緊急事態宣言が明けた、再開第一回のハイキングは、身延山。

           幸いに天気に恵まれ無事に終了!~6月24日(木)~

 621日を待っていた。前回の緊急事態宣言後は「マン防」に移行すると期待していたら、緊急事態宣言の延長だった。「山笑(やまにこ)会」としては、東京都が緊急事態宣言中は、ハイキング企画を中止すると決めているのだ。2か月間その日を待っていたので、待望の解禁日だった。梅雨に入ったので、毎日、天気予報を見ながら気を揉んでいた。身延山ハイキングは、わが山笑(やまにこ)会の企画では、レベルが高い「プラス企画」であり、通常、延期実施日は設定していない。しかし、長期の中止と梅雨ということで急きょ26日(土)に延期実施日を決めた。幹事としては是が非でもやりたいのだ。

 

 参加者の一人から、メールをいただき、「身延山を調べているとヒルの情報がありました。場所は、下り道、途中の松樹庵付近です。」というのだ。17日の下見では、小さなヒルのようなものを一匹だけ地べたに見つけたが他にはいなかった。用心して、みなさんに塩、忌避スプレー、ライター、スパッツ等を持参するように伝えた。

 

 24日の本番が近づくにつれて天気は回復し、前日の予報では終日晴れの可能性が高まった。あずさ1号に乗り、甲府駅に降り立つと、スタッフ、参加者が集まって来て5番線へ。そこで、出欠、資料渡し、参加費の徴収を行った。静岡に向かう「ふじかわ4号」に乗るのだ。今回は15名の常連さんの申し込みがあったが、急用で2名が欠席となった。集まった方々が顔見知りばかりで、みなさん、久しぶりだったのだ。特急の車内でもにぎやかに談笑されていた。


        巨大な三門          菩提梯をあえぎながら登る         久遠寺本堂前で集合写真

 936分に身延駅に着き、駅前広場で身延山行きのバスに乗る。バス会社に連絡は入れておいたが、この日乗車したのはわれわれだけだった。身延の町を眺めながらバスは進み、終点近くで「総門」を通過する。この「総門」でまず度肝を抜かれる。大型バスが通過できる「山門」というのは通常、存在しないのではないか。それが大型バスが楽に通過できるのだ。身延山久遠寺おそるべしとここで肌で感じるのだ。バスは12分で身延山バス停に到着する。バス停は門前町の入口になる。バス停でトイレを済ませ、開校式。さすがに安全に関する注意事項も少なかった。何もかも2か月ぶりなのだった。土日であれば、久遠寺本堂まで乗り合いタクシーがあるし、菩提梯を登らずに済む無料エスカレーターもある。

 

 門前町の飲食店を見ながら三門を目指して歩き始める。予定通りに下れば、門前町で楽しむ時間はないが、予定より早ければ飲食店で飲む時間ができる。5分も歩かない内に目の前に巨大な山門が登場する。久遠寺では、この山門を「三門」と呼ぶ。日本三大山門と称されているそうで、総門に負けず劣らず巨大だ。三門に立ち、前方を見つけると天にも至るのではないかと思える菩提梯が見える。まっすぐまっすぐ久遠寺本堂のご本尊に至るのだろう。エスカレーター利用者を確認したが、誰もいなかった。

 

 歩きにくい石畳の上を歩き、菩提梯の下まで進み、上を見上げる。実は287段の階段は土合駅の地下階段に比べたら大したことはない。しかし、菩提梯の石段は段差が大きく実に疲れるのだ。苦労しないと菩提には至れないようだ。下見の経験からみなさんに手すりの利用を勧めた。足がつる寸前に287段に到達する。ここだけで汗びっしょりになる。しばらく休憩し、本堂にお参り、「日蓮上人生誕800年記念碑」の前で集合写真を撮る。ここからは舗装された参道を三光堂まで、それ以降は、未舗装の参道を山頂まで歩く。約2時間の行程だ。 

 

 本堂の左側に回り、エスカレーターに至る道の上を行く参道に入る。本堂の左側には宝物殿があり、下見の時は、にぎやかな読経の声が響き渡っていた。規模といい、日蓮宗の読経はまさしく賑やかだ。参道の周囲には、ナンテンがやたら目立つ、そして、ユズリハも多い。周囲はスギばかりだ。下見のときには気が付かなかったが、ナンテンとユズリハが多いのは明らかに人為的で宗教的な根拠があるのだろう。登りの参道は結構傾斜がきつくて意外と疲れる。時間が経過すると列が長くなり、最後尾を気にしながら歩いた。スタートは1丁目で奥之院が50丁目だ。



   モリアオガエルのタマゴか         展望か所にいるみなさん        展望か所にいるみなさん

16丁目付近で給水休憩とした。最後尾付近で遅れがちに見えたお二人に体調を聞くと、一人は大丈夫といい、一人はギブアップだがゆっくり歩いて頑張るという。まあ、ゆっくり歩いて、下りはロープウェーにでも乗っていただく手も考えることとした。また歩き始める。やがて、25丁目の「三光堂」に着いた。ここにトイレもある。脇に身延町文化財の金ぴかの釈尊仏がある。赤い屋根の大黒堂があるのだが、どうやら、松樹庵分岐から東方向に見える赤い屋根は大黒堂であるらしい。ここに至って、疲れて見えたお二人は元気になられたようで安心した。歩き始めてすぐにゴヨウマツがある。ダイオウショウという声もあったが、葉が5枚でゴヨウマツだ。

 

参道は未舗装に変わる。参道はロープウェーと同じく、北西方向に伸びている。丁目を確認しながら歩き、ヒガラのような鳴き声がしたので、「ヒガラかな」というと、すかさず「白と黒の鳥ですね」という方がいた。この方はさきほど、「イノモトソウ」について質問された方だ。最近、山笑(やまにこ)会の参加者は山野草、樹木に詳しい方が増えてきて、スタッフもおちおちできない。そろそろ時間なので38丁目で休憩にした。三光堂のあたりでは、予定より遅れ気味と感じていたが、ここでは予定より早いことが分かった。どうやら幹事の計算ミスのようだった。38丁目から山頂までの所要時間をみなさんに伝えると少し元気が出たようだ。ここから巨大スギを見て、8分程度歩いたら「法明坊」に着いた。ここが40丁目である。ここまで来たら、全員、山頂に到達できる。下見の時はエゴノキの花が満開だったが、すでに花は終わっていた。その代わりにモリアオガエルのものらしい、タマゴが横の木にぶら下がっていた。

  

 法明坊を出て20分ほど歩くと左側に皆伐された斜面が出てくる。どうやら展望のための皆伐らしい。下に富士川と身延の町、前方に長者ヶ岳と天子ヶ岳に見えて、その上にドンと富士山が見えるはずなのだが、残念ながら富士山は雲に覆われていた。しかし、元気の出る瞬間だ。ここから山頂まで10分もかからない。手すりの付いた斜路を登っていくとベンチのある展望台に着く。さきほどと同じ景色が楽しめる。ここでランチ休憩として、まずはザックを置いて、思親閣に向かった。奥之院の先に社務所がある。社務所の左側の階段を登り思親閣に進む。途中に「日蓮上人お手植えのスギ」がある。つまりは樹齢800年である。思親閣にお参りして展望台に戻った。幹事は社務所にいた女性にヒル情報を聞いたら「たくさんいます」というだけで詳しい情報はなかった。


   久遠寺本堂の上から見た五重塔   思親閣と山笑(やまにこ)会のメンバー 思親閣と山笑(やまにこ)会のメンバー

 さて、ランチ休憩が済んで、RWで下る希望者を聞いたら、最初は13名中7名もいたのに、雨情報とか確認していると次々と歩いて下る方に希望が増えて、結局、RWを使ったのは2名だけだった。しかし、滅多に機会もない身延山の景色を上から眺めるのも悪くはないので悩むところではあるだろう。全員を七面山の遥拝所にご案内する。七面山には奥之院があるので「遥拝所」なのだ。ご存じない方は、一度七面山の敬慎院に泊まると面白い。ここでは詳しい情報は割愛しておこう。どうやら、スタッフが元気を持て余しているようなので、先頭を歩いていただいた。そうすると競うように一緒に下り始めた方がいた。4名ばかり先頭グループで下って行ったので、幹事は後続のメンバーと樹木、山野草を観察しながら歩くことにした。

 

 30分も歩くと「感井坊」でまっすぐ進むと七面山に至る。われわれは左に曲がって下る。下っていると、地面の白い花がたくさん落ちている。下りにはまだエゴノキの花が咲いているのだ。先頭グループは見えなくなった。14時過ぎに松樹庵分岐に着いた。ここから身延の町、久遠寺、そして左の稜線に大黒堂の赤い屋根が見えた。現在時間から、どうやら1510分の身延駅行きに間に合うと計算した。約1時間早くなる。やがて、松樹庵が見えてきた。このお堂は「天空のお寺」として有名らしい。手を合わせ写真を撮って石段を下った。

 

 つづら折れを2,3回曲がると何と先を行くスタッフの姿が目に入った。先頭集団と後続の2名も確認できた。さてさて、ゆっくり組と5分程度の差とは意外だなと。そして、妙石坊に着き犬に吠えられて先に進んだ。朝見た、三門に到着して前方を見ると土産物屋に入る先頭集団が見えた。幹事は途中で缶ビールを買ってバス停に到着した。1455分で、何と下見でスタッフと歩いた時間より10分早かった。これは何としたことか。参加者のみなさんがお元気だったのだろう。緊急事態宣言明けの山笑(やまにこ)会再開第一回のハイキングに参加して下さったみなさんに感謝申し上げる。


         思親閣            思親閣入口での集合写真     松樹庵分岐から久遠寺本堂方面を見る