ガスが出るも雨は降らず、クモキリソウのツボミも見つけ、

  最後は、木庵の手打ちそばと展望湯でしめくくった。梅雨の合間の

     「浅間嶺、ラッキーハイキング」だった。~6月9日(木)~

 

 山笑(やまにこ)会の前身「にこにこハイキング」で、2015年から2017年にかけて「クモキリソウハイキング」を実施した。毎年6月下旬だった。毎年、ちゃんと「クモキリソウ」を見つけることができた。そのきっかけは、2014年6月に実施された「低山はいかい」だった。その低山はいかいに参加した幹事は、浅間嶺で初めてクモキリソウなるラン科の花を見て感激し、「にこにこハイキング」スタート時の企画に生かしたのだ。

 

 実はこのコースを決めたもう一つの大きな理由がある。それは「旧みちこ」の存在だ。幹事は2012年7月20日に払沢の滝(ほっさわのたき)から浅間嶺(せんげんれい)まで歩いている。そのときに峠の茶屋で「みちこ」の看板を見つけ、定休だった古民家そば屋「みちこ」の写真を撮っている。そして、「みちこ」で飲んで食べたい一心で、翌々月の8月1日に再訪しているのだ。例の長屋門の下で食べて飲んだ。「みちこ」とはそれ以来の付き合いなのだった。低山はいかいの「クモキリソウ」をヒントに企画し、浅間嶺の下見をすると、今度は、スタート地点である浅間尾根登山口バス停近くの看板「天空の湯」に惹かれてしまった。さらに、「木庵」の看板、たたずまいにも心が惹かれた。それ以来、「木庵」も企画に入れようと考えていた。「天空の湯」と「木庵のそば」のてん末は、別の機会に譲ろう。まずは先に進む。


       浅間嶺展望台での集合写真(左:小野班、中:ゆっくり歩き隊1、右:ゆっくり歩き隊2)

 例によって長い前書きが終わり、ここからが本番だ。今年は他の企画の都合で、6月初旬の実施となり時期的に少々懸念材料があった。2015年から、毎年、浅間尾根登山口からスタートしたのだが、前述した理由により、今年は「木庵」に寄るために払沢の滝入口バス停からスタートすることにした。木庵のキャパシティもあるので、7時43分発のバスと9時発のバスに分かれて乗る分散スタートも検討したが、結局、全員7時43分発の藤倉行きに乗り、「山笑(やまにこ)班」、「ゆっくり歩き隊1」、「ゆっくり歩き隊2」の3班編成とした。山笑(やまにこ)班(先頭班)は、いつも通りに歩き、ゆっくり歩き隊1は、ゴール時間が先頭班より30分程度遅くなるように歩き、ゆっくり歩き隊2班は、ゆっくり歩き、ゆっくり観察し、先頭班より1時間程度遅く到着するように計画した。


  獲物を探しながら写真を撮る小野班(左:これは何?、中:イチヤクソウらしい、右:なんとキウイの花だったらしい)

 さて、今回は少し報告しておくことがある。2015年にスタートした「にこにこハイキング」は2018年に「山笑(やまにこ)会」と名称を変更して活動を続けている。その後、スタッフは4人になり活動を続けてきた。しかし、FITの新人受け入れもFITの諸先輩に応援していただいたわれわれの義務であろうと2019年に1名受け入れ、スタッフは5名となった。その体制で山笑(やまにこ)プラス、山笑(やまにこ)スタンダードの年間合計24回のハイキングを実施してきた。他に臨時企画が年間2回はある。今年度になり、FITの会員数が増加している現状も考えて、スタッフを2名増加することとした。これは実は簡単なことではなく、課題もあるのだが、挑戦することとした。


コアジサイを見ているゆっくり歩き隊2     皆伐地を歩くゆっくり歩き隊1      スタッフが木庵で勢ぞろい

 武蔵五日市駅を7時43分発のバスに乗るので、「できれば少し早い7時15分発のバスで来てください」と参加者にお願いしたら、全23名がその時間に来て下さった。バス待ちの時間がもったいないので、バス停で「開校式」を行った。増便はなかったが全員座れた。8時5分頃に払沢の滝入口バス停につき、トイレを済ませていただき、体操を行い、前述した3班に分かれて班長が説明し、出発した。山笑(やまにこ)班があっという間にスタートした。ゆっくり隊1も少しゆっくり出発した。

 

 出てすぐにNPO法人が経営するレストランがある。ここは犬も入れる。そして、左手に滝に行く道と分かれる。この時間右手の駐車場はガラガラだが平日でも昼間は結構混んでいる。先に進むとヤマグワの実が成っている。もう少し進むと道標があり、石段を登る山道になる。ここから時坂峠(とっさか)まで2か所ショートカットがあるのだが、別にきちんとショートカットを歩かず、車道を歩いても時間的には10分もかわらないだろう。ショートカットの道の方が味があるのだが。


  浅間嶺休憩所で集合写真(久保班)      クモキリソウのつぼみ         木庵から見た大羽根山

 また、車道に出ると、以前はマタタビの白い葉と花が見られたのだが、時期が早いのか見られなかった。車道を歩き、道標を見つけたら左に上がる。このショートカットの終点にトイレがあり、再び車道に出て、向かい側の山道を登ると「時坂峠」だ。ここまではコースタイムで約45分。峠の茶屋まで舗装道路を歩く。峠の茶屋も2012年頃には土日には営業していたが今では完全に閉店してしまった。当時から高齢の爺様が営業していたから無理もない。ビールを飲んでざるうどんを食べた頃が懐かしい。先に進むと前方で林道施業をしているので左に入る。瀬戸沢(旧みちこ)が営業していた頃は、林道施業の先に駐車場があった。山深く感じられる道を歩き沢を過ぎる、早速ギンバイソウが出てきた。瀬戸沢の前に出て休憩する。先頭班は全く見えない。瀬戸沢の長屋門を見ると、あそこでビールを飲んだ記憶が蘇る。2015年は、参加者と一緒に「みちこ」に寄ってそばを食べたのだ。歩きだし、ギンバイソウとカメバヒキオコシの解説をする。ギンバイソウの漢字を聞いた方がいた。

 

 石がごろごろする歩きにくい山道を歩く。横を女性2人が追い越して行った。この道が稜線に出る地点が、カタクリの新しい群生地であり、皆伐地の始まりでもある。稜線に出ると先行していた女性二人が休んでいた。カタクリの群生地の解説をすると彼女らも聞いて感心していた。その先に、地図に記載されているカタクリの群生地があるのだが、今ではこちらの方が足場もよくカタクリの咲き具合もいいようだ。ガスがなければ恐怖感を感じるほどの皆伐地なのだが、ガスのせいでいつもの迫力がない。看板のあるカタクリの群生地(登りの道が2か所)は、この時期、踏み跡はしっかりしている。4月初旬に来たころは道が荒れていた。皆伐地を過ぎると、昔はいつも観察できたギンリョウソウの場所なのだが、これも時期の関係なのか全く見られなかった。


     木庵でくつろぐ小野班         木庵でくつろぐ小野班       テラスでくつろぐゆっくり歩き隊1

 少し進み、右手に「小岩バス停」に行く道を見送り(通行禁止)、左に入る。緩やかな登りを5分ほどで松生山(まつばえやま)の分岐に着く。ここには下見ではマユミの花がたくさん散らばっていた。さらに緩やかな登りを歩くと、山頂展望台がある。ガスがかかっていて展望がなかったので、休憩所まで下ってトイレを済ませ、軽食タイムとした。すると何と下から山笑(やまにこ)班が上がって来てびっくりした。彼らも記念写真を撮って、神社方面から人里峠を目指したようだった。幹事は、休憩所で「木庵」の女将に電話した。ここの端の場所でしかスマホが通じない。事前にお手紙を差し上げており、「予定通りに進行しているのでよろしく」と伝えておいた。わが班は、予定より少し早く出発した。

 

 先頭班は稜線を人里峠(へんぼりとうげ)方面に向かったが、わが班は予定通り下道を進んだ。20分で人里峠に着き、小休止して、石宮と一本杉を目指す。石宮も以前は巨大なスギに大きな天狗の腰掛けがあったが、腰掛けは折れてしまった。石宮で小休止した。一本杉を通過し、藤倉分岐で再度小休止。ここから藤倉バス停に向かう道は長いこと通行禁止で見た目には道が荒れているように思える。通行禁止の札はなくなっていた。藤倉分岐から先に進むと、サル岩が出てくる。いまでも解説の看板があり、サルの手形が見えるとか書いてあるのだが、今では看板の字も読めない。さらには、2015年から「サルの手形」が見えた方はほとんどいないようだ。幹事も一度も見えたことがない。


 テラスでくつろぐゆっくり歩き隊1     木庵でくつろぐゆっくり歩き隊2      木庵でくつろぐ小野班

 サル岩を過ぎるといよいよイチヤクソウのポイントだ。左側の斜面を全員で探してもらったが、下見からほとんど成長してなく、小さいので見つけるのだ大変だったようだ。そして、ゴールまじかの数馬分岐に着く。ここからの道は例年、コアジサイが咲き乱れている。今年も数は少ないがたくさん咲いていた。運がいい場合はウメガサソウも見られるのだが、顔を出してくれず、林道に到着。いよいよ、クモキリソウポイントに到着だ。2014年はこの林道の付近で見つけたのだ。林道を出て、全員でゆっくりゆっくりクモキリソウを探しながら下ったが、わが班は「咲いているイメージ」が強く残念ながら発見できなかった(予習不足か)。そして「木庵」に着き、くつろいでいるとゆっくり歩き隊2が到着。みなさん、クモキリソウを見たというではないか。写真を見るとツボミではあるが確かにクモキリソウだった。それを見てみなさん、山道を戻り写真を撮ってきた。幹事もビールの酔いもなんのその写真を撮りに行ったのだった。見つけて下さった方、ありがとう、感謝です。ということで、浅間嶺クモキリソウハイキングは看板に偽りなく終わったのだった。

 

 参加して下さったみなさん、ありがとう!

 

・参加者:23名(申し込み24名、キャンセル1名)

・スタッフ:稲葉(幹事)、久保(班長)、小野(班長)、廣川、岸本、福山

・報告:稲葉(25年)