下下見も下見でもシモバシラはあったけど、本番だけは全滅の無情、

しかし、扇山山頂の眺めは素晴らしかった。落ち葉を踏んでの歩きも

楽しく、今年最後の懇親会も満足、満足。

       ~2024年2月26日(木)~

 

 ご多分に漏れず、幹事も「シモバシラ=氷の華」は知らなかった。高尾山グリーンクリーン作戦に参加して初めてその存在を知り、そして、その不思議、神秘性に惹き付けられたのだ。以来、陣馬山の清水茶屋の手前でシモバシラを観察して、清水茶屋の主のレクチャーを受けたり、御岳山のケーブル山頂駅そばの紅葉屋支店の女将さんの弟のプロカメラマンに教えていただいたりした。Youtubeでシモバシラを作る実験のビデオも発見し、高尾山グリーンクリーン作戦の資料に掲載した。

 

しかし、あるとき高尾山の一丁平でそれこそ驚愕もののシモバシラを見ることができた。写真フォルダーを調べると2017114日だったようだ。晴れていたが寒い寒い日だった。それまでに観察したシモバシラがシモバシラと思えなくなった。その頃に扇山のシモバシラを知ったようだ。なぜなら、その年201712月に扇山に行ったときの写真集があるのだ。山笑(やまにこ)会の企画だった。 

 

高尾山グリーンクリーン作戦に参加していた頃、ベテランの先輩たちと「シモバシラの氷の華の水はどこから来るか」という議論になった。じゃ~、根を掘り起こそうという話になったが、現場まで行ってさすがに控えることになった。今年、久しぶりに「シモバシラ生成の条件」に思いが行き、気象庁のデータで調べてみた。巻末に参考までに掲載したので、お目汚しいただくと幸いだ。

浅川峠の幹事班の写真

浅川峠のスタッフ班の写真

扇山山頂の幹事班の集合写真


 129日(月)に扇山に下々見に行った。下々見なので743分大月着の電車で行った。いつも思うことだが、「浅川行き」のバスは便数が少ないし、おまけに客が少ない。この日も終点まで行った客は幹事だけだった。ついでに書いておくと、大月駅のそば屋は730分から営業しており、まずまずの味だ。すぐ横のコンビニでは缶ビールをいつも買うのだが、ときどきコーヒーを買う。愛想もいい。巻末に書いたが、この日の気温は天気予報ではマイナスではあるが、そう寒くなかった。期待薄でもともとどうにか見られたらと思っていた。

 

 終点で下車して、すぐに歩き始める。緩やかな林道歩きを20分ほどするのだが、ゆるやかではあるものの、足元がどこかでこぼこしており、歩きにくい20分で、しかもこの時期、見るものもない。ずいぶん前に、5月末だろうと思うのだが、「にこにこ会」で浅川峠から権現山に行ったことがある。浅川峠の付近は、ハクウンボクの花がきれいなのだ。何度も来た、登山口に到着。一人なので軽く給水して歩き続ける。ジグザグの登りと、最後にまっすぐ伸びる山道の先に浅川峠は見えて来る。浅川から約45分だ。

 

 山頂まで行くと、山頂直下に小さなシモバシラがあった。期待を持たせるではないか。最近の「山と渓谷」に扇山山頂の紅葉の写真があった。しかし、どう見ても幹事の写真とは大きな違いがある。この日もアングルを真似してみたが、全くダメだった。最後にわかったのは、プロの修正だ。下りながら観察すると、985m付近のシモバシラ(花)の群生地に茎の思わぬ位置にシモバシラがあった。収穫はこれだけだった。しかし、まだ楽しみはある。この日は、鳥沢駅前の浜田屋で一杯飲む予定だった。

  

 それで期待しつつ浜田屋に着いたら(梨ノ木平から約45分)、何とびっくり定休日だった。ガッカリして、来た道を戻り「たかちゃん食堂」に入った。先客が二人いた。先客が出てから、顔なじみの女将さんと少し話をしたら、「シモバシラ」でずれがある。どうやら、「氷の華」をご存じなかったようだった。女将さんはそれで「冬になっても登山客が来るのはそういうことか」と納得されていた。帰宅して、翌日きれいなシモバシラの写真を送っておいた。

扇山山頂からの富士山(なかなか山渓アングルでした、有田さん)

扇山山頂のスタッフ班の写真1

扇山山頂のスタッフ班の写真2


1219日(木)は、扇山企画の下見だった。743分に集合、寒かったので(そう寒かったのだ!)待合室でバス待ちをした。この日は、朝、雪が降ったのだ。鳥沢駅付近でちらつく雪を見て、半分、絶望した。しかし、「まだ本番があるさ」と思っていた。朝10時頃から天気予報では晴れることになっていた。815分のバスに一人だけ他の客がいたが、浅川峠から権現山に向かったようだ。普段はこんな状態だが、本番ではわれわれだけで21人乗るので、バス会社には連絡しておいた。浅川バス停から、林道、山道にはずっとうっすらと雪が積もっていた。シモバシラだけ例外なわけがない。浅川峠から先には、足跡がなかった。そして、山頂直下の急な登りでは、軽アイゼンが欲しくなる場所もあった。雪がなくても上りにくい箇所なのだ。

 

 上りにくいのはわかっているので頑張って登ると、スタッフが後ろから「シモバシラがある」というではないか。それが次から次に見つかった。いずれも小さく、雪を被ったものもあった。これで少しは期待を持った。山頂では富士山も見えず、陽も差していないので、シモバシラ目指して下った。扇山山頂の標高は1138mだが、シモバシラ(花)の群生地は1000mから800mだ。200mほど下ると、何とシモバシラがあるではないか。探しながら歩くと、シモバシラのできている群生地とできていない群生地がある。そして今朝の雪を被っている個体もあって、それは氷の華の輝きがなかった。

 

 それで、なんとかなったなと安心して梨ノ木平まで下り、20号線のセブン・イレブンを目指して歩いた。この日は、浜田屋の「仙人が愛した浜田屋の天丼」だ。ちなみにこの店は平日は営業が14時までで夕方の営業は17時からなのだ。つまり、十分に山を歩いて下ると浜田屋には入れないのだ。それならと、みなさんたかちゃん食堂に向かう。スタッフと二人なので1240分に浜田屋に到着した。久しぶりに浜田屋の天丼を食べて、ビールを飲んだ。土日に来ると昼間からお馴染みさんが宴会をやっている。食べながらスタッフと相談して、本番の26日(木)は、1315分頃の到着と決めた。女将さんと(3人姉妹の長女)相談して、2階の宴会席に案内していただくことになり、終了時間も14時を気にしなくていいということになった。これで本番の準備が完了した。

山頂直下の苦しい登りの幹事班(川原さん)

滝子山と百蔵山(川原さん)

扇山の最後の斜面に苦労するスタッフ班


 26日の本番では幹事は719分に大月駅に着いた。天気予報では気温は0℃程度のはずだが、もう少し寒いような気がした。前3日間の気温は、25日深夜から26日未明のシモバシラ生成に絶好のはずだった。しかし、それに今朝の少し暖かい気温がどういう影響を与えたか、幹事にはわからない。期待するのみだ。8時前に全員集合し、バス停前で簡単に開校式を行った。途中で列に加わった、幹事と同年輩の方が行列に驚いて行き先を聞いてきた。バスの中でこの方とは山の話をした。そして、このバスは猿橋駅経由なのだが、ここで客が3人乗った。これまた珍しい経験だった。

 

 850分過ぎに浅川バス停に到着。全体を2班に分けた。先発隊はスタッフが班長、後発隊は幹事が班長だった。2班に分けた主目的はシモバシラの観察と写真撮影に時間がかかるので、二班にわけて、先発隊が先に行動して浜田屋にも先に到着できるようにという配慮だった。先発隊が浜田屋に着く目標時間が1315分なのだ。浅川から浅川峠を経て扇山山頂まで、ずっと先発隊が見えていた。そして先発隊も後発隊も列がばらけることなく歩いていた。歩きはじめには、林道の水たまりが凍っていて幸先が良かった。浅川峠に着くと、スタッフが集合写真を撮ろうという。他に適当な集合写真ポイントが少ないのだ。だからと山頂でも2枚撮った。

 

 浅川峠から曽倉山山頂まで緩く登り、少し下り気味に歩き、扇山に取り付く。徐々に少し急になり、山頂が見える頃に足元が滑りそうな登りになる。わずか5分程度の登りなのだが、きつい時間だ。そして、山頂を見るとスタッフが手で×印を作っていた。「ああ無情かな、シモバシラ」なのだろう。気温のせいか、その他のせいかはわからない。参加者のみなさんに大変、申し訳ない気持ちになった。扇山の山頂に着くと、富士山がきれいで陽射しが気持ちよく、「30分くらいゆっくりしたいわね」という声が聞こえてきた。そうなのだ、その気持ちは幹事も一緒だった。 

 

 さて、本番前にメールで「寄り道希望」を聞いておいたのだが、改めて「高畑山の仙人が愛した天丼」希望者を確認した。確認していると、不参加の予定だった方が参加することになり、何と参加者全員が浜田屋に寄り道することになった。浜田屋の女将に連絡して人数の変更を伝えた。みなさんには申し訳なかったが休憩10分で、シモバシラを探す旅に出発させていただいた。山頂から峠に至るまでの間に一か所だけ滑りやすい場所がある。そこだけ注意していただいた。少し前に出発したスタッフ班がすでにずっと先にいる。間隔が開いている方が都合がいいので、間隔を空けて歩いた。比較的、陽の当たる斜面なのだが、その中でも陽が当たらない場所のシモバシラ(花)に氷の華ができる。豊作のときは、それこそ百花繚乱で同じ形のシモバシラにはお目にかかれない。

山ノ神社から下る幹事班

スタッフ班の登り(歩き始め)

山頂の富士山(なかなか好アングル)


 目を凝らしながら、シモバシラの群生地を探して下ると、スタッフ班の歩き方が早い。早いということは成果がないということだ。前方を見るとスタッフが絶望のマークを作ってくれている。それでも探すのだが、やはり見つからない。成果のあった下見の19日の状況を考えると(できていない群生地があった)、「晴天連続20日間」の影響も大きかったに違いないと思う。あるいは今年の展示会は終了か。知見をお持ちの方に教えていただきたいものだ。そうして、山ノ神社を過ぎて、梨ノ木平に到着。全員にトイレを済ませていただき、鳥沢駅目指して歩き始めた。ここでも浜田屋の女将に電話して到着予定時間を伝えた。

 

 梨ノ木平で浜田屋の女将さんに「135分から15分に着く」と伝えたのだが、スタッフ班があっという間に見えなくなり、後で聞くと浜田屋には135分に着いたそうだ。わが班は1320分だった。余計な話だが、店では頼んでおいた、天丼とカキフライ定食の漬物ともずく等を先に出しておいて下さり、それを肴にビールを飲んだ。2024年の山笑(やまにこ)会、全24回の企画の無事終了を祝って乾杯した。

 

 今回参加して下さったみなさん、浜田屋にもお付き合いいただきありがとうございました。残ったみなさんで快速のグリーン車で帰りました。そして、2024年に山笑(やまにこ)会の企画に参加して下さったみなさん、ありがとうございました。2025年度の企画はまだまだ検討中です。遠慮なくご意見お寄せ下さい。

 

     どうか、良いお年をお迎えください。来年も元気で楽しみましょう!

休憩中(背後の光がいいね、川原さん)

浜田屋での懇親会風景(仙人が愛した天丼を食べております)

シモバシラを探しながら下るスタッフ班


・参加者:19名(申し込み19名、キャンセルなし)

・スタッフ:稲葉(幹事、班長)、小野(班長)

・報告:稲葉 力(25年)、写真(稲葉、小野、有田さん、川原さん)

 

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【気象庁提供の大月市の朝6時の気温とシモバシラ=氷の華の出来栄え】
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このデータは自由に使っていただいて構いません。各自の責任でお使い下さい。

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★2017年
1)日時(上)と6時の気温(下、大月)→ほとんど観察ができなかった(下見日)
  11/26 11/27 11/28 11/29 11/30 12/1 12/2 12/3 12/4 12/5

   -1.0 2.4 1.8  1.5  6.3  6.9  2.2 -1.2 -1.2 1.4
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★2017年
2)日時(上)と6時の気温(下、大月)→素晴らしい観察ができた。(本番)

12/6  12/7  12/8  12/9  12/10  12/11  12/12

-2.6  1.4  -2.6   -3.1  -2.5  -2.0   -3.1
  1212日は、本番で、素晴らしいシモバシラだった。
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3)
日時(上)と6時の気温(下、大月)

★2020年かろうじて観察できた。

12/6    12/7    12/8     12/9     12/10    12/11   12/12   12/13   12/14   12/15

4.2℃   0.2℃   1.0℃   5.1℃   0.2℃   0.6℃   2.8  0.1℃   0.4℃    -2.7
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4)日時(上)と6時の気温(下、大月) 

★2020年→素晴らしい観察ができた。 
  12/16   12/17    12/18    12/19    12/20    12/21    12/22 

-1.8 -3.1℃  -4.3℃  -2.9℃  -3.4℃   -5.7℃   -5.0
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5)20231223

★2023年→なんとか素晴らしい観察ができた(某カルチャー本番)
  12/14 12/15   12/16   12/17   12/18   12/19   12/20   12/21    12/ 22   12/23

1.6℃   6.6℃  16.1℃  9.0℃  0.5℃   0.0℃  0.3℃  2.4℃  4.9℃  4.8

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6)2024129

★2024年→かろうじて観察できました。下々見でした。
  11/29    11/30   12/1    12/2    12/3   12/4    12/5   12/6   12/7   12/8   12/9

0.7℃  0.7 0.3℃  2.2℃  1.5 2.4℃  2.1 0.7 0.2 0.4 1.3

標高985m付近で10個ばかり観察できました。「不作」でした。

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