紀元前から名のある「知知父」の神奈備・武甲山、その麓に連なる琴平丘陵は修験の道、

  観音札所順礼の道。新緑と薫風の中、古の足跡と自然を訪ねるハイキング

              ~2024年5月9日(木)~

 

 

 気を揉んだ天気も下見時からの皆の祈り、そして本番参加の方の言葉をお借りすれば、

 「観音さま札所巡りの御利益で尻上がりに天気が回復!」

 青空広がり木漏れ日降り注ぎ、初夏の白い花たちの芳香を運ぶ爽やかな薫風に吹かれながらのハイキングとなった。

 

 秩父鉄道「影森」(影森は武甲山の影の森の意)駅スタート。早く到着された希望者を仕出し「今井屋」にご案内。味噌ポテト購入者に焼きそばもサービスの太っ腹な女将さんに感激。早着の皆さんのご協力により、予定より早くの出発となり、満載の見処をゆっくり堪能する余裕が生まれ、ありがたい。 

 

 見処の「ミニ清水の舞台・岩井堂」へ直接向かうには、()レゾナック(旧昭和電工)の敷地内を守衛さんにご挨拶して抜け、320段以上の急階段を登る苦行?が待っている。今回はそれを避け、且つ、直接詣でる頂けない札所26番岩井堂のご朱印を頂く為、麓の岩井堂別当・牡丹咲く円融寺、そして札所27番大淵寺を経由するルートを採った。

円融寺とボタン(鈴木さん)

月影堂

 

 

 

 

護国大観音(鈴木さん)(右)


 大淵寺の月影堂(観音堂)を参拝すると下見時同様にぱあっと光が差し、観音様に歓迎されていることを確信。

 

ご朱印、33ヶ月寿命が延びる「延命水」も頂き、お堂の裏手から琴平丘陵ハイキング・コースへ入る。早速、月の光から生まれたかのギンランが次々と姿を現わす。スクッと背の高い観音様の化身の如きササバギンランも!と思う内、頭上に真白で巨大な護国観音さまが聳え立つ。戦時建立の護国祈願にて、蓮華ではなく宝剣を携えたお姿だ。

 

ここからは、向かいの両神山、小鹿野二子山等の名峰の見事な展望が開ける。

ギンラン

ササバギンラン

ハンショウヅル


 「これはハイキング・コースじゃないね~」

 そんな言葉が漏れるは、修験者が駆け抜けた修行道ゆえ。しかし、駆けもせずゆっくり行けば息が切れて苦しいような急登はなく、鎖やロープのある岩場も数分の緊張集中で越えることが出来る。寧ろ単調にならず少しずつの難所クリアが楽しい道だ。

 

 なだらかな山道では、ハンショウヅルの無数の鐘がゆらゆら、マルバウツギ、ツクバネウツギ、コゴメウツギの白い花々が零れ咲き、ガクウツギやスイカズラからは甘い香り。木の根に沿ってのキンランの群生、木影からこっそり覗くキンランも愛らしい。そして下見では固い蕾が、本番で見事に花開いたエビネを見つけた班も。  

岩場をクリア

マルバウツギ(鈴木さん)

キンラン(小田さん)


  時間に余裕有り、のんびりゆったり思うように写真を撮りわいわいお喋りも楽しみながら進む。切通に掛かる鉄橋を渡り石祠に手を合せ進むと、あの岩井堂への急階段の上。そこから見上げれば岩に張り付く懸崖造の真っ赤な「岩井堂」が新緑ごし目前に現れる。お参りして舞台の上から恐る恐る見下ろすと足がすくむ高さだが、皆さんには元気に手を振って頂きシャッターを切る。

 

 お堂の裏手では、神秘の岩窟出現に思わず息を飲む。更に岩山の天辺の仏像に手を合せると、その向こうに唐突に白木造りの修験堂。岩井堂だけでもビックリなのに、またしても見たこともない荒修行の場の登場。堂内の様子、修行の仕方に興味津々。

 

 岩井堂も修験堂も、無人なのに立ち入り可能なことにも驚く。荒らすような人間は、苦労してここまで来ないのだろうし、まだ帰りがあると思えば罰当たりなことも出来まいか。急階段を慎重に下り振り返れば、嘗て捨身行として吊り下げも行われたという断崖がそそり立つ。 

岩井堂

修験堂

修験堂下の急階段


  北条氏邦の家来・滋野刑部が住んだ屋敷跡の「長者屋敷」東屋で昼食。朝仕入れた味噌ポテトも皆で分け合う。甘辛味噌味の揚げジャガは元気の源、山の友。機会があれば「今井屋」の話好きの女将さんを訪ねて入手されたし。

長者屋敷ランチ1

長者屋敷の久保班

箪笥岩展望台から両神山


 昼食後、「べっとく岩」は蛙さん、抽斗の出た姿の「箪笥岩」にも納得。珍石名に納得すると、時を隔て当時の人と会話が出来たようで嬉しくなる。箪笥岩の先は、恐らく手前の大山祇神社の奥の院、両神山の遙拝所ではなかろうか。そのまた先、399ピークの三角点、本日最高地点に笑顔でタ~ッチ! 

 

 植林の中を下山すると麓の沢沿いにも山の神、武甲山と両神山は秩父の人々の大きな心の拠り所、朝な夕なに手を合せて生きて来られたのだろう。石灰採掘で廃道となった旧武甲山入口を過ぎれば、最後の上りを越えて羊山公園。芝桜の有料期間も終わり平穏を取り戻した丘からは、身を削って我が国を支え続ける武甲山の尊いお姿が青空にど~んと浮かび、

 「良く来てくれたなぁ、気を付けてお帰り~!」

  と、笑顔で見送っていて下さるようだった。 

三角点にタッチ

武甲山の前で廣川班

武甲山の前で福山班


  西武秩父駅へ向かう直帰組の皆さんを分岐点にて手繋ぎのトンネルでお送りし、寄道組は、姿の池畔の「蕎麦処・紡」に向かう。先代・二代目・女将さんの心尽くしの蕎麦にうどんに掻き揚げ、ビールに日本酒で乾杯! 杯を重ね今日の佳き日をふりかえり笑い話し、大いに盛り上がった。

蕎麦処・紡で乾杯

蕎麦・うどん合い盛セット

横瀬二子山


 特急も止まる横瀬駅までは酔い覚ましに丁度良い距離。カワセミさんの道標の案内、また野の花々やせせらぎ、長閑な農村風景に浸り、左に横瀬二子山、右に武甲山を仰ぎながらのそぞろ歩きを楽しんだ。 

 

 横瀬駅横のお店でお土産(刻み杓子菜が人気)を買う時間もたっぷり、間もなくやって来た各駅に乗る人、もう少し喫茶と会話を楽しんでから特急で楽々帰る人、それぞれに分かれて家路についた。

 

今日の様に時程に余裕があり、駅から歩ける程々の難易度のコースで観察や解説多め、皆でワイワイ楽しく話しながら歩けるハイキングをもっと増やして欲しいとの声多数、本企画も大変好評で、暫く山笑(やまにこ)会から遠ざかっていた方のご参加もあり、

 「心地よい気持、長年お会いしているだけでないリラックスを感じ、やっぱり山笑(やまにこ)会はいいなぁと思いました。」

 との感想を後から送って下さった方もいらして、スタッフ一同、大変嬉しく感謝の気持でいっぱいです。皆さま、琴平丘陵ハイクにご参加くださり、誠にありがとうございました。

 

参加者:20名(キャンセル2名)

スタッフ:(幹事・班長)廣川、(班長)久保、福山

報告:廣川妙子 写真提供:鈴木さま、小田さま、久保、福山、廣川