった。時が流れて、生藤山も歩き、陣馬山までの縦走もこなした頃に、山笑(やまにこ)会で生藤山に登った。2019年の6月だった。軍刀利(ぐんだり)神社から生藤山まで登り、笹尾根を浅間峠まで行き、上川乗バス停に下ったのだ。こちらに下った大きな理由は下山後の寄り道をする店がないからなのだ。

 

 

 その頃の1月に初めての企画で軍刀利神社で初詣をしてから生藤山に登る企画を考えた。改めて下々見を行って、生藤山~茅丸間を歩くと、結構痩せた岩稜帯があって、急な下りもあることに気が付き、「これはまずい」と感じた。積雪があったり凍結があったりすると、当然軽アイゼンを装着する必要があるが、軽アイゼンに不慣れな人は岩に軽アイゼンをひっかけ易いのだ。散々考えて、残念ながらこの年は冬期の生藤山は断念した。それ以来の企画なのだが、今回は軽アイゼンが必要な場合は、経験者のみで山ノ神コースまで縦走することとし、不慣れ方は、生藤山から佐野川峠経由で和田バス停に下ることとした。このコースは手入れのいい歩きやすい山道が続く。さて、どうなったかである。


    三国山山頂のスタッフ班          三国山山頂の幹事班       軍刀利神社の大鳥居をくぐる

 例によって前置きが長くなった。上野原駅に8時前に集合し、832分発井戸行きのバスに乗った。平日でもあり、われわれ17人以外には2~3人しかいなかった。もちろん、ハイキング客だ。他のお客さんは大体「佐野川」で下車されるようだ。佐野川峠に向かうのだろう。「神社前」で降りる方もいる。石楯尾(いわたてお)神社から佐野川峠に登るコースだ。幹事も1度か2度利用したことがあるが、それは鎌沢コースが工事中で通行禁止だったときだ。井戸方面のバスは、一日に朝の一便しかないの下山に使えないから、利用者が少ないのだ。左手に見えるゴルフ場を過ぎて、終点の井戸で下車した。仮設トイレがまだ使用できない。路線バスが戻って、うるさい選挙カーが行ってから、バス停で開校式を行い、9時過ぎに出発した。

 

 

 参加者のみなさんに「山ノ神コース」を歩くか、「佐野川峠コース」を歩くか聞いておいたが、「山ノ神コース」の希望者は少なかった。それで、仮に2つの班に分けておいたが、生藤山山頂に登ったときの山道の状況を見てから、どちらのコースを歩くか決めていただくことにしていた。山ノ神コースはスタッフが班長、佐野川峠コースは幹事が班長だった。9時過ぎに出発で1340分頃に和田バス停に到着の予定だった。和田バス停を14時に藤野行きのバスが出る。1415分に駅前の「風里」に寄る予定だった。天気予報では9時まで晴れの予報と15時まで晴れの予報があったが、どうやらどちらも外れで、終日曇りで降らないだけましという天気だった。寒かったが路面には霜も降りていないし、凍結もなかった。


    生藤山山頂のスタッフ班          生藤山山頂の幹事班        本堂に続く長く急な石段を登る

 車道を20分弱歩くと軍刀利神社の大鳥居に着く。ここから社務所までは結構きつく感じる登りが続く。社務所を左手に見て、すぐにトイレに着く。ここで、服装調整とトイレ休憩とする。女性用の個室が少なく、やや時間がかかったのは計算外だった。トイレを出て少し歩くと右手に手水場、中央に長い急な階段、左手に車道が続く。当然、全員急な階段を歩くというより登るに近い。有名な神社の割りには石段のヘリの摩耗が少ない。ゆっくり歩くようにアドバイスしたので本堂に全員到着したが、誰も息を切らしていなかった。日本武尊が奉納したとされる太刀を右手に見てみなで今年の安全祈願をする。奥の社殿を見てから先に進むが、2019年の写真を見ると、このときの社殿が真新しいようだった。

 

 

 本殿を出て山道を少し登ると正面に古い古い今にも倒れそうな木造の鳥居が見えてきて、その先に大カツラと奥ノ院が見える。奥ノ院までみなで上がり、大カツラの巨大さに感心する。まさしくご神木である。奥ノ院でも手を合わせ9:50頃に奥ノ院を出た。ここからがいよいよハイキングだ。山頂まで1時間半はかからないだろう。南向きの斜面をジグザグに縫う山道をゆっくり登る。先頭を歩くスタッフ班の班長が意識的にゆっくり歩いているので珍しく17人が一列縦隊で続いている。トイレ前で服装調整をしたのだが、やっと体を本格的に動かして体が少々温まり、再度服装調整を行った。今回、男性の最長老は86歳、女性の最長老は76歳だった。どちらもペースに問題はない。


     茅丸山頂のスタッフ班          茅丸山頂の幹事班         奥ノ院の大カツラに驚嘆する

 三国峠に向かう分岐点に着いた。元々は三国峠に向かうトラバースを歩き、そこから三国山~生藤山と歩く予定だった。しかし、下見のときに他のスタッフに意見を行くと、「一般的には少し高度感がある」ということで、やはり積雪時・凍結時の安全対策でトラバースを歩くのは止めることになったのだ。したがって、佐野川峠に出る稜線に向かうことになる。佐野川峠の稜線経由だと生藤山に登るのは格段に楽になるのだが、要は歩く距離は長くなる。それにしても30分とかからない。緩い登りを歩き、115分頃に生藤山山頂に到着した。山頂直前は、5分ばかりだが岩っぽい道を登る。その結果、ところどころに雪の残渣があるが、積雪なし、凍結なしで軽アイゼンなしの歩行で問題なしとわかった。山頂も陽射しはなかったが、雲の上で、下界が見えて、おそらく梁川、四方津方面だろうと思われた。昼食休憩で30分休む予定だったが、寒いので20分休憩とした。

 

 

 幹事も昼食の握り飯を食べていると、話しかけられた。「苗場さんの企画ありがとうございます」といわれた。実は昨年、突然、苗場山赤湯に行きたくて、山笑(やまにこ)会HPのブログに企画の検討を表明したら、すぐに次回の企画で数名の方から、「企画して欲しい、ぜひ参加したい」といわれたのだ。それですぐに検討を始め、ブログで途中経過を報告しつつ、先日、2023年度の企画表に記載したばかりだった。この日も「風里」でみなさんのご意見を拝聴する予定だった。それで、肝心の山ノ神コースの希望者の決定だ。「山ノ神コースに行きたい方は」と聞くと、当初予定の8名から1名減ったものの、代わりに佐野川峠コースから1名入って結局8名になった。ところが、「わたしも行っていいですか、行けますか」という方が出て、10名になり、その内、「みんなで行こう」となり15名全員で行くことになった。幹事としては、しつこいほど岩に靴底を引っかけないように注意した。


      軍刀利神社で初詣            奥ノ院に向かう       生藤山からの急斜面を下るスタッフ班

 予定より少し早く出発した。生藤山を出ると、結構急な下りが2か所ある。幹事はほぼ中央の10番手にいるので、スタッフ班が良く見える。下りの一番前にスタッフが到着して下から上を見守っている。幹事は上から前方を見ていた。やはり、結構時間がかかり、頭の片隅でチラリとバスの時間ギリギリだなと計算していた。幹事が下に着くと、スタッフ班は先に行っているので、今まさに下って来る方々を注視していた。無事に下ると次は茅丸で、もう注意する場所はない。茅丸からは陣馬山の山頂が良く見える。ただし、真冬だけだ。茅丸でも集合写真を撮り、そして連行峰へ。木の上に「連行峰」と書いた札がある。道標には「連行山」」とあるのだ。実は地図も同様で両方書いてある。右手に見える丹沢の峰々を話題にしながら先に進み、いよいよ1244分に山ノ神に着いた。幹事としては、山ノ神からの下りは急ではあるが、心配するほどではないと思っていた。しかし、初めて歩いた方は「緊張した」という方もいたようだ。

 

 

 下って行くと、右手に古い古い民家が登場する。もちろん無人だ。ここで休憩した。ここ以降は道が格段に良くなり、すぐに車道に出る。スタッフが、YAMAPで「1343分に車道に出るようです」という。43分ならば「村の家」のきれいな休憩所でトイレ休憩にする余裕がないかも知れない、と計算する。民家のその先にサザンカのような木があって、何だろうと気にされる方がいた。双眼鏡で確認するとサザンカのように見えた。途中、コクサギの枯れた実を観察する方もいて、なかなかみなさん熱心だった。山の神社を過ぎて、舗装道路に出ると、ときどき滑り易い箇所があって、転んだ方もいた。気が緩んでいるだけにこういうところほど要注意だ。さらに進んでYAMAPの予定より早く1335分頃に車道に出た。日本の里山百選に選ばれた茶畑を説明しながら休憩所に着いた。半数の方はまっすぐ和田バス停へ。バス停に着いたら、陽射しのある歩道でバス待ちをしている方が二人いた。下見のときより時間が遅いのに、日没が確実に遅くなっているようだった。春が確実に近くなっているようだ。14時発のバスに乗り、1415分頃に藤野駅前の「風里」へ入った。この店は平日は14時~16時は休憩時間だ。しかし、頼むと営業してくれる。参加者の評判がよく、女将の希望もあるので、みなさんに情報を伝えておく次第だ。ぜひ、山の帰りに寄ってあげて欲しい。


    急斜面を下るスタッフ班         まだまだ急斜面のスタッフ班    奥ノ院の石段を登るスタッフ班

 

 2023年最初の山笑(やまにこ)会企画でした。参加して下さったみなさん、ありがとうございました。2023年及び2023年度も前年度に負けない楽しい企画を行います。よろしくお願いします。

 

・参加者:15名(申し込み23名、キャンセル2名、雨天延期によるキャンセル6名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、小野(班長)

・報告:稲葉(25年)