春の陽気に包まれて、後ろに惣岳山・高水山を従えて、高峰北尾根を気持ちよく直登した。梅野木峠のランチも楽しく、やっと咲き始めた梅郷公園ではアズマイチゲまで迎えてくれた。~2022年3月10日~

 

 昔は、地図といえば国土地理院の5万分の1の地形図、山と高原地図、等が一般的で、徐々に2万5千分の1が主流を占めるようになった。これらの地形図にはいわゆる「バリエーションルート」は記載されていない。最近になって「奥多摩詳細図」等が登場して、格段に東京周辺の地形図情報が豊富になった。「奥多摩詳細図」には、「正規」のルートと「バリエーションルート」が記載されていて、さらにバリエーションルートは、道標があるかないか等で分けられている。山好きには、この「バリエーションルート」を歩くのが好きな方が多い。しかし、好事魔多しというが、「詳細図」に記載されている「バリエーションルート」は、難度のレベルに非常にばらつきがあるのだ。正規ルートとほとんど差がないルートもあれば、いくら探してもないルートとか、荒廃しているルートなどがあり、身の危険を感じることも多いのだ。


   高峰北尾根を頑張って登る          高峰山で集合写真            三室山で集合写真

 幹事は、山笑(やまにこ)会の前身である「にこにこ会」でハイキング企画を始めた時の最初の企画が、三室山から御岳山を経て、丹三郎に下るコースだったので、その頃から御岳山周辺は歩き回った。それから奥多摩詳細図が登場したので、その頃からバリエーションルートを歩き回った。それで出てきたのが、高峰北尾根コースである。山中には当時からほとんど道標がない(ただし、コースの長さは短い)。御嶽駅から歩き始めると、まず取りつきがわからない。高峰に向かって左側の沢に沿って前進して、短い橋の手前で上に上がると正規のルートになるのだが、それは2回目で知った。GARMINのデータを見ると、2019年の2月のことだ。雪が降り、雪が溶ける時期は急斜面が続くし足場が悪いので閉口した。山笑(やまにこ)会の企画に入れてみようかと思って、2021年の春にまた登り、山道が歩きやすくなっているので、おかしいなと思っていると、途中に、トレランの看板があり、集団で踏みつけた成果であると知った。それで、山笑(やまにこ)会でも企画に採用することができた。


    琴平神社の鳥居をくぐる         琴平神社からの下り道          天澤院のアズマイチゲ

 さて例によって前段が長いがここからが本番である。3月10日(木)は、「御嶽駅に9時1分着の電車でお越しください。」とご案内しておいたのだが、スタッフが8時20分着の電車で行くと、同じ電車で10人ほど来られて驚いた。予定の電車まで準備運動をしていただいたり、眼前に見えるコースの説明をしたりして過ごした。今回のコースは、高峰山の最初の登りがきついことを懸念して、ケーブルで御岳平に上がり、日の出山経由で三室山に至るコースを準備しておいた。しかし、幹事が2月23日に下々見を行った結果、2月10日の降雪の影響で日の出山の下りの階段が積雪&凍結していることがわかり、安全を考慮して、高峰をゆっくり上るコースに変更することとした。そうこうする内に、予定電車が到着し、参加予定者19人が揃った。スタッフは3名だ。スタッフは軽アイゼンを持参したが、参加者にはお願いしていない。


   「岩割の梅」でミツマタを見る      香りがただようミツマタ          御嶽駅に集合した

 御嶽駅を9時20分にスタートした。目の前の橋を渡り交差点まで進む、左側の横断歩道を渡ってすぐに見える路地を入る。突き当りを左に進むのが登山道だ。入口に申し訳程度に古い道標がある。このコースは「道標なし、熟達者向き」なのだ。まっすぐ進んで右に曲がり畑の左端を進む。動物除けのゲートを開けて入りさらに進む。左側の沢は「払沢」をいうらしく、実はこの沢沿いにも山道がある。すぐに合流して、その合流点に、古い道標とトレランの看板がある。少し進んで、予想より温かいし、高峰前衛まで広い休憩場所がないので、そこで服装調整をしていただいた。いつもの常連さんの「山笑(やまにこ)隊」と「ゆっくり歩き隊」、そして「まだ慣れていない方々」の3班に分けたのだが、予想に反してペースにあまり差がなかった。見える範囲で3班がゆるゆると登って行った。10分も登ると、背後に展望が開けて、惣岳山と高水山が見える。左側には川苔山も見える。幹事は今回は「ゆっくり歩き隊」の担当なので、ひたすら「ゆっくり」を意識して登った。


   高峰山の集合写真(小野班)       三室山の集合写真(小野班)       高峰前衛で休憩(小野班)

 さらに10分ほど登ると伐採面に出る。詳細地図に「伐採面端、好展望」と書かれている場所だ。そこで先頭班が休憩していた。幹事班も休憩すると後続班が登場した。ここから傾斜がゆるくなる。568mのピークを視野に入れて、進む。568mに至ると、トレランのきれいな看板がある。これは2019年春以降に設置されたものだ。幹事が初めて来たころにはなかった。ここから高峰山まで約800mを淡々と歩く。真ん中あたりに小さなコルがある。そこからはややきつめに感じる登りがあって、そこを過ぎると高峰山山頂だ。やや遅れ気味の方もいたが、幹事班と久保班はほぼ同時についた。どちらも「ゆっくり歩き隊」なのだ。先頭班は見えなかった。ここから尾根道を築瀬尾根コースとの合流点まで行き、尾根道をそのまま進んでもいいのだが、少し下って、下の広めの登山道に出た。この道は、電波塔手前の「鉄塔標識」で合流する。合流点から5分も歩くと電波塔を過ぎて、梅野木峠に出る。下見のときは、電波塔付近で少し残雪があった。梅野木峠で昼食タイムとし、三々五々、陽当りを求めて休憩した。そば屋「梅の内」で電話をかけたのだが、アンテナは立っているのだが、電波状況が悪くなかなか会話ができなかった。


   急斜面を登る登る(小野班)    いかにも登りがきつそうだ(小野班)      休憩中(小野班)

 送電線の下で北を見ると今度は岩茸石山(惣岳山ではない)と高水山が目に入る。少し進んで送電鉄塔を回ると、林道建設のときにできたのであろう展望の良い斜面に出て、前面に麻生山と馬頭刈尾根が見える。スマホのパノラマ展望図によると麻生山の右の方に富士山の頭が見えるようだが、残念ながら見えたことがない。進むと「飛竜墜落地跡」と書かれた看板が出てくる。ほとんどの方が「飛竜」といわれてもわからないのではないか。「日の出山南尾根」を右手に見て先に行くと、分岐に出る。この分岐は左手は愛宕山に向かう山道であり、右手は三室山の巻き道だ。直進すると岩場を少しだけ登って三室山の分岐に出る。梅野木峠で休憩するとこの少しの登りがきつい。分岐にぶつかり、左は愛宕山、右手が三室山だ。三室山の山頂は、最近は伐採されていないようで展望が全くない。したがって、三角点にタッチしてすぐに琴平神社に下った。

 

 下るとさきほどの巻き道と通矢尾根に合流する。幹事も一度だけ通矢尾根を歩いたが、面白くない。左に斜面を縫って歩く。この付近は気分のいい下りが楽しめるが、降雪時は結構、積雪のある場所だ。歩きやすい山道を20分も歩けば、琴平神社だ。ここの神社の前面には樹木がなく展望がいい。ここからは神社の鳥居に向かう道が味がある。鳥居をくぐって少し歩くと分岐点に出る。吉野梅郷北コースと吉野梅郷南コースに分かれる場所だ。山道としては、吉野梅郷北コースの方が面白い。吉野北コースのさらに北は、「神の林道」と表示されていて、八坂神社、岩割の梅、「梅の内」の近くに出る山道だ。実に味わいがある。


    琴平神社の社(久保班)          高峰山の久保班             三室山の久保班

 分岐から、吉野梅郷南コースを歩く。最初は岩でゴツゴツした山道だが、やがて普通の山道になり、やっと山野草の類が登場する。クロモジの冬芽、コウヤボウキの綿帽子が出てくる。ミヤマシキミの冬芽も見られる。しばらく歩くとヤマザクラの巨木が登場する。毎年、4月にこのヤマザクラを見たいと思うのだが果たせていない。ヤマザクラを過ぎると梅郷ゴルフ場が近い。左手にコースが見えてきて、階段を下ったら鳥居がある。そこが梅郷ゴルフ場の入口だ。梅郷まで直行する。梅郷のトイレ前で長めの休憩をして、幹事は、レストラン「舞花」の売店で缶ビールを買って戻りかけると、声をかけて呼ぶ方がいる。常連さんが二人、レジ袋を下げて歩いてくる。先に下って、農協の売店でワインを買ってきたのだという。ベンチに戻ると、居合わせた方々で幹事72歳の誕生日を祝っていただいた。ちょうど3月10日が幹事の誕生日なのだ。山笑(やまにこ)会は木曜日にハイキングの本番を実施することにしており、偶然、重なったわけだ。同じ年のYさんが音頭を取って、全員でハッピーバースデイを歌っていただいた。一生忘れないハイキングになるだろう。ここで解散し、日向和田駅に向かう方、「梅の内」に向かう方に分かれたが、さらに別コースの方もおられたようだ。幹事、思い出のハイキングに参加して下さったみなさん、ありがとう。

 

・参加者:19名(23名申し込み、4名キャンセル)

・スタッフ:稲葉(幹事)、久保(班長)、小野(班長)

・報告:稲葉 力(25年)