やっと実現した尾瀬企画、幹事渾身のご案内が良かった!

         ~2022年7月20日(木)~21日(金)~

 

今回の企画は尾瀬国立公園をじっくり楽しむことを主眼に計画した。そのためにも、鳩待峠を午前6時にはスタートする必要があった。鳩待峠から山ノ鼻までの間は交通渋滞が起こり、早朝でないと、じっくり観察できないからだ。そこで、経費的にも安くなるバスタ新宿の夜行高速バスを利用することにした。しかし夜行の高速バスが厳しいので、前泊する方が5名おられた。2名は鳩待峠に宿泊。3名は山ノ鼻に宿泊。2名は鳩待峠で合流。3名は山ノ鼻で合流した。


  出発時の鳩ノ巣峠は雨だった           カキラン             ショウキラン

20日の午前6時頃は小雨が降っていた。レインウエアを装着してのスタートとなった。注意事項・コース概要・尾瀬国立公園などの説明のあと、スタートした。2班に分けることにした。先頭の班を約1時間毎に入れ替え、幹事が常に先頭の班の班長を努めることにし、幹事が尾瀬のガイドであることもあり、幹事の説明が公平に聞けるようにした。入口にはマットが敷いてあり、こちらで靴の底に付いた植物の種子を落とし、入山。まずモミジカラマツの花が我々を迎えてくれた。オククルマムグラが花を咲かせ、エンレイソウ・ズダヤクシュ・ヤグルマソウが果実をつけていた。この森は最初の300mは石の階段、次の3kmは木道が続く。鳩待峠の標高1591m、山ノ鼻の標高1400mと191m下ることになる。標準歩行時間1時間のところを約2時間かけて、自然を楽しみながら山ノ鼻まで下った。途中、小沢・鳩待沢・ヨセ沢・テンマ沢を通り、最後に川上川を渡り山ノ鼻に到着した。途中、ブナの幹が下の方で谷川に曲がっていた。

 

雪の重みにより下に曲がり、雪が溶けると上へ伸びるからだ。オオシラビソ・コメツガの下方の枝も、雪の重みにより下の方へ向いていた。このあたりは積雪4m位になることもある。途中至仏山が左側に開けてきた。この山は2億5100万年前に地中に蛇紋岩ができ、1億年前に隆起してできた山だ。そのため、山の上の方は蛇紋岩でおおわれているため、マグネシウムが主成分である蛇紋岩からマグネシウムイオンが溶出し、根が水を吸うのを妨げるため、標高1700m以上が大きな木が生えていない。至仏山の標高は2228m。森林限界は1700m。1700m以上にはお花畑が広がる。エーデルワイスに近いホソバヒナウスユキソウが生育。途中、ニッコウキスゲ、ヤマトユキザサ、オオバタケシマラン、オオレイジンソウ、ケナツノタムラソウ、ナツトウダイ、カニコウモリ、ヨブスマソウ、ミヤマカラマツ、ミズバショウ、イワナシ、オオカメノキ、ナナカマド、テツカエデ、ハウチワカエデ、チシマザサ、クロベ、ハクサンシャクナゲ、カラマツなどが生育。川上橋を渡る時には、イワナが泳いでいた。山ノ鼻には予定の8時に到着した。


   歩き始めたら雨は上がった             燧ヶ岳               クロバナロウゲ

雨が止んだので、レインウエアを脱ぎ、トイレを済ませて、研究見本園を目指した。研究見本園には昨日クマが出現し、至仏山登り口までの一方通行になっていた。しかたなく、研究見本園へ入ってすぐの池塘で折り返すことにした。研究見本園にはキンコウカ、トキソウ、サワランなどが花を咲かせ、タテヤマリンドウ、チングルマが果実をつけていた。池塘は尾瀬ヶ原には1800個以上あると言われている。池塘には浮島が浮いていた。池塘を後に、尾瀬ヶ原へ向かう、山ノ鼻にはイワツバメが繁殖のため、東南アジアから渡ってきて、山小屋の軒下に巣を作っていた。又、尾瀬国立公園は2005年のラムサール条約の登録湿地になっている。山ノ鼻の標高は1400mということもあり、ダケカンバとシラカンバが並んで生育していた。山ノ鼻を過ぎると、尾瀬ヶ原が開けた。木道がまっすぐ続く。左右にはワタスゲが群生していた。

 

尾瀬ヶ原は東西6km、南北2kmの本州最大の湿原だ。川上川の左岸・右岸には林が出来ていた。これを拠水林と言う。川が上流から土砂を運んできて、地盤がしっかりしていることと栄養が豊富なことにより、できた林だ。橋を渡ったところに、ズミが実をならしていた。ズミの実はクマの好物だ。少し進むと、ヤチヤナギが姿をあらわした。葉っぱを指でこすり匂いを嗅ぐといい香りがした。キシリトール成分が含まれているとのこと。沢山の池塘があらわれた。浅いところにはミツガシワが生育し、少し深いところにはヒツジグサが生育していた。ミツガシワは花が終わり、ヒツジグサはこれから花を咲かせる。夏の思い出にでてくるヒメシャクナゲの花は終わっていた。食虫植物モウセンゴケ・ナガバノモウセンゴケが花を咲かせていた。逆さ燧のところまで到着した。

 


池塘にみなさんの姿が逆さに写っている         全員勢ぞろい          池塘をつないで木道が伸びる

逆さ燧の池塘には波があり、燧ケ岳は映っていなかった。逆さ燧の池塘にはオゼコウホネがわずかに花を残していた。上の大堀川を渡った。ここから中田代だ。右に牛首を見、ようやく牛首分岐に予定の時間より20分早くに到着した。1班・2班が牛首分岐に到着したところで、皆様へ尾瀬自然保護、大正10年のダム計画と調査についての話をした。しばらく進むと下の大堀川に到着した。ここはポスターにのるビューポイントだ。川の左右に拠水林がないため、川の左右にワタスゲの群落が広がっていた。後ろには至仏山が望めた。更に、歩き第二竜宮と第一竜宮を見学した。こちらは竜宮現象と言い、長沢の水が突如と消え、50m離れたところから湧いている現象だ。中に人が通れるぐらいの空洞がある。次に竜宮を目指した。オゼヌマタイゲキが花を咲かせていた。竜宮の手前で、皆様へクロバナロウゲとコタヌキモの発見をお願いし、竜宮へ向かった。参加者の方がクロバナロウゲとコタヌキモを発見し、皆で観察した。発見と観察に時間がかかり、竜宮へは予定より10分遅れて到着した。

 

竜宮でトイレ休憩の後、第二長蔵小屋(見晴)へ向け出発した。竜宮には絶滅危惧種のクロビイタヤが生育し、ヨブスマソウも見られた。沼尻川を渡って福島県へでた。ここから下田代だ。途中ツルコケモモを観察し、第二長蔵小屋へは予定より、10分遅れで到着した。第二長蔵小屋で昼食をとり、大きな荷物を預け、東電小屋へ向け出発した。途中、カキラン・シロバナカモメヅルを観察し、只見川を渡り、新潟県へ入り、東電小屋へほほ予定の時間に到着した。東電小屋でトイレ休憩をとった後、ヨッピ吊橋へ向け出発。途中、クマが下を通り抜けることが出来る高架式の木道が500m続いた。ヨッピ橋を渡り、竜宮に予定の時間より10分前に到着。トイレを済ませて、第二長蔵小屋へ向け、出発。

第二長蔵小屋には予定の30分前の14時45分に到着。

 


   なかなかポーズもいいですよ          写真に夢中ですね          ツルコケモモ

21日は早朝 4時30分に起床し、見晴からの朝霧と山並み(至仏山、燧ケ岳、景鶴山など)の景色を楽しんだ。朝食の後、第二長蔵小屋を6時45分に出発した。先ずは白砂峠へ向かう、白砂峠標高1680mなので、280m登ることになる。イヨドマリ沢を過ぎたあたりで、皆様へショウキランの発見をお願いし、白砂峠へ向け登った。無事ショウキランを発見した。下見時に発見した場所とは異なっていた。少しみずみずしさに欠けていた。でも発見できて良かった。奥利根地方の男性が冬木こり、炭焼きのため、宿泊していた小屋が建っていた跡の段小屋坂を通り、白砂峠にほぼ予定の時間に到着した。白砂峠から沼尻平へ向かった。途中、白砂田代で残っていたミズバショウ、タテヤマリンドウ、ツルコケモモを観察し、湿原を抜けた森に、ハクサンシャクナゲ、アカミノイヌツゲが花を咲かせていた。沼尻平には予定の5分遅れで到着した。

 

沼尻平に船着き場があります。平野長英氏は昭和27年から昭和47年にかけて動力船が2艘運行いたが、これもガソリンで動くということから廃船しました。昭和46年7月に息子の長靖氏が大清水から一ノ瀬への道路建設中止を当時に環境庁長官大石氏へ直訴し、その年の12月に三平峠で遭難し、亡くなったことによります。又、沼尻平からナデッ窪が見える。8000年前、燧ケ岳が山体崩壊を起こし、沼尻川を堰き止め、尾瀬沼が出来ました。その山体崩壊の跡がナデッ窪です。明治31年に沼尻平で早田文蔵氏(東京大学教授)がナガバノモウセンゴケを発見しました。沼尻平でナガバノモウセンゴケを観察した後、長英新道分岐を目指した。途中、倒木更新、凍裂を探しながら、尾瀬沼北岸を歩き、長英新道に予定の10分遅れで到着した。鹿柵を通り、予定の10分遅れで大江湿原に到着した。鹿柵は2014年に完成し、今年で8年目になる


   御花畑で勢ぞろい(1班)         ニッコウキスゲと2班     ニッコウキスゲに負けない女性たちと1班

3本カラマツを右に見て、川を渡るとニッコウキスゲの群落が出現。皆で写真撮影会が始まった。8年かけてようやくニッコウキスゲの群落が戻ってきた。尾瀬沼VCには7分遅れで到着し、トイレをすませて、三平下へ向け、出発。元長蔵小屋から尾瀬沼、燧ケ岳の景色を楽しみ、船着き場を確認し、名もない細い川を渡り、群馬県へ入り、早稲沢湿原を通り、三平下へは予定の15分遅れで到着。三平下で、昼食とトイレを済ませて三平峠へ向け出発。三平峠は標高1762m。約100mの登りになる。三平峠へは予定の10分遅れ到着。ここからは荒れた道をくだることになる。一ノ瀬の標高は1420m。約340mの下りになる。一ノ瀬へは予定の10分遅れ13時12分に到着し、無事、13時30分発の低公害バスに乗車することが出来た。

 

大清水に13時45分に到着。着替え、お土産の購入、食堂で飲食するなど、くつろぎ、15時10分発のバスタ新宿行の高速バスに乗車し、バスタ新宿には19時5分に到着し、無事解散した。夜行バスにも関わらず、ご参加頂きました皆様有難うございました。


      コタヌキモ              ノビネチドリ            18人はさすがに多いね     

 

・参加者:16名(申し込み19名、キャンセル3名)

・スタッフ:久保(幹事)、小野(班長)

・報告:久保(25年)