登る途中、まさかのジャケツイバラに接近遭遇、顔振峠からの
奥多摩・秩父の展望が素晴らしく、越上山~鼻曲山~玄家のゆる
やかな縦走も楽しく、田舎そば玄家の雰囲気も良く蕎麦も旨かった。
~2023年5月12日(金)~
顔振峠企画を決めるに至った経緯を書いておきたい。毎年、あれこれ苦労しながら企画を考えている。山岳会で山に登っていた頃にはほとんど俎上に上がらなかった秩父の山が、最近では目につく。空白地帯なのだ。FITメールの報告でも「黒山三滝」はときどき目にする。そうか、黒山三滝か、関八州と組み合わせるとどうだと思った。それで、2022年2月2日に西吾野駅から高山不動を経て関八州に登った。2月の初旬だから魅力は展望だけだ。しかし、虚空蔵峠から大窪峠に下ると結構な歩行時間になる。次に、越生駅(おごせ)で連絡の悪いバスを待ち黒山バス停へ。初めて行ったのだと思う。黒山三滝から傘杉峠は通行禁止のようなので、三滝から花立松ノ峠を経由して関八州に行き、往復して黒山三滝に戻った。昼食は「根っこ食堂」にした。清水屋が休業しているのは知らなかった。これが2022年5月15日のことだ。
西吾野駅から関八州を経て黒山三滝ではちょっと長いので、散々頭を悩ませて、地図を眺めると越上山(おがみやま)という山名が面白い、そして田舎そば玄家(げんや)を見つけた。このとき、吾野駅~顔振峠~越上山~玄家、という基本的なコースが決まったわけだ。そして(ゆっくり歩き隊)としては、吾野駅~顔振峠~黒山三滝~玄家、というコースが決まった。2022年11月25日に吾野駅から玄家まで歩いた。予約しておいた玄家に入り、えびすビールを飲みながら「金曜日のセット」と「卵焼き」食べて、このコースに決めた。帰りに女将さんと、2023年5月の相談をした。ここまで1年以上かかり、このときから2023年5月12日まで吾野駅~顔振峠は、実に5回ほど歩くことになった。ちなみに僕の若い頃には顔振峠は「こうぶりとうげ」だったが、最近では「かあふりとうげ」に統一されている。
民家のセッコク 途中で見られたジャケツイバラ 越上山前の岩場を通過する小野班
当初予定では8時47分吾野駅着の電車で集合だったが、トイレの都合もあり8時13分着と1本早めた。幹事も同じ8時13分着で到着したら、参加者全員が同じ電車だった。トイレを済ませ、安全注意を済ませ、班ごとにミーティングして出発した。今回は参加者が22名で越上山コースが14名、黒山三滝コースが8名だった。22名中、初めてか参加2、3回目の方が5名もいるうれしい企画となった。
幹事は、今回は黒山三滝(ゆっくり歩き隊)を担当した。なお、越上山は2班に分けて、片方は同じコースを(ゆっくり歩き隊)とした。吾野駅から急な階段を下る。下って高麗川にかかる橋を渡り右折する。途中、ユニークな鉄工所があり、オーブン付きのストーブを作って売っている。まっすぐ進み、トンネルの手前で左折して進み、すぐに右に曲がる。ほとんど道標がなく初めての方は少し道探しをする羽目になる。
この季節は、沢沿いにヤマグワが見られる。もう実が成っていた。12日の本番ではさらに少し先の民家でセッコクが見られ、みな驚いた。途中で、小野班長からいただいたヒメウツギの雄しべの資料を見て、ヒメウツギを探すのを楽しみにしていた。見上げるとミズキの花が少しずつ色あせてきているのがわかる。目的の一つだった、ヒメコウゾは見つからなかった。雌花が見たかったので残念だった。道標のある登山口で小休止して、今回は林道を少し歩き、ヒメウツギを探すことにした。説明しながら歩いていると、左側に、それこそ「押し合うように」咲いていたウツギがほぼ咲き終わっていたが、残っていた雄しべを観察すると、確かに万歳をしており、ヒメウツギだとわかった。やや急な山道に入る直前に、下見ではなかった黄色い花が眼前に登場した。ジャケツイバラだった。摩利支天尊の御堂を見学したが、飯能市内に摩利支天の御堂は7か所あるらしい。次に、展望台で富士山、奥多摩、秩父の山々を展望したが、残念ながら富士山と奥多摩は見えなかった。
奥武蔵グリーンラインから下っての岩場付近 ヒメウツギ(下見時) 太平山(おおびらやま)の幹事班
8時35分頃に出て顔振峠には10時10分頃に着いた。所要時間は1時間20分の予定だったのでずいぶんゆっくり観察をしたことになる。平九郎茶屋の駐車場で端っこに座って、めいめい軽食を食べて後続を待っていたら、平九郎茶屋の女将さんに「そこは弁当を食べる場所ではありません」と注意された。噂通りだった。後続が上がって来たので、2班の状況を確認して先に進んだ。ミツバツツジ、ヤマツツジはもう終わっていた。もう営業していない茶屋を過ぎ、素晴らしい展望という意味のイタリアレストラン「ベラヴィスタ」を過ぎて、奥武蔵グリーンラインからの分岐点で小休止した。
少しだけ登り、後は下りだ。すぐに山道が狭くなり、小さな岩場が登場する。ロープがあるのだが、必要ないくらいだ。しかし、右の柵には頼らずロープは利用するように注意する。朝、注意したばかりだ。ゆるゆると山道を歩き、やがて、広い平地に出る。そこが役の行者像のある場所だ。途中で修業僧と出会った。平地に着くと修業僧の格好をされた方がいてご挨拶した。この方に、宗教に関係する山は「さん、か、ざん」と読むので「おおびらやま」はおかしいと聞いた。われわれが大平山に登って下り始めると、修業を開始したようだ。大平山からの下りはやや急で、10分ばかり木の根っこに足を取られやすい場所が続くので、ここでも注意した。山道の傾斜がゆるくなり、歩き易くなると3番目の最後の岩場が登場するが、最も大きな最も安全な岩場だ。ステップの楽な場所から下った。そして、天狗滝に到着した。残念ながら滝の下部は見えない。男滝と落差は同じ程度のようだ。車道に出て、上に5分ほど歩くと男滝と女滝がある。これで黒山三滝だ。個別に見ると大して魅力がないが、男滝と女滝が一緒に見えるアングルだとそこそこ迫力があるのを本番で知った。15分ほどかけて、黒山バス停まで歩き、トイレ休憩。ここから25分ほどでいよいよ「玄家(げんや)」だ。途中で、バイカウツギを見つけた方がいた。なかなか山野草も楽しめたハイキングだった。
展望台で山並みを展望する久保班 越上山山頂(小野班) 大平山で修業中の僧がいた
(顔振峠から越上山を経て玄家までの報告:小野が報告担当)
摩利支天の二重の塔に寄り狛犬と言ってもここのは猪なのだが、それを見て少し歩き進むと予定より5分ほど早く顔振峠に着いた。すると先を歩いていた黒山三滝組がくつろいでいた。ここで三滝組と分かれて越上(おがみ)山を初めピークを3つ踏む低山縦走が始まる。小休憩を挟んで左は石垣の上にウツギの白い花が咲いている車道を三滝組とは逆方向へ進むと右手には先ほど見た摩利支天を見下ろす位置を歩くのだが、我々の後ろを歩いているゆっくり歩く班の姿が見えた。彼らを見下ろしながら先へ進むと左に越上山へ向かう登山道がありその山道へ分け入った。歩きやすい登山道を歩き進むと越上山へ向かう分岐が現れそちらへ向かう。この山は山頂を踏んだ後、先には進めないのでまた同じ場所に戻ることになる。山頂へ向かうちょっとした九十九折の道を進むと一週間前にあったツクバネウツギの花は終わっていた。気を取り直して山頂へ向かうが九十九折はすぐに終わり今度はごつごつした岩場が出てくる。注意して進めばなんということはないのだが要注意だ。
更に進むと岩場が現れゆっくり注意して進んで頂く。単調な山道に飽きてきた場合はちょっとしたアクセントで楽しんで歩く方もいる。最後の大きなギザギザした岩を慎重に超えると山頂だ。片側は切れ落ちているので注意したいところだ。基本的に展望は望めない山頂だが、一部樹木を伐採した方向だけが少し展望があった。記念写真を撮り、少し時間を取り思い思いに写真を撮ったり周りを眺めたりして頂いてから下山とする。また同じ岩場を今度は下りだ。下り始めてすぐにまた伐採した箇所があり、秩父の山並みを少し望むことが出来た。注意して下って頂き核心部の岩場が終わったところで後続班が丁度登ってくるところだったので道を譲った。後続班は岩場へ向かい、我々の班は元の登山道へ戻った。いつもよりのんびり目に歩き1時間は掛からない位で一本杉峠に到着した。一本杉はそれなりに大木で班全員で杉を見上げて枝ぶりに感心しながら小休憩し、昼食までまだ時間があるので行動食を取っている方もいる。そして次のピークを目指す。次は鼻曲(はなまがり)山なのだが、この山へ向かう途中の道が意外と岩場なのだ。注意して歩けば何てことないのだが、それでも集中力は必須だ。みなさん黙々と慎重に歩いているが右手の谷側にだけは注意して頂き歩みを進め、最後のちょっとした急坂を登れば山頂だ。この山頂は更に展望無し。ここでも記念写真パチリ。我々の班はピーク到着と同時に写真を撮ることにしていたので班のみなさんも心得てくださり、到着するなり集合して下さる。そしてまた休憩しながら少しの間思い思いに過ごして頂く。
黒山三滝の内、男滝(上)と女滝(下) 摩利支天尊のお堂裏側の募金箱(下見時) 鼻曲山山頂の小野班
ここから最後のピークの椎ノ木山へ向かうが予定では約30分の歩きだ。「後続班の声も聞こえないね~」などと話しながら予定より10分遅れるほどゆっくりのんびり歩いた。鼻曲山からの下りが曲者の道なのだ。というのも意外と急な下り、しかも木の根が多い下りで自分のペースで急ぐことなくゆっくり慎重に下って頂く。暫く歩くと椎ノ木山だ。ここでも写真撮影。結局10分遅れでこの山を後にして目的地で昼食タイムとなる「玄家」へ向かう。予定より若干遅れているにも関わらず遠回りの道を歩いてしまった。分岐を見落としたのではなくまっすぐ歩いてしまい、舗装路を予定のルートより長く歩いてしまうのだがそれでも結局10分遅れという時間で「玄家」に到着した。
ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。たくさんご参加いただくと「玄家」の収容の問題があり、少なければ少ないで残念で、4月下旬は参加者数に毎日気を揉んでいました。天気に恵まれ、どうにか実施できて感謝する次第です。玄家には、次回は別のコースで訪問する予定です。
・参加者:22名(申し込み24名、キャンセル2名)
・スタッフ:稲葉(幹事、黒山三滝コース「ゆっくり班」)、久保(班長、越上山コース「ゆっくり班」)、
小野(班長、越上山コース)
・報告:稲葉 力(25年)、小野梨香(30年)
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