稜線でガスに包まれたが最後まで雨には降られなかった。雪頭ヶ岳(せっとう)から鍵掛峠まで

楽しい岩場が続き、ワチガイソウなども登場、下っては「山久(やまきゅう)」でクサボケ酒を飲ませていただいた。    ~5月12日(木)曇り~

 

 前日の5月11日には、その前日10日の予報では晴れ間が出ていた天気予報が、終日曇りになり、さらに12日の午後は小雨の予報に変化していた。変化が大きく、不安な気持ちを抱えて12日の早朝に起きて、外を見ると思ったより明るい空で一安心した。予定より20分ほど早く自宅を出て横浜線に乗り、八王子駅のホームで大月行きの普通電車を待っていると、山笑(やまにこ)会の常連さんが手を振って横を歩いて行った。毎度の光景で、お互いに電車の中で座る場所が決まっている。


   鬼ヶ岳山頂(スタッフ班)       狭い雪頭ヶ岳山頂(スタッフ班)    やっと下って「いやしの里」近く

 今回の「いやしの里根場(ねんば)」~鬼ヶ岳~王岳~「いやしの里根場」企画は、歩行時間約6時間10分の予定だった。企画した当初は、過去の経験から問題ないと考えたが、参加予定者の一部から「長くて歩けるか不安がある」との声があり、再検討した結果、「いやしの里根場」も16時には閉店となることがわかり、さらに西湖周遊バスも16時10分発が最終であることが分かった。それで、雪頭ヶ岳(せっとう)~鬼ヶ岳~鍵掛峠~「いやしの里根場」とコースを短縮した案に変更して、4月27日に下々見を実施してコースの変更を決定し、5月7日に新スタッフ2名を加えて全スタッフで下見を行った。5月7日は好天気で展望も良く、14時40分には下山し「いやしの里根場」で十分に楽しむことができた。


    雪頭ヶ岳山頂(幹事班)         鬼ヶ岳山頂(幹事班)        雪頭ヶ岳手前でランチ休憩

 8時49分に河口湖駅に到着、9時10分発の西湖周遊バスに乗車した。われわれ19名の他に1名だけ他の乗客がおられた。バス待ちの時間が惜しくバス停で開校式を行った。9時50分に「いやしの里根場」に着き、みなさんにトイレに行っていただき、その間に準備と体操を済ませ、10時過ぎには出発した。今回は新しくスタッフが2名加わり、各班にサポーター、アシスタントとして付いていただいた。スタッフ(小野)班に先行してもらい、幹事(稲葉)班は後続とした。予定では10時15分にスタートで、雪頭ヶ岳には12時25分着の予定だった。スタート後、巨大な砂防ダムの脇を上がり、対岸の山道に入る。そこが登山口だ。いやしの里根場の標高は約900m、雪頭ヶ岳の標高は約1,700mなので標高差800mを2時間10分で登ることになる。途中、下る箇所は一か所もない。ひたすら登るのだ。


                    「いやしの里根場」の茶屋「山久」でくつろぐみなさん

 歩き始めると淡々と登る。最初は、30分で標高200mをかせぐことができる。ミツバツツジもヤマツツジも終わっている。すぐに終わりかけのヒトリシズカが出てきた。それからツルキンバイが登場する。幹事班は先頭班に遅れを取るだろうと思っていたら、意外や意外、ずっと先頭班が目前に見えたが最後尾を歩くサポーターとは会話ができなかった。30分歩いて5分の休憩を3回続け、標高も600mを稼ぐと、幹事班には少し遅れる方が出てきて、ややペースを落とすことにした。この付近からガスが出てきて、昼食ポイントまでもう少しとなったので給水休憩を取り、ランチ場所まで頑張って歩いていただいた。その苦しい息の下で、夏に奥穂高に行きたいと相談をされた方がいたので驚いた。大した意欲ではないか、こちらも苦しい息の下で返答させていただいたが、苦し紛れだったか。ランチ予定場所には予定より10分遅れだったし、長居できる天気状況ではなかったので、ランチタイムを5分短縮して出発した。サポーターがしっかりコースタイムを管理してくれていたので安心できた。


  雪頭ヶ岳直下は苦しい登りが続く     下りでウツボグサの写真を撮る     鬼ヶ岳に続く岩稜帯を歩く(下見)

 雪頭ヶ岳の山頂を目指して歩く。ほとんどの方がザックカバーを装着したが幹事は着けなかった。雨具の上だけ着た。岩稜帯を少し歩くと、狭い狭い山頂に着いた。先頭班が集合写真を撮っていた。続いて幹事班も写真を撮った。すぐに鬼ヶ岳を目指して歩く。山頂直前にアルミ製の梯子がかかっている。晴れていると何の変哲もない階段なのだが、視界のない中では天空に浮かぶ階段であり、なかなか迫力がある。鬼ヶ岳の山頂はそこそこ広い。360度の展望を楽しむために10分間の休憩を予定していたが、展望がないので「鬼の角」を撮って、集合写真撮影後に先に進んだ。少し下ると緩やかな斜面があるのだが、以降は岩稜帯のアップダウンであり、ヤマレコ等の記録を読むと、どれも「足に来る岩場のアップダウンが続く」と書かれている。天気が良いと快適な岩稜帯だが、天気が悪いといささか憂鬱になる山道なのだ。しばらく歩くと、結構下る場所があって、そこがこのコースのハイライトだ。正面に小高い岩峰があり道が付いているのだが、そこには行くと行き止まりで、手前で少し下に下り、岩峰を完全に巻くのだ。そして、そこにクモイコザクラの群生が下見では見かけたのだ。しかしどうだ、キランソウしかないではないか。ガッカリして少し歩くと、今度はワチガイソウが登場した。何と変化の速い山と植物か。また、アップダウンを繰り返した。


       ツルキンバイ           クモイコザクラ(下見)          ワチガイソウ

 スタッフ4人の下見では鬼ヶ岳から鍵掛(かぎかけ)峠まで35分だったが、本番では団体でもあるし、50分見込んでいた。実際には60分弱かかった。やはり団体の岩場通過は時間がかかる。時間はかかるが安全な岩場だった。鍵掛峠に着くと、先頭班が休憩していた。後ろの方で雨具を脱ぎたいというので、休憩すると天気の話になった。「降られなくて良かった」という話から「山笑(やまにこ)会の企画は昨年から雨が降ったことがない」という話になった。そうなのだ、山笑(やまにこ)会のハイキングは、昨年9月以降、17回連続無事に実施できたのだ。ということで、あと1時間もあるのに降られないと決めつけて歩き出した。5分ほどやや急な道を下ると30分以上快適な山道となる。先頭班がずっと先に見えるので、観察しているのが見える。近づいて見たらウツボグサだった。高尾山以外では滅多に見ないと思う。さらに進むと今度はサポーターも写真を撮っている。今度は何かと思ったら下見でも見たナツトウダイだった。そんなこんなで砂防ダムを5個過ぎて林道に出た。先頭班が登山口で写真を撮っていた。いざ、出発しようとすると、常連さんが「あの白い花は何」というではないか。交代で「どうもミズキじゃないね」、「なんだろう」、「サワフタギのような雰囲気ね」というので、スタッフが双眼鏡で確認した。その結果、サワフタギだった。恐るべし、山笑(やまにこ)の常連メンバー!


  おやおやこれは何かな(先頭班)     ガスの中岩稜帯を歩く(先頭班) 鍵掛峠からの下りはルンルンだ(先頭班)

林道に出て10分ばかりで、前方に鯉のぼりが見えてきた。「いやしの里根場」である。ゴールは茶屋の「山久」さんだ。下見で気に入って、幹事が前日に連絡を入れ、全員で寄ると伝えておいた。「気に入ったのでクサボケ酒も飲みたい(ふるまい酒)」と伝えておいた。到着予定時刻は15時、実際の到着は15時13分だった。サポーターと「まあ、許容範囲だね」といいながら、「山久」に入って腰を落ち着けた。缶ビールを飲んでいると、女将さんがこれで今年の最後だというクサボケ酒を提供して下さった。ご主人が飲まないそうでわれわれが(というより幹事が)飲んでしまったわけだ。常連さんが「いつもいつも楽しい満足なハイキングですが、今日も楽しかったです。ありがとうございました。」といって下さった。幹事冥利に尽きるではないか。ご参加下さったみなさん、今回もありがとう。連続17回も無事に実施できたのは、みなさんあってのものです。

参加者:15人(16名申し込み、キャンセル1名)

スタッフ:稲葉(幹事)、小野(班長)、岸本(サポーター)、福山(アシスタント)

報告:稲葉(25年)